WBC監督問題と日ハムの戦略

  by 赤いからす  Tags :  

 

WBC監督問題がそろそろ決着がつきそうな雰囲気である。

18日、加藤良三コミッショナーが現役の12球団の監督から選考する意向を示した。

現ソフトバンク監督の秋山幸二氏に大きく舵を切った形だ。

9月8日の報道で、コミッショナー特別顧問を務める王さんは「現場の12人は絶対に断ると思う…」と、現役監督からの人選が難しいことを示唆していた。

その間に野球評論家などのTVや新聞などの報道で、現役の監督から選らんだほうがいいという論調が強くなり、方向転換したようだ。

過去のWBC監督の人選でも同じようなことを繰り返してきたにも関わらず、この迷走ぶりである。

試合勘があり、自分の球団や他球団の戦力を把握している現役の監督がいいに決まっている。前年度優勝の監督が自動的にWBCの監督になるように決めていれば問題はなかった。

同情するのは現役の監督からの反応が悪く、コミッショナーや王さんが強くお願いできない雰囲気があったのかもしれない。

秋山監督は「知らないよ。それどころじゃないよ」

もう一人の候補の巨人の原監督は「僕はコメントのしようがありません。NPBの方に聞いてもらったほうがいいんじゃないでしょうか」と、うんざりしている声がお互いから出た。

もちろん大事なレギュラーシーズンの終盤を控え、秋山監督の言うとおり、それどころじゃないのかもしれないし、あの監督に断られたから君ね、みたいな決め方をされるのはプライドが許さないだろう。

名前があがった監督達に覇気が感じられないのが、いささか引っかかる。

「俺がやる!」と声を上げるくらいの人はいないのだろうか。

どの競技でも世界大会で3連覇というのは難しいと思う。けれど、WBCが近づくとファンの期待が膨らんで、負けたときのバッシングは想像がつかない。報道を見ていると候補にあがる人達は永遠というか、腰が引けているように感じる。

ならば、この人ならしょうがない、というような人を選ぶしかないのだろうか。

ひとつ良い例をあげたいと思う。

選手としてそれほど光る成績を残しておらず、監督やコーチの経験がない栗山さんが日ハムの監督に決まって開幕投手に斉藤選手を指名したとき、ド素人監督だとか、球団の圧力に屈したなどの批判があった。現在、日ハムは圧倒的チームの柱だったダルビッシュを欠き、大きな補強をしなくても首位争いをしている。これはコーチをあまり変えず、チームとして基盤がしっかりしているからである。ここ数年の日ハムのチームカラーは一本筋が通ってブレがない。ガツンと長打を狙える打者は少ないが、各々の選手が役割を熟知して打線がつながる。ケガ人が出ても若い選手がカバーするし、吉井投手コーチが二軍で一年間面倒を見てきた成果なのか、投手陣の層も厚い。つまり新監督が就任しても、チームカラーをリセットする必要がないのだ。

WBCも前回とあまりコーチ陣を変えないほうがいいと思う。

例えば現解説者の野村さんがヘッドコーチで、前中日監督の落合さんがバッティングコーチというような夢の布陣は、プライドや目に見えない壁が邪魔をして無理だろう。

WBC用にあらかじめコーチ陣を決めておいたほうが混乱はなく、あとはここぞというときに決断できる監督を頭に据えればいいと思う。

そして一番やっていけないのは、選手を選ぶときに各チーム2名ずつなどの均衡を保った人選はやめてほしい。

韓国で開催されたIBAF U-18世界野球2012で、色々あって結局日本は6位に終わった。高校生が慣れ親しんだ金属バットから木のバットで急に打てといわれてもかなり難しく、大変だったと思う。打てなかったのはしょうがない。けれど、守備によるミスで得点に結ぶケースが目立った。内野の連係がひどく、完全な人選ミス。投手以外は夏の大会で優勝した大阪桐蔭と準優勝の光星学院の3年生の選手で固めたほうがずっとマシだった。各高校に気を使うあまり、あんな人選になったのだろうか。

WBCで勝つための監督や選手を選んでほしいものである。

 

画像:from flickr YAHOO! (http://www.flickr.com/photos/colbyp/3389542282/)

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