豪華クルーズ客船と聞くと、100万円は下らない超豪華なセレブの船旅を想像するかもしれない。もちろん、世界にはそういう豪華クルーズ客船がごまんとある。
今回記者が乗船したのは、香港のスタークルーズが運航するスーパースター ヴァーゴ(以下、ヴァーゴまたは本船という)。運賃は破格の12万円台、1日6食までの無料レストランでの食事、プールにジャグジー、ウォータスライダーやエンターテイメント等の施設利用まで付いての運賃だ。
記者は実際に本船に乗船して取材したので、3回にわたりレポートする。
前回の「航海日誌・前編」は7泊8日の船旅の前半を寄港地を含めてレポートした。
本稿の「航海日誌・中編」では、航海の途中ではあるが、食事やエンターテイメント、船内施設についてまとめて紹介したい。
次回、「航海日誌・後編」では、航海の前半に引き続き後半をレポートする。
※参考記事
【動画多数】航海日誌・前編『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力
https://rensai.jp/230725 [リンク]
【動画多数】航海日誌・後編『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力
https://rensai.jp/230898 [リンク]
■00 ヴァーゴ オリジナルイメージムービー Super Star Virgo
https://youtu.be/VxxMnj_rf6Y
航海の様子は少し中断して、船内の施設を一気に紹介しよう。
船内施設
7デッキ・エントランス
エントランスホールはレセプションやお土産品を売るお店などがある。パッと見は大型商業施設のホールのようだが、両舷の窓から海が見えることで、船舶であることを知る。それほど巨大なホールだ。
目を引くメインのエレベーターは7デッキから13デッキまでのシースルー。エレベーターはここだけではなく、バウにもスターンにもある。
らせん階段を登ると8デッキの免税店。この階段中央では生バンドの演奏や船長以下オフィサーの紹介を兼ねたカクテルパーティーが開かれる。その模様を動画で。清水港出港後に行われた。
■06 ヴァーゴ 船長主催カクテルパーティー
https://youtu.be/R4Pc4AF16aA
10デッキ・ダイヤモンドクラブ(日本人旅客専用・利用無料・飲食有料)
本船では日本人旅客をかなり優遇しているように感じる。
ダイヤモンドクラブは日本人旅客専用のラウンジである。いれたてのコーヒーや紅茶、日本茶がセルフサービスながら無料で楽しめるほか、日本の新聞や雑誌、観光ガイドなどを閲覧することができる。
10デッキ内側と、外のキッズ用プール側から入ることができるが、英語と中国語のみで貸切である旨の表示がされている。つまり、ここを日本人用サロンだと知っている日本人のみが入室できる仕組み。
バーカウンターもあり、有料ながら生ビールやお酒、茶菓子も提供されている。日本人クルーがいる時間もあるが、たいていは日本語がある程度通じるフィリピン人クルーが交代で常駐している。写真はエデイリーンさん。
記者の取材をアシストしてくれたクルーにインタビューしたのでご覧いただこう。
■15 ヴァーゴ 乗組員インタビュー
https://youtu.be/L-dB7woR9Ys
7/8デッキ・エンターテイメント「ゾディアックシアター」(基本無料・一部有料)
ゾディアックシアターは、7,8デッキ吹き抜けの大型シアター。
エンターテイメントや映画の上映はもちろん、下船地でのツアー参加者の集合場所としても使用される。2階席もあり本格的なシアターだ。
エンターテイメント部門の乗組員は、それ専門だが劇場での司会や通訳、デッキでのお出迎えやお見送りにも登場しどこで会うかわからない。制服も日によって変わることがあるので、そのあたりも注目して見ると楽しい。旅客一般を対象に行われる行事は英語、中国語、日本語で通訳が入るので、見ていてわからないことはない。
そのエンターテイメントの一部を動画でご覧いただこう。
■07 ヴァーゴ 船内エンターテイメント
https://youtu.be/Fd5SNqQWcf0
12デッキ・図書室(無料)
船内には図書室もある。ただしLibraryではなくWriting Roomとなっているので正確には「書斎」というべきだろう。
蔵書そのものは多くなく、日本語のものとなるとさらに少ない。しかし、図書室というよりも上流階級の社交場という雰囲気で、まさに西洋の書斎。映画に出てきそうな雰囲気は心を豊かにしてくれる。自分で持ち込んだ本をゆっくりと読むのもいいだろうが、果たしてそんな暇があるかどうか。
