「絶叫は心の中で…」富士急行プレスツアー取材レポート!本当の絶叫は相模湖かも?

  by 古川 智規  Tags :  

富士急行による今夏の報道関係者向けプレスツアーが開催されたので取材した。
例年であれば、同社社長による楽しいプレゼンテーションからスタートするのだが、今年は新型コロナウイルスの影響により会場を設定して報道関係者を屋内の一か所に集めるわけにはいかず残念ながら企画されなかった。来年はぜひ会場を笑いの渦に巻き込んでもらいたいものだ。

さて、今回のプレスツアーは同社が運営する3か所の施設を回るものだ。順を追ってレポートするので、この夏のお出かけの参考にしていただきたい。

富士急バス

報道関係者一行を乗せた「富士急行観光」の貸切バスは一路、中央道を西に向けて走る。今回のバスは日野自動車・J-BUSのセレガハイデッカー車。バスタ新宿から河口湖方面に向かう高速バスとほぼ同型のバスだ。

同社グループの観光バスや高速バスは、安心して乗車してもらうために最新の空調設備を設置している。車内の空気は外気導入でおよそ5分で入れ替わるようになっている。乗用車のように内気循環から外気導入に切り替えると冷房性能が低下するようなヤワなものではないので、暑い日でも常に強力な冷気が吹き続ける中で車内の空気が入れ替わる。今回は一人で2席を使用するいわゆる「ソーシャルディスタンス」が確保された。

高速道路走行中に富士山が見えてきた。近いからといって常に見えるわけではないので、高速バスで左側の座席に座れた場合は窓の外を見てみよう。

富士急ハイランド

夏休み期間中ではあるが、学校の夏休みは短縮になっているところが多く、さらに昨今の感染拡大の影響でガラガラなのかと予想していた。確かに外国人の短期上陸が許可されない状況なので、外国人観光客はほとんど見られなかったものの、代わりに幼児連れの家族が比較的多いように見えた。昔の日本の遊園地はこうだったと懐かしさを感じるような光景だった。
懐かしいのだが、QRコードが入った入場券をかざした上で、最新の顔認証を経て入場する。認証の際はマスクを外す。

富士急ハイランドでの目玉一のつは「富士飛行社」。航空機の翼に座っているような感覚で広がる景色を眺めながら楽しむことができる。風や水まで出てくるバーチャルとリアルが融合した記者も大好きなアトラクションである。
今回のコンテンツは、エヴァンゲリオン×富士飛行社『EVANGELION THE FLIGHT』である。
詳細はネタバレ防止の観点から記載しないが、世界観がわかるファンであれば一度は搭乗しておきたい。等身大に「感じる」映像と、現代の技術では不可能な飛び方を楽しんでいただきたい。

絶叫マシーンは健在である。ただし、マスク着用の上で乗らなければならず、あまり叫ぶのもどうかと思われるので同社では「絶叫は心の中で…」を推奨している。とはいえ、地上まで叫び声が聞こえてくるのは仕方のないことか。

もう一つの目玉は、「Fuji-Q 激辛祭り」だ。結論をいうと、勘弁していただきたい。物事には限度というものがある。辛ければいいというものではないが、「富士急ハイランドが贈る本気の辛さに挑戦!」ということで来場者に挑戦しているのだから受けないわけにもいくまい。
フルサイズをすべて食べるわけにもいかないので、小分けにされた試食用のものを順次食べてみたのでレポートする。

激辛料理の名店「赤い壺」とのコラボは、赤い壺激辛セット[小籠包+ミニ坦々ご飯]。国産唐辛子をふんだんに使用したもので、どちらも食べたときには何ということはないが、あとからじわっと効いてくる辛さが何とも憎たらしい。ちなみに韓国産唐辛子よりも国産の方が辛さは上だ。

<ド・ドドンパ×伝説のすた丼屋コラボメニュー>伝説のすた丼屋コラボ 赤赤スタミナ丼は、素直に美味しい。おいしいのだが、唐辛子の輪切りがゴロゴロ入っているので、よけても無駄。タイ料理にありがちな食べた瞬間に口から火が出る、あの感覚だ。唇をクールダウンさせないと、食べ終わった後にまともにマスクを装着することはでいない。自分の吐息で唇の痛さがぶり返してしまうからだ。厳に注意されたい。

<ええじゃないか×鬼金棒コラボメニュー>鬼金棒コラボ カラシビまぜそば。見ただけで辛そうだが、実はそれだけではない。見た目もそうだが、目の前にした途端にマスク越しに鼻に入ってくる強烈な山椒の香りが辛さの想像を増す。試食した辛さは普通だったが、美味しい代償として唐辛子と山椒の辛さが同時に来るので、そばをすする間隔での早食いはおそらく不可能だ。

<FUJIYAMA×赤からコラボメニュー>赤からコラボ 激辛牛すじうどん。「鍋に唐辛子の粉がこびりついとるではないか!」とつぶやいてしまった一品。牛すじは噛めば噛むほど味わい深いのだが、これをゆっくり噛むことがどれほど苦痛かお分かりだろうか。しみ込んだ出汁は唐辛子をたっぷりと含んでいるのだ。すじ肉とスープを味わおうとすると、もれなく唐辛子が付いてくるというとんでもない「工夫」である。

