【動画あり】東京を海から眺めながら食事を楽しむ三密回避のショートトリップに出てみた!~シンフォニークルーズ~

  by 古川 智規  Tags :  

まもなく夏の旅行シーズンではあるが、旅行をしたくてもなかなか出かける状況にないし、特に東京都民にとってはGO TOキャンペーンも対象外であるため八方ふさがりの状態だ。
東京発着がダメだというのであれば、密度の高い東京では出かける場所がないという結論になるのが正直なところだ。そこで、これを逆手に取り、東京都内しかも区部で三密にならずに日常とは違う空間と体験を取材したのでレポートする。

そこは日の出桟橋から発着するレストランクルーズ船「シンフォニークルーズ」である。
クルーズ船といっても宿泊をともなう大型客船ではなく、東京湾内をそれぞれのレストラン所要時間に合わせてめぐる遊覧船的なクルーズ船である。

所要時間の短いランチクタイムやティータイムをはじめ、2時間30分を要するディナークルーズまで4コースあるが、今回はディナークルーズに乗船した。
ディナーの種類も複数あり、コースをメインダイニングで楽しむことができるプランや、カウンターでの創作和食を堪能するプランもある。記者は後者を選択した。
なお意外と知られていないが、各コースとも運賃のみで乗船するだけのプランもある。これがお試し乗船にも今の時期のお手軽お出かけにも合いそうなプランなので本稿で合わせて紹介する。

今回のヴェッセルは「モデルナ」2618総トン。定員は約600名だが、現在は乗船可能旅客数を大幅に減らして運航中である。
大きさは全長83.20メートル。全幅13.00メートルである。一般的な通勤電車4両分の長さで、大型バスの全長分の幅があるといえばわかりやすいだろうか。ただしデッキは4階分あるので思ったよりも大きい。

夕暮れのとばりが東京湾に降りる頃、出航時刻を迎える。日の出桟橋はゆりかもめ「日の出」駅すぐのところにあり、各線新橋駅や都営大江戸線汐留駅からの連絡が容易だ。
カウンターのみの創作和食レストラン(寿司ダイニング)「海音(かのん)」に座ると、目の前は海。伊豆大島等にわたる東海汽船の客船がとなりの竹芝桟橋に着岸する様子が見えた。これから航行する場所は東京湾内なのでどこを向いてもこのような東京の夜景が広がる。これが運賃のみで乗船しても損はない理由の一つだ。もちろん乗船のみでも座席は用意されているが、外部甲板にいれば360度パノラマの夜景が広がり、しかも海風に吹かれほとんど人のいないデッキでは三密とは無縁の空間が広がるというのがおすすめの第二の理由だ。

船舶の出航といえば銅鑼(ドラ)がつきものだが、このような船舶伝統の雰囲気も本船ではきちんと採用されている。本船は対象外だが、ドラは現在においても法律で衝突を防止するための音響信号の一つとして大型船舶には備え付けなくてはならない重要な艤装である。帆船時代の出帆合図よろしくノスタルジーだけで装備しているわけではないが、乗客としてはそういうことも頭の片隅に置きつつ、出航の雰囲気を味わいたい。
出航早々に見どころであるレインボーブリッジの下をくぐる。イルミネーション輝く橋の下をくぐるのは久しぶりである。瀬戸内海を航行するフェリーだと明石海峡大橋、瀬戸大橋、しまなみ海道を通過するが、船舶で橋梁をくぐるというのは操船技術が必要な場面だ。乗客には楽しい瞬間だが本船ではディナークルーズ時は2つの橋をくぐるコースを採用している。記者は小型船舶操縦士免許を受有しているが、慣れているとはいえ毎回緊張しながらの操船なんだろうと船橋に思いをはせる。

取材当日はあいにくの雨模様だったが、この時刻の東京の視程は8キロメートル。東京の夜景に浮かび上がる東京タワーのイルミネーションが幻想的だった。

レインボーブリッジの下をくぐる。ブルーのイルミネーションは新型コロナウイルスと戦っている医療従事者に感謝の意を表するためのもの。緊急事態宣言中は赤だったという。

さて、レストランではディナーが開始される。シェフ陣が秋田の白神山地から仕入れた生ハムからスタート。なおメニューは20品以上にも及ぶため、すべてを紹介できないのでダイジェストで掲載する。メニューは随時変更されるので詳細は同社ホームページで確認していただきたい。

秋田白神山地のハモンセラーノ・LED健康サラダ

食べているうちに本船は2つ目の橋梁である東京ゲートブリッジにさしかかる。

茄子とトマトの寿司。トマトが寿司になるとはおどろきだが、甘くて魚とそん色のない美味しさだ。

ちなみに寿司に限らずすべての料理は下ごしらえは済ませてあるとはいえ、カウンター越しにシェフがその場で調理して一品ずつ出してくれる。

和牛炙り

〆の船内手打蕎麦はその日に出されるそばを船内で手打ちしているので、風味や歯ごたえともども最高の状態で提供される。

デザートはクレープシュゼット。フランス料理のスイーツを目の前で作る様子はあまり見る機会がないので、スイーツ好きの女子には必見の時間だ。
ちなみに、和食や寿司の名称が付くレストランだが、シェフはフランス料理人なのでなかなか不思議な光景だ。いかにもフランス料理で使われそうな高級鍋でフランス料理テイストの和食が作られるのは実に興味深い。

■【VR360】三密を避けて東京湾で海風に吹かれるライトな船旅 ~シンフォニークルーズ~
https://youtu.be/FeiOr7jhisA

船内の売店ではオリジナルキャラクターや乗船記念品等、本船乗船時でないと購入不可能なアイテムも多数あるので要チェックだ。
ディナー時間帯の後半から入港時まで行われたピアノの生演奏の模様をご覧いただこう。ピアノの調べで少しでも癒しを感じていただければ幸いである。

■シンフォニークルーズ・ディナークルーズ中のピアノ生演奏
https://youtu.be/cGjvGCz6hOQ

(ブリッジの写真は日中の航海中に特に船長の許可を得て撮影)
食事やお茶のプランでも、乗船のみのプランでも広い空間を少人数に限定して、いわゆるソーシャルディスタンスや乗船時のマスク装着要請、非接触検温、アルコール消毒等の感染症対策は行っているの安心して乗船することができるだろう。
都外への旅行は気が引けるし、都内では人が多すぎて出かける気になれない中で、意外にも東京を潮風に吹かれながら海から眺めるという三密回避で美しい非日常を楽しむことができる技があるので、特に東京都内在住の方は自粛や在宅で疲れた心をリフレッシュする選択肢として検討してみてはいかがだろうか。

※参考
シンフォニークルーズ
https://www.symphony-cruise.co.jp [リンク]

※写真および動画はすべて記者撮影・収録

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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