「忘れ物を○○に届けました」というSNS投稿は危険? なりすまし詐欺や返還ルール煩雑化のおそれも

SNS上でしばしば見られる「忘れ物を○○に届けました」という報告。

落とし主に対する善意から良かれと思ってそうした報告をする方がいるのだろうが、今その行為が思わぬなりすまし詐欺返還ルールの煩雑化を招きかねないと啓発するツイートが注目を集めている。

件の投稿は「現役駅員の本当の話」(@n3cflFNAtq5B9o3)というTwitterアカウントを運営する現役の駅員によるもの。

https://twitter.com/n3cflFNAtq5B9o3/status/1297583824763629569?s=20

「『忘れ物を○○に届けました』の投稿、駅員の立場では止めて欲しいです。

現状は『拾得者と保管者のみが遺失物の情報を知っている前提』で、遺失物法をはじめ、各社で返還に関するルールを定めています。

よって、落とした場所や特徴等を聞き取りし、一致すれば落とし主本人だと判断しています。」

https://twitter.com/n3cflFNAtq5B9o3/status/1297584566031355904?s=19

「しかし広く大衆が知っている前提に立てば、返還は難しくなります。

投稿を見た悪意ある『なりすまし詐欺』に警戒し、名前入りの遺失物しか返還できなくなるかもしれません。

落とし主の為を思って投稿するお気持ちには敬意を表しますが、正当な落とし主に返還するために、ご理解頂ければと思います。」

現在、鉄道各社では、拾得者と保管者のみが遺失物の情報を知っている前提で返還ルールを定めているため、SNSで情報を拡散してしまうとその前提が崩れ、なりすまし詐欺予防のために返還ルールが煩雑化してしまう恐れがあるという内容だ。

この啓発に対し、SNS上では大きな反響が起こっている。

「親切心でのツイートがかえって持ち主限定を妨げたり、なりすましに繋がるのですね
気を付けなければ…」

「以前拾得が多い受付で勤務してましたが、スマホや無記名の交通系ICカード落としたんですけど…って『定期的』に来る人がいました。
スマホならキャリアや待受画面(機種でもいいけど見分けつかない)やケースの特徴が一致しないと返しませんでした。
つまりそれらを載せてしまうと……うん。」

「田舎で接客販売業をしていたとき、持ち主になりすまして忘れ物をとりに来る人に何度か会いました。物の特徴を聞いたらはぐらかしたり違うことを言ったりするので、すぐ持ち主じゃないと分かりましたが。
だからTwitterで落とし物の特徴を詳しく掲載している人を見ると、ひやひやしてしまいます……。」

「確かに遺失者は自動的に落としたことに気がつくから、拾得者がSNSで世界中に情報を拡散する必要はないですね。
遺失者は建物管理者か警察に遺失届を出せば良いだけですからね。
悪意がないのは分かりますが迷惑かもねぇ。」

反響を見渡すと、実際になりすまし詐欺と思われるシチュエーションに遭遇したことのある方は一定数いるようだ。鉄道内での拾得物はすみやかに駅員に届け、その後の処置はおまかせするのがベターということだろう。

※掲載協力:現役駅員の本当の話(@n3cflFNAtq5B9o3)さん

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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