7デッキ・カラオケルーム「KTV」(有料)
有料ながらカラオケルームもある。東南アジアでKTVというと、お酒を飲むラウンジやクラブのようなものの名称だが、ここは高級なカラオケルーム。
広い室内でグループや家族でカラオケを楽しむことができる。高級とはいうものの、日本のカラオケボックスよりは高いという程度である。
7/8/12デッキ・ホットスポット免税店
主要な免税店は8デッキ。その他は高級腕時計やアクセサリーを扱う専門店。
日本製や日本でよく知られた外国製タバコの取り扱いは多くない。大半が中国製。セールで割引されることもあるので、船内放送は聞き逃さないように。
タバコとお酒は寄港中には販売されない。これは免税品の酒とタバコは消費税のみならず酒税とたばこ税(国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税)が免税になっているので、免税品が寄港地でそのまま日本国内に流れないようにするための制限だと思われる。
ちなみに、最近街中でよく見かける免税店(TAX-FREE)と空港等の出国エリアまたは都市部の百貨店にある免税店(DUTY-FREE)とは根本的に免税の方式が異なる。TAX-FREEは消費税(海外ではVAT・付加価値税という場合が多い)が免税という意味。すなわち外国人がお土産として国外に持ち出すことを条件に(国内で消費しないので)国内で一般に販売されている商品の消費税のみが免税となる制度。国によっては空港等の出国エリアでVATを払い戻すTAX REFUNDという制度の場合もある。一方、DUTY-FREEは商品が保税扱い(関税等の税金の徴収を一時的に止める制度で正式に輸入されていない状態)であるため最初からあらゆる税金がかかっていない状態で販売される。結果的には課税されていない状態で、そのまま国外に持ち出すので免税というわけだ。これらの制度の違いを知っておけば、海外旅行で免税店を利用する際に販売価格の参考になる。
もちろん本船の免税店はDUTY-FREEだ。
11デッキ・キャプテンズブリッジ
12デッキから、らせん階段を降りる形でブリッジ(操舵室)の裏側に出ることができる。
狭い部屋ながらガラス張りで、本船の模型や様々な展示物があり見どころ満載。キャプテンになった気分で操舵室をながめてみよう。
11デッキ・ブリッジ(通常は入室不可)
取材のために特別に入室が許された操舵室。場所はキャプテンズブリッジの目の前だが、詳細は保安上の理由で秘密にしておこう。
レーダーや海図が電子化されてすべてディスプレイ上に表示されているところが、近代化された船の証。
船長はフィンランド人で、ガラディナーや前述したオフィサーの紹介で登場し旅客をもてなす。それも船長の重要な仕事だ。
4デッキ・メディカルセンター(有料)
万が一病気になったり、怪我をしたりしたら4デッキのメディカルセンターを利用することになる。
船医(ドクター)はマレーシア人で、日本語で病気の症状や病名を的確に表現する。クアラルンプールで日本人を専門に担当したことがある経験が生かされているようだ。
そして、肩章を付けたかっこいい制服を身にまとった女性がナース。フィリピン人看護師でとにかく明るい。
写真は集中治療室。病院の入院施設と何ら変わりがない。
医薬品がぎっしり詰まった棚は動く病院そのものだ。
手術室も完備されており、ドクターによると簡単な手術はここでしたことがあるそうだ。
気になる診察料は、開業時間内であれば155香港ドル(以下同じ)。それ以外の時間帯は215ドルから280ドル。再診が90ドルで、キャビンへの往診は300ドルから370ドル。投薬は30ドルから60ドル、注射は60ドル、点滴は90ドルだ。妊娠検査というのもあって、こちらは60ドル。
利用しないに越したことはないが、ドクターによると普段から飲んでいる薬は必ず持ってきて飲むようにとのことだ。また酔い止め薬はレセプションに用意しているので、心配であれば気軽に声をかけてほしいとのことだ。
12デッキ・オスカーズサロン(美容・ビューティーサロン)
記者が行きたくて行けなかったのがココ。散髪をしてほしかったのだが、時間がなくてとうとう行くことができなかった。
12デッキ・アポロスパ&フィットネスセンター
フィットネスセンターにはさまざまな施設が備わっている。
スポーツジムもあり、インストラクターから指導を受けることもできる。
ここには日本のスタイルとは多少異なるもののお風呂もある。
