『ジャパンインターナショナルボートショー2019』取材レポート

  by 古川 智規  Tags :  

パシフィコ横浜ほかで3月10日までの4日間開催された『ジャパンインターナショナルボートショー2019』を取材した。
ボートと言っても中小のプレジャーボートから大型クルーザー、水上オートバイやクルーザーヨットまで多岐にわたる艇が揃った。

ボートというと免許を取得してお金持ちが船を買ってクルージングや釣りを楽しむというイメージが一般的ではないだろうか。確かにそういう側面もある。横浜ベイサイドマリーナ会場で展示されていたクルーザーやヨットは数百万円クラスから数億円クラスまで高級車1台、家1軒分の価格のものが多かった。
しかし、免許そのものの取得費用は自動車運転免許よりも安く取得期間も短いし、船を購入するのではなくレンタカーのように借りるのであれば維持費はかからず必要な時に手頃な費用で「舟遊び」をすることができる。

ヤマハ発動機のマリン事業に燗する記者発表会では、同社が販売するボートや船外機システムの紹介がなされた。
詳細は後述するが、同社では免許を持つ人にも持たない人にもボートの楽しさを提供する会員制のクラブを設置している。

ボートの推進機構は特殊なものを除いてエンジンでプロペラを回して前進する。船の中にエンジンを持ちシャフトでつながったプロペラを回すのが船内機、エンジンもプロペラも推進機構の一切をボートの外側に取り付けて走る形式を船外機という。またその中間の船内外機というのもある。
写真はヤマハ発動機が販売する船外機の一例で、すべてがこの中につまっている。

一般的に船外機というと小型船のエンジンと思われがちだが、大人の身長ほどの大きさの大型船を動かすことができる船外機もある。
写真の船外機は425馬力のもの。

記者は一級小型船舶操縦士の免許を受有しているが、自分が船長として操船する楽しみは味わったものでないとわからないと考える。もちろん記者は船を所有していないが前述したヤマハの「Sea-Style」というレンタルボートクラブでクルーザーを借りてクルージングしたことは数度ある。
船釣り目的であればキャビンは最小限でデッキの広いボートを借りればよいし、多人数でクルージングを楽しむのであればキャビンやトイレが付いたクルーザーを借りればよい。

現在ではキャビンの上に操縦席があるフライブリッジ仕様のボートも借りることが可能で、眺めも爽快感もすごいが見張りがしやすいという利点もある。
船舶は基本的に道路のように通行すべき「道」というものがない。もちろん港内や行き違い、追い越しのルールはあるし、大型船が狭い海域で指定された「道」を航海しなければならない航路はあるが、基本的にはどこを走っても自由だ。そのために並走していると思っていてもわずかな角度の違いで数分後には航跡が交差する、つまり衝突の危険は常にある。だから操船は見張りが重要で、特にプレジャーボートのような小型船では見晴らしの良いフライブリッジは安全面でも有利だといえよう。

船舶には海の地図ともいうべき「海図」を備えておかなければならない。小型船の場合は海図に代えて利用することができる手軽なものもあるし、GPSプロッターや電子海図もあるのでかつてのように複雑ではないにせよ、自船の位置と目的地を逐次確認するのに海図は必修だ。小型船舶操縦士の学科試験では一級に限り上級運航Iという科目で海図の試験があるので読んで航海計画を立てることを要求される。
日本の海図を販売する日本水路協会によると、昨今はヨット用の海図(ヨット・モーターボート用参考図等)を購入するカヌーやシーカヤック愛好家が多いという。人力で推進するのでそれほど沖合いを航海するとはにわかに信じがたいが、大昔は人力による丸太船で文明が伝搬していったことを考えると、ありえない話でもない。海図には海のロマンが詰まっており、大型フェリーのロビー等に掲出されている場合もあり機会があればご覧いただきたい。

会場には自動車の展示も数社からされており、ロールスロイスも展示されていた。
車内に入ることもでき、一生に一度乗ることができるかどうかのロールスロイスのシートは格別なものだった。

海上での展示は各社自慢のクルーザーやヨットが所狭しと係留されていた。まさに高嶺の花のクルーザーは見ているだけでため息が出るほどロマンチックだ。

免許を持たなくてもレンタルボートクラブでは船長付きの貸し出しを行っているので、ちょっとオリジナルなクルージングを体験してみたい場合や、これから免許を取得しようと考えている方にも楽しむことができるプログラムが多くある。機会があればお近くのマリーナを訪ねてみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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