小さな町のコンビニ戦争

  by 赤いからす  Tags :  

 

 

 

 

 

 

 

 

人口1万4千人の小さな町にコンビニ戦争が勃発?!

国道229号線沿いの100mの間に、全国シェア1位のセブンイレブンと2位のローソンが並ぶ。

数年前からあったのはローソン。

そして、8月末にセブンイレブンができた。

ここまでは、どこにでもある話。

都会にいけばコンビニが乱立している場所なんていくらでもあるだろう。

しかし、人口1万4千人の小さな町で起こるコンビニ戦争は少し事情が違う。

この町にはすでにセブンイレブン、ローソン、サンクス、セイコーマートの4種類のコンビニが

10件もある。

この町は人口も少ないが土地も狭い。町を自転車で横断するのに、30分程度あれば十分な距離。

コンビニはかなり綿密な戦略を立てて、互いの利権を荒らさないように微妙に距離を保ちながら配置されていた。

そのバランスが突然崩れた。駅前にあったセブンイレブンがわざわざ国道沿いのローソンの縄張りに片足を突っ込んできたのである。

確かに敷地が狭くて、駐車場もなかった。駅前といってもバスターミナルしかなく、道の駅もあることにはあるが、他の地域より規模も小さく、品揃えも豊富じゃない。観光客が多いとはお世辞にもいえない駅周辺の開発状況。

小さな町なので良い噂、悪い噂が流れるのはしょうがないのかもしれない。コンビニが2軒並んでもかえって相乗効果があって周りの商店も活気づくという噂もあれば、セブンイレブンがローソンを潰しにきた、なんて噂も広まった。

飽和状態のコンビニ業界の危機を伝えるロイターの報道もある。

 

日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した8月の全国コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年同月比1.3%減の7525億円となり、3カ月連続で前年同月を下回った。

 

この記事に対してネットの掲示板では「だって最近はスーパーが遅くまでやってるし」「スーパーが24時間やってるし、ペットボトル飲料なんか半額だし…」「普通に高いよ、もっと安くしないと」「ATMの手続き以外じゃコンビニなんて使わなくなった」「スーパーのセルフレンジが快適すぎる。安いし、うざったいポイントカードとかないから」というコメントが寄せられていた。

数年前まではコンビニの多種多様なサービスに既存のスーパーが苦戦しているというニュースを耳にしていたのだが、すっかり状況は変わってしまったようだ。

最近のスーパーは深夜まで営業してコンビニに対抗している姿がうかがえる。

この小さな町にも大手のスーパーがすでにあり、食品はコンビニより安くて豊富、夕方になれば弁当やお惣菜は半額のシールが貼られる。

よっぽど時間に追われていなければ、スーパーに足を運ぶだろう。

コンビニはサービスを追求するあまり、行き着くところまで行ってしまい、自ら真綿で首を絞めるように個性を失ってしまっているのかもしれない。

現在、売上高シェア1位のセブンイレブンが一人勝ちという状況も考えにくく、共倒れになってしまうのではないだろうかと危惧してしまう。

小さな町の国道沿いで起こったコンビニ戦争は、避けられない縮図なのだろうか。

それともコンビニのお弁当を食べながら、味に飽きてきた?!と思ってしまった自分は贅沢なのだろうか。

 

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