残念ながら大浴場でもないし、正確にお風呂とは呼ぶには若干違うが、水着着用の上であればお風呂につかることはできる。
レストラン
レストランは3つの無料レストランと、それ以外の有料レストランで構成される。1日6食が無料で提供され、これだけでも十分に楽しむことができるが、特徴のある有料レストランも体験してみたい。
システムとしては、朝、昼、夕食の3食以外に航海のスケジュールや寄港地の入出港時間により、モーニングコーヒー、ブランチ、アフタヌーンティー、夜食を組み合わせて6食が設定される。同じ食事時間帯で利用できる無料レストランは1回のみで、カードリーダーにアクセスカードを通して判定される。同時間帯に2回以上や2箇所以上の利用は有料となる。どこのレストランがどの食事時間帯に営業しているのかは船内新聞「スターナビゲーター」で詳細に案内されている。
当然ながら有料レストランはこの6回には含まれない。
12デッキ・インターナショナルビュッフェ「リド」(無料)
リドは基本的に全てがバイキング形式。
複数のレーンが設けられているが、どのレーンを利用しても料理は同じ。多くの人をさばくための工夫だ。
「食べすぎてもう入らないけど、それでも軽食だけ…」という利用もOK。少食にも大食いにも対応できるのがリドの良い点だ。
ティータイムにはコーヒーや紅茶だけではなく、サンドイッチやケーキも用意される。これでもほんの一部。
バイキングの形式は日本とほぼ同じ。白ご飯よりもお粥が多いのが香港の船らしい。
朝食だけでもこの種類。撮影のためにすべて並べていただいたものだが、本当にこれだけの種類があるので全部食べるのは不可能に近い。よって飽きることはない。
写真は本当にお腹がいっぱいでもう無理かと思った状態でリドに行った結果、何とか取って食べた量。決してこれだけしかないわけではない。
どこでもそうだが、中国人旅客との混雑バトルは最初は面食らい閉口するかもしれないが、慣れればどうということはない。
6デッキ・中華料理レストラン「パビリオン」(無料)
パビリオンは中華レストランで、基本的には入店した段階で席を指定される。
テーブルの番号札が指定されたテーブルだ。
朝食は基本的な数品がコースで出て来るが、それ以外はバイキング形式の折衷方式。
フィリピン人のアンジェリックさんは、ホスピタリティが高くMVP級のクルーだった。彼女とは別のレストランでも偶然出会うこととなり、記者の日常会話に困る程度の英語で話すように心がけた。船内留学のつもりで航海中に取材の日程が入っていない食事時間帯はできるだけパビリオンに通うことになる。
本船にはさまざまな国籍のクルーが乗り込んでいるが、香港の船だから中国人ばかりかと思っていた。
ところが、この日の乗組員968人のうち中国人は319名でフィリピン人も319名だったのである。そして乗組員の国籍の数は実に25。国籍数だけで言うとちょっとした国際会議が開催できるほどだ。
そういう理由もあって、船内では極力英語を使うことを心がけたい。もちろん、日本人でなくても日本語ができるクルーは多くいるし、仮にわからなければすぐに日本語が理解できるクルーを呼んできてくれるので全く不自由はしない。
しかし、せっかくの外航船である。わからなくても身振り手振りでも、単語の羅列でもかまわない。伝えようとすれば、相手は少なくとも英語ができるクルーなので「忖度」して理解してくれるだろう。そういったやり取りから思い出が生まれ、クルーとの一体感が生まれるのではないかと思う。これが本当の「旅の恥はかき捨て」ということだ。恥ずかしい思いをしながら一生懸命に伝えようとする気持ちが大切だと信じる。何も羽目をはずして浮かれて大騒ぎするばかりが「旅の恥」ではない。
若干横道にそれてしまったが、写真は撮影用ではなく本当に記者が食べた一人分の昼食コース。
こちらは撮影用の夕食コース。しかし、特別なのは器だけで、本当にこの料理が出てくる。
6デッキ・インターナショナルダイニング「スターダイニングルーム」(無料)
本船のメインダイニングとも言うべきレストランだが、無料だ。
これはガラディナーという特別なディナーコース。航海中に一度設定される。
2種類の前菜から1品を選択し、3種類のメインから1品を選択するコース料理。スープとパン、デザートが付く。
こちらは通常の夕食バイキング。ちょっと食べすぎて、これだけしか取ることができなかったが、メインのプレートは選択式。写真には写っていない。つまり、お腹がいっぱいで選択しなかったからだ。
朝食のバイキング。メインに洋食を選択して残りはバイキング形式の折衷方式。メインプレートは中華も選択できるし、和食のお弁当も選択可能だ。
