宇多田ヒカルのPlayStation4用(以下 PS4)ソフトウェア『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018–“光”&“誓い”–VR』が一般配信されることを記念してソニーが開催した公開トークイベントを取材した。
トークイベントでは撮影対象となる宇多田さんについて「今回一番こだわったことは、被写体である宇多田さんの動き方でした。宇多田さんには、VR 撮影におけるカメラの存在について、普段のライブとは異なり、VR 体験をされるのは 1 名のユーザーの方となるため、カメラを見つめて歌うことでたった 1 名のお客様に対してとても魅力的に歌を届けることができるという話をしました。カメラとの距離についても、テスト映像を宇多田さんに見せて理解してもらいながら、共に創り上げました。また、ユーザー体験のほぼ大半を左右するくらいに重要なカメラの高さ、カメラと宇多田さんの位置関係や距離については、カメラの位置を 1cm 単位で移動させるなど細かなテストを重ねました」と語られ、こだわりぬいた作品であることが披露された。
このイベントでは『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018–“光”&“誓い”–VR』を先行体験することができた。
現代では手軽に360度VR動画を撮影してそれらを個人で公開することはさほど難しいことではない。記者もVR体験は何度もしたことがある。顔を向けた方向に視線が移るVRはハマれば楽しいコンテンツである。しかし本作品は業務用の4K、映画用の6Kカメラを組み合わせて撮影されており、映像のクオリティはまさにヴァーチャルなリアル。
ソニーの技術を集結して制作されたこのVRは距離感、立体感が尋常ではなく自分だけのために目の前で歌ってくれているような錯覚を覚える。
3つのカメラ位置から自由に選択できるのだが、2番カメラに至っては宇多田さんの持つマイクの先が自分の20-30センチメートルの位置にあるという距離感だ。したがって宇多田さんの顔は見ている人の目の前50センチメートル程度に感じることができる。しかも歌唱中の目線は多くの時間でカメラに向いているので、まさに見ている人と見つめ合いの状況で1曲が歌い上げられていく。
最終的な感想としては「こちらが恥ずかしい」という一言に尽きる。記者は芸能人と単独で直接インタビューをすることはある。それでもこの距離感は経験がない。それゆえにバーチャルであっても気恥ずかしさを覚えるのだ。
ファンの方はもちろん、今までVRに興味がなかった方も、この距離感と立体感には体も心も反応してしまうはずだ。現在は一般に公開されているので渋谷モディ1階にあるソニースクエア渋谷プロジェクトで体験していただきたい。
※写真はすべて記者撮影