「いつかはこどもが欲しい」…「いつか」っていつ?

  by ムラカミ  Tags :  

男性・女性にかかわらず、また結婚している・していないにかかわらず、「いつかはこどもが欲しい」と思っている人は少なくないのではないでしょうか。もちろん、こどもを持たない選択をする人もいるでしょう。「今すぐ欲しい」という人もいるでしょう。現在不妊治療をされている人もいるでしょう。「欲しいけど相手がいない」という人もいるでしょう。今回お話ししたいのは「今ではないけれど、いつかは欲しい」と思っている人についてです。

昨今は晩婚や高齢出産がとても増えてきました。生殖年齢の高齢化は不妊治療の増加をもたらします。自然妊娠率はどうしても年齢とともに低下していきますから。以前、女性歌手の“羊水発言”なんてものが話題になりました。ずいぶんとバッシングを受けたようですが、最近になってメディアでも卵子の老化について取り上げられ、この女性歌手の発言も一部見直されているようです。また、高齢で不妊治療を受けたり、妊娠・出産した有名人も、生殖年齢の高齢化に警鐘を鳴らしています。

野田聖子さんインタビュー全文(4)妊娠によい時期、知らなかった
→ http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=32724

不妊治療受けた東尾理子さんインタビュー全文(3)「いつまでも産める」は誤解
→ http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=62205&from=popin

だんだんと世の中が妊娠・出産の適齢期を啓発する傾向になってきているようですね。

余談ですが私も不妊治療を受けていました。27歳くらいの頃なので一般的にはまだまだ焦る人が少ない時期でしょうか。結婚してからなかなか妊娠せず、基礎体温をつけてもよくわからなかったので、病院で排卵日を検査してもらいました。その際に月経が『無排卵周期(月経はあるが排卵していない)』であると判明しました。ドクターからは「妊娠を希望するならとにかく若いうちにさっさと治療をした方が良い」と言われました。不妊治療をはじめたことで嫌というほど聞かされたのは、やはり「年齢とともにどんどん妊娠率は低下する」ということです。20代だった当時でも不妊治療はとてもつらいものでしたから、これが年齢的にリミットの近づく頃だったらどんなに大変であったか…。

もちろん高齢で妊娠する方は大勢います。今も芸能人の高齢妊娠や出産は大いにメディアでとりあげられています。でも、しかし、やっぱり、どうしたって、自然妊娠の確率や治療の成功率は年齢と関係してくるのです。また流産する確率も年齢とともに上がっていきます。もちろん高齢になっても妊娠や出産は可能ですが、それなりのリスクが伴うことは事実です。「いつかは出産したいけれど今はまだ不安」「もう少し自分の時間を楽しんでから」といった気持ちもとてもよくわかるのですが、後になって「やっぱりもっと若い時に妊娠/治療をしておけばよかった」と嘆いても遅いのです。

今の世の中でこどもを産み育てるということはきっと大変なことでしょう。でも、いつの世も妊娠・出産・育児は大変なものです。若いうちに妊娠や出産を選択する決断は、今の時代ではなかなかしにくいでしょうが、あれこれ難しいことを考えすぎてその時を逃してしまっても時間は戻ってきません。医療がどれだけ発達をしても、体の機能は年相応に変化していきます。こどもを「いつかは欲しい」人は、「欲しくなったらいつでもできる」ものではない、ということだけはしっかり覚えておいてください。

絵や文を日々細々と綴っています。

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