派閥からみる安倍改憲シフト

  by 中谷恵  Tags :  

安倍首相の悲願である憲法改正を主導する党と国会の人事を派閥から分析してみました。

憲法改正の推進には、党と国会の役割が重要です。

まずは自民党に設置されている憲法改正推進本部の人事です。

憲法改正推進本部長 細田博之(細田派)
本部長代行 古屋圭司(谷垣G)
本部長代理 野上浩太郎(参院・細田派)
事務総長 根本匠(岸田派)
事務局長 山下貴司(石破派)

安倍首相の出身派閥の会長の細田博之が本部長を務め、本部長代行は安倍総理の同じ成蹊大学出身で盟友の古屋圭司、本部長代理は内閣官房副長官を務めてきた野上浩太郎、事務総長は岸田派の事務総長を務める根本匠、事務局長は安倍総理と距離を置く石破派のホープで元法相の山下貴司がそれぞれ務めています。

安倍総理の出身派閥の細田派、盟友、リベラル色の強い岸田派の幹部、対立する石破派のホープを起用することで挙党体制を構築しようとしているように見えます。

次に国会の人事です。

衆議院憲法審査会長 佐藤勉(麻生派)
筆頭幹事 新藤義孝(竹下派)

参議院憲法審査会長 林芳正(参院・岸田派)
筆頭幹事 石井準一(参院・竹下派)

衆議院は、麻生派の重鎮で国会対策に強いサトベンこと佐藤勉、野党との交渉を担う筆頭幹事は、硫黄島の戦いにおける日本軍守備隊最高指揮官の栗林忠道の孫の新藤義孝がそれぞれ務めています。

参議院は、岸田派幹部で安倍首相の地元山口におけるライバル関係にある林芳正、筆頭幹事は次期参院のドンとの呼び声も高い石井準一がそれぞれ務めています。

野党との交渉力を重視した人事であるといえるでしょう。

中谷恵

政界ウォッチャー。

Twitter: @seikyoku_ch