パビリオンのアンジェリックさんがヘルプで入っていたので記念撮影。ヘルプは日本語のバイト用語で、英語ではヘルプとは言わずにレスキューというようだ。
余談が多くて恐縮だが、アルバイトの語源はドイツ語のArbeitで英語ではjob。つまり、非正規雇用の短期や不定期労働者のことではない。
8デッキ・日本料理レストラン「サムライ」(有料・日本人は朝食無料)
有料日本料理店だが、朝食に限っては日本人限定で無料。ここでも日本人旅客が優遇されている。
一般のテーブルの他に鉄板焼をシェフが目の前で調理してくれる部屋がある。しかし、それは調理というよりもパフォーマンスに近い楽しいものだ。その模様を動画でご覧いただこう。
■13 ヴァーゴ 日本レストラン「サムライ」
https://youtu.be/MdrTwMeS2bs
一般的に記者は取材中に拍手をあまりしないものだ。なぜかというと、メモを取ったり写真を撮ったりしなければならないので、別に意地悪で拍手をしないわけではない。しかし、この時ばかりは拍手喝采だった。
うなぎの押し寿司が龍になってしまうところが、また香港の船らしい。日本ではおそらくお目にかかれない日本料理だろう。
特別に厨房に入れていただいて記念撮影。なかなか素晴らしいパフォーマンスだった。
ご飯がガーリックライス(焼き飯)になっているのはご愛嬌。鉄板をフルに活用した結果だろう。
こちらは日本人専用の朝食バイキング。これは撮影用なので、あるものすべてを盛ってもらったらこうなってしまった。
こちらが記者が別の日に食べた朝食。朝はこれだけで十分だった。フルーツとヨーグルトは別物だが、あえて同じ器に盛ってフルーツヨーグルトにしたのは記者のアレンジ。
7デッキ・中華レストラン「シルクロード」(有料)
こちらは有料の中華レストラン。
気品あふれる店内では、本格的な中国スタイルの料理を堪能することができる。
宮廷料理の盛り付けかと思わせる美しいディスプレイ。食べるのがもったいないくらいに美しいのが特徴だ。
8デッキ・インド料理レストラン「タージ」(有料)
インド料理といえばカレー。もちろんカレーがメインだが、その種類は豊富。
記者が行ったのは昼食時だが、バイキング形式だった。日本にもインド料理店は多くあるが、おなじみのナン(正確には別のもの)にも種類豊富なことを知る。硬いものから塩辛いものまでそろい、これだけは注文に応じて焼いてくれるようだった。
インドにもスイーツは存在する。西洋のデザートとともにインドのデザートもある。温かいスイーツにはちょっとびっくり。
もちろんインド人のクルーもいて、説明をしてくれるがわかるのは英語のみ。どうしてもわからなければ、隣の「サムライ」から日本語がわかるクルーが「レスキュー」に来る。
13デッキ・スナックバー「タベルナ」(有料)
最も高い位置にあるオープンスナックバー。
ドリンクメニューの他にもこれがスナックかと目を疑いたくなるキングサイズのハンバーガーまで。写真右のドリンクは「すいか」ジュース。スイカは英語でウォーターメロン。
7デッキ・東南アジア料理レストラン「ブルーラグーン」(有料)
レセプションの裏手、スターボードサイドの通路にあるオープンレストラン。
ここは24時間営業なので、お腹が空いたら深夜でも食べることができる。が、お腹が空くことはあまりないと思われる。なにせ1日6食もあるのだ。別に無理して6食を食べなくてもいいのだが、東南アジアフリークには格好の食事場所となるだろう。
ちょっとした東南アジアの小料理をつまみながらの雑談は時を忘れる。
ガッツリ食べたい要望にももちろん応えることができる。ここのオーダーは各テーブルに設置されたタブレット端末によって行う。
日本ではちょっとお目にかかれないアジアンテイストのラーメンもあり、数種類の調味料を加えて自分好みの味にして食べるのは東南アジアスタイルだ。
7デッキ・イタリア料理レストラン「パラッツォ」(有料)
レストランの大トリは、見るからに重厚そうな雰囲気のパラッツォ。ここだけはドレスコードがあり、少なくとも半ズボンや襟のないシャツやサンダルで入店することは避けたい。また子供の入店制限もあるので、詳細は予約時に確認されたい。なぜドレスコードや年齢制限があるのか。
ガラスで保護された絵画は本物のピカソ。美術品に造詣がない記者でもピカソはわかる。しかし、ここは美術館ではない。あくまでもレストランだ。これこそが唯一制限が付けられている理由だ。
