ここ10年の間に、世界の姿は大きく変わった。それはひとえに、スマートフォンの影響によるものだ。
スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表する前と今とでは、産業構造自体が違う。また、スマホの登場により「スマホケース」という製品が注目を浴びるようになった。ジョブズはスマホの過保護を嫌ったようだが、世間一般の人々にとってはスマホケースは必需品である。
そしてこの製品も例に漏れず、あたかもカンブリア紀の生物のような多様進化を遂げている。この記事では世界のガジェットマニアを騒がせた3種類の珍製品を紹介したい。
①EZ Charge
「しまった、充電ケーブルを忘れた!」
そんな経験は、誰にもあるはずだ。
現代人は、スマホへの電力供給の手段に頭を悩ませるようになった。スタミナ切れ寸前のスマホを片手に、充電できる場所を探す人もよく見かける。だが、充電ケーブルがなければ元も子もない。また、充電ケーブルは持っているが差し込みプラグを忘れてしまったということもしばしばある。
ならば、充電ケーブルも差し込みプラグもスマホケースに収納してしまえばいいではないか。そのような発想で開発されたのが『EZ Charge』である。
このスマホケース、背面に充電ケーブルとプラグがそのまま埋め込まれている。説明文不要の単純明快な製品だが、これさえあれば「充電ケーブルを忘れた!」という事態は絶対に発生しない。
スマートフォンのフォルムが無骨になって「スマート」ではなくなってしまうような気もするが、便利グッズのひとつとして頭の片隅に入れるべきだろう。
②AirSelfie
保守的な考えの日本でも、ドローンは大いに注目されている。
善光寺ドローン墜落事件や首相官邸事件の直後は、ドローンに対して「これは危険なものだ」という声が相次いだ。だがその後の法改正とドローンパイロットによる安全周知活動が実を結び、一般の間でも「ドローンは有益な製品」と見られるようになった。
一方、テクノロジーに関してよりリベラルな国では驚くべき製品が開発されている。去年末に世界のテクノロジーメディアで話題になったのは、『AirSelfie』という製品だ。
これはイギリス・ロンドンのスタートアップが開発した、スマホケースに収納できる小型ドローンである。その用途は自撮り。自らの姿を撮影したい時に、スマホケースからAirSelfieを取り出して飛ばす。
自撮り棒のようにかさばらず、自撮りの表現の幅も格段に広がることは間違いない。だが、この製品が普及して多くの人がドローンセルフィーをするようになったら、それはそれで問題が起こりそうではあるが。
AirSelfieの出資者への発送は、4月から5月にかけて行われるという。
③Eye
スマホを2台以上持ち歩いているという人は、どれくらいいるのだろうか。
iPhoneは国際的に見れば最高級機で、国によっては嗜好品税がかけられる。だがiPhoneユーザーの中にも、Androidスマホを使いたいという人はいるはずだ。日頃Googleアカウントを利用している人は、尚更だろう。
そんな需要を見越して、このような製品が出てきた。背面がAndroid端末になっているiPhoneケース『Eye』である。
これもまた、多くの説明はいらない。EyeをiPhoneに装着すれば、表面はiOSで裏側はAndroidという珍妙なスマホがこの世に登場する。
いくら何でも、これはウケを狙い過ぎでは……と思いきや、クラウドファンディングの二巨頭である『Kickstarter』と『Indiegogo』で巨額の出資を集めてしまった。「考えることは皆同じ」というべきか、少なくとも「両刀使い」の需要は世界的なものだったということが証明されたのだ。
以上、「あったら便利(?)な珍スマホケース」をざっとご紹介した。
スマートフォンというものが進化し続ける限り、それを保護するケースも常に進化する。中には一発ギャグのような製品も登場するが、そうしたものがクラウドファンディングなどで恐ろしい額の資金を手にしてしまう。開発者が大企業である必要はない。まさに「アイディア勝負」の世界なのだ。
そして発明品の市販化は、我々の生活にも多大な好影響を与えるだろう。
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