この他にも激辛メニューは豊富にそろっているので、挑戦を受ける方は覚悟してメニューを選んでいただきたい。もちろん通常の辛くないものもあるので、その点はご安心を。

忍野 しのびの里

2番目の目的地は「忍野 しのびの里」である。忍者屋敷を中心に子供と一緒に遊ぶことができる楽しい体験型施設である。
レストランも充実していて、忍者風だったり、土地のものだったりと楽しいメニューもいっぱいだ。

今回登場した屋外ステージによる忍者ショーを見学した。実は以前から屋内ステージでも忍者ショーは演じられているのだが、かなり本格的なもので、手裏剣は飛ぶわ、忍者の強烈な殺陣が目の前で繰り広げられるやら、大人にとっては大迫力の見どころ満点のショーである。しかし、あまりにも本格的過ぎて子供が怖がってしまうという予想だにしない現象がみられ、同施設では子供でも楽しめるようにステージも設置してこちらではギャグや笑いを取る楽しいショーを行うことになった。手裏剣は飛ばないまでも、迫力の殺陣は健在でそのライトバージョンが子供の心を揺さぶる。大人同士では屋内のショーで、子供連れの時は屋外ステージでと選択できるようになったというわけだ。
有料のレンタル忍者衣装もあり、ピンクの忍者装束を身にまとったかわいい「ちび・くノ一」と家族が写真を撮っている風景は何ともほほえましい。

ちょっと小腹がすいてきたら人気の茶屋メニューである「黒だんご」がおすすめ。大きな黒だんごにたっぷりのきな粉がかかったものだ。だんごが大きいのでゆっくり食べても中はアツアツのままで冷めにくい。また空腹をきっちり満たしてくれる量はあるので、やけどしないように富士山を見ながらゆっくり食べたい。

さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト

最後に訪問した施設は「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」だ。以前に取材したことがあるが、なんといっても山の中腹に入場ゲートがあるので、そこまでたどり着くのが一苦労だった。延々と続く階段を上がってやっとゲートにたどり着く苦行の地だった。
しかし、今回訪れた時にはなんと入場ゲートまでエレベーターが設置されていた。これならば苦労せずに入場することができる。

富士急ハイランドの絶叫マシンもいいが、今回の絶叫王者はここなのかもしれない。その名は“絶叫・爽快”アトラクション『風天』である。

簡単に言えば、空中に設置された「島」を取り巻くの異なるつり橋を渡りながら戻るというものである。
記者は下から撮影をしたので渡っていないが、代わりに渡って撮影した女性の感想と富士急行の説明をもとに記述する。

実はこのつり橋はかなりの曲者で、ハーネス1本で渡らなければならない。しかも踏板があれば難易度の低い方で、ワイヤーのみの「綱渡り」橋まである。

「サーカスじゃないんだから!」と絶句する。このつり橋の絶叫感は「自分との闘い」である。絶叫マシンは乗ってしまえばあとは自分の意思とは関係なく機械が勝手に動いてくれる。しかし、このつり橋は1歩踏み出してしまえば一方通行なので自分の足で前進しなければならない。戻ることもできず、立ちすくむこともできず、かといって追い抜きができない仕組みのハーネスなので後から迫りくる人に焦りを感じながらの恐怖なのである。

ハーネスのことを気にしていると下を見る余裕はない。下を見てもあるのは地上だけでネットすらない。何とか渡った中空の島からの眺めは最高でホッとしていると、なんと穴が開いている。ガラス張りとかアクリル張りとかそういう思いやりは微塵もない。ただただ、ビビらせたいがための悪趣味な仕掛けである。

「島」で安心してはいけない。地上に降りられる鉄塔までまた橋を渡って戻らなければならないのだ。
ちなみに、仮に途中で立ちすくんで動けなくなった場合はどうなるのかと聞いたところ、資格を持った救助隊が出動して特殊なハーネスで前にいる人を追い抜きながら要救助者のもとにたどり着き、ワイヤーを使って空挺隊よろしく、その場から下に降ろすとのことだった。そちらの方が怖いのではないだろうかと思ったのは記者だけだろうか。

総合的な感想としては、自分一人だとマイペースで行けるが、大勢の人が橋に乗っかると複雑で予測できない揺れが生じ、あとから来る人に詰められる焦りを感じるので心が折れそうとのことだった。自分との戦いでもあるが、敵は後から来る人だそうだ。

新型コロナウイルスで実質的にお出かけ先がかなり限定されているのが現状だ。しかし自衛と施設側の対策の指示に従い、長い自粛でたまったストレスを少しでも発散できる目的地の一つとして選択肢に加えてみてはいかがだろうか。
なお、現在でも閉鎖している施設があるので、お出かけの際はホームページ等で確認をしておくことをお勧めする。

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

Twitter: jj6tje

Facebook: jj6tje