子どものころ、流行った遊びの代表格といえば、やっぱり”秘密基地”づくりではないでしょうか。
いざつくろうとしても遊歩道があるような手入れが行き届いた場所は相応しくなく、人間が立ち入らない一画を探すのに、かなり苦労した記憶があります。
まずは適当な山を見つけ、スコップで階段をつくりながら崖を上り、道を切り拓き、適当な広さのスペースを見つけ、切り株で椅子や机をつくり、折れた木の枝で塀や門をつくる。そして基地らしくなってきたら色々な罠をつくるなど、さまざまな工夫を加えながら、ようやく”秘密基地”が完成します。それから放課後にはメンバーを集めては毎日のようにそこで遊びました。いつしかそこには近所の空き地に捨てられていた大量の”ビニ本”や家具で溢れていきます。どこからともなく集まってきたそれらの本を、やましい気持ちで見るよりも、なにか秘密めいたもの見ていることに対してワクワクしていたように思います。
しかしながら新メンバーを召集した結果、口伝に人が集まりすぎてしまったり、元々自分たちが所有していたと基地の権利を主張するグループが現れたり、土地の持ち主に叱られたり、ホームレスの住処になってしまっていたりと、新たに秘密基地をつくっていく必要がありました。
私が千葉で育ったこともあり、”秘密基地”の舞台は山や森でしたが、都会やもっと田舎に住んでいた子どもたちの舞台はどこだったのでしょうか。気になったので色々なサイトを巡ってみると、山や川原、公園など定番的な場所から、室内では箪笥の中などが多いようです。中には地元で心霊スポットになっている廃居や防空壕を”秘密基地”にしているワイルドな子どもたちもいたようです。
こうしてみると、広々としたスペースよりも、狭いところを好んで選んでいるようにも思います。それは大人になってからも変わらず、ひとりで食事にいくときは広々とした開放的なお店よりも、狭くて照明の暗い落ち着ける店を選びますし、せっかく大きな家を建てても小さな書斎をつくって入り浸っている人も多いと聞きます。むしろ二段ベッドの下のスペースが居住空間が丁度いいのかもしれません。親戚の家にいったときに”お坊ちゃまくん”の部屋のような広間に布団一枚置かれても落ち着きませんよね。
もしも、日々の疲れが取れない、ストレスが溜まっていると考えている人がいたとしたら、とりいそぎ部屋にダンボールの仕切りをつくって、そこで過ごしてみてはいかがでしょうか。そこでコソコソと本を読むもよし。晩酌をしてもよし。もしかしたら日々の疲れなんかすっ飛んでしまうかもしれません。
懐かしい場所に訪れたときに、そこにかつての名残があるのか確認してみてはいかがでしょうか。
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