テーブルに置かれた絵皿はヴェルサーチ。テーブルマナーよりも皿を傷つけたりしやしないかとハラハラものだが、そこは極力お上品に振る舞えば大丈夫。チッチッチッと舌打ちされることは決してないので安心していただきたい。
ピカソの名画を目の前にして食べる食事はまさに美術館で食べているようなもの。右に写り込んでいる風景画は本物のモネ。仰天だ。
食事の前後に写真撮影をするのは構わないが、くれぐれをストロボを発光しないように気をつけたい。
13デッキ・ナイトクラブ「セレブリティ」(有料)
番外編としてナイトクラブを紹介したい。ここも行きたかったのだが、時間がなくて断念した場所だ。
13デッキの船首に近い場所にあるので、生バンドの演奏を聞きながら、あるいは夜景をながめながらのお酒は格別なものだろう。
こういう場所では特にジェントルマンでありたいと思うのだが、わざわざタキシードを持参する必要はない。格好ではなく気持ちで紳士を演じたい。
デッキ等
旅客が船首まで自由に行くことのできるフェリーは日本にはあまりない。本船には広大な船首デッキが備えられており、自由に散策ができるようになっている。
また、本当の舳先(へさき)部分は、着岸中で天候の良いときに限り行くことができる。映画タイタニックであまりにも有名なあの名シーンが本船では再現できる。
では、横浜港出港後に船首から13デッキを回った様子を動画でお伝えする。
■03 ヴァーゴ 夜の上部甲板散策 JPYOK
https://youtu.be/dsjZ_PiD0oE
船舶の煙突に描かれるマークは船会社と船のシンボル。ファンネルマークという。航空機の垂直尾翼に描かれたマークのようなものだ。というよりも、船舶のファンネルマークのほうが先輩だ。
パルテノンプールは水深2メートルほどのかなり大きなプール。左に見えるのはウォータースライダー。
ウォータースライダーには一部分だけ透明なチューブがある。なんとこの部分は船体の外に位置する。つまり、この位置で下を見るとはるか下には海しかない。何とも言えぬ絶叫マシンだ。
10デッキ船尾にあるのはキッズ用プール。水深が浅く子供の水遊びには最適。
万が一のためのヘリポートも備える。ヘリポートの前にはゴルフ練習場やパターゴルフ、バスケットボールコートがあり、用具は全て無料で貸してくれる。
赤いレーンはなんとジョギングコースだ。
12デッキのパルテノンプールサイドでは、夕食時にバーベキューパーティーが開かれることがある。
写真が提供される料理のすべて。シェフがいい具合に焼いてくれた分厚い肉以外にオススメなのは、細巻き寿司。これが美味かった。
ダイヤモンドクラブのエデイリーンさんがレスキューでいたので、記念撮影。
カジノ・ゲーム
7デッキ・カジノ「Resort World AT SEA」
カジノは撮影禁止のために看板だけ。広いスペースの中央にテーブルゲームが並び、それを取り囲むようにスロットマシーンが並ぶ。記者は見ていないが、一番奥はハイレートのVIPスペースだとか。軍資金に余裕のある方はどうぞ。
カジノは日本の領海を出てから営業が開始される。しかし、基線から12海里離れれば公海になるので、寄港地を出港して営業再開までそれほどの時間はかからない。
カジノだけは現金が必要だ。キャッシャーで日本円の現金を差し出すと、香港ドルの現金かチップに交換してくれる。スロットマシンは現金を直接挿入して遊ぶ。両替の際にメンバーズカードかアクセスカードの提示を求められる。メンバーになるかどうかは任意だが、乗船中に遊び続けるのであれば、なっておいて損はない。その場でカードを発行してくれる。スロットマシンはメンバーズカードを挿入して暗証番号を押せば、そのカードに残高が精算される仕組み。キャッシャーで現金にしてもいいし、船内にある専用のATMで香港ドルの現金を引き出すこともできる。
必要な両替は、カジノのほうがレートが良いので、レセプションで行わずにカジノで両替したほうが良い。ゲームをするかどうかは自由なので、両替だけで利用してもかまわない。
写真はカジノではないが、レセプションの前にある、ただのクレーン系ゲーム機。ただし、景品は現金。お金でお金をゲットしようとするのは、まさにギャンブルそのものだ。コインを入れる場所はなく、アクセスカードをリーダーに通して遊ぶ。このゲームは部屋付けでOKだが、熱くならないようにしたい。
いかがだろうか。船内の施設を取材した場所だけをすべて紹介した。しかしこれでもまだすべてではないのが、本船の巨大なところだ。
では次の「航海日誌・後編」(最終回)で、中断していた航海レポートに戻ることにしよう。
※写真・動画はすべて記者撮影・収録
取材協力 スタークルーズ