睡眠薬や抗不安薬44種類”規定量で薬物依存の恐れ”
2017年3月21日厚生労働省の発表
睡眠薬や抗不安薬、抗てんかん薬として処方される「ベンゾジアゼピン(BZ)系」という薬などについて、規定量でも薬物依存に陥る恐れがあるので長期使用を避けることなどを明記するよう、厚生労働省は21日、日本製薬団体連合会などに対し、使用上の注意の改訂を指示し、医療関係者らに注意を呼びかけた。
対象はエチゾラムやアルプラゾラムなど44種類の薬。BZ系薬は短期の使用では高い効果を得られるが、薬をやめられない依存性や、やめたときに不安、不眠などの離脱症状が生じることがあるとされる。日本では広く使われているが、欧米では処方が控えられ、長期的な使用も制限されている。
厚労省は、「承認用量の範囲内でも、薬物依存が生じる。漫然とした継続投与による長期使用を避けること」「投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと」などと使用上の注意に明記することを求めている。
Source:朝日新聞 http://www.asahi.com/articles/ASK3P5JYPK3PULBJ00X.html(リンク)
今もなお精神医療で、安全性が高いと考えられている『ベンゾジアゼピン』
今回お話を伺ったのは、ベンゾジアピン離脱症状と戦っている、田中咲子さんに『ベンゾジアゼピン』の恐ろしさを伺いました。
田中さんは、昔から発達障害と診断されていましたが、職場でのストレスが原因で睡眠障害を発症していたそうです。そこで主治医に睡眠薬を処方されたそうです。現在の医療では睡眠薬は2種類までしか処方されないと説明されましたが、その薬の長期服用のリスクなどは説明されなかったそうです。
ある日、田中さんはいつも通り就寝前に処方された、睡眠薬を規定量服用してベットに入ったそうです。しかし、次に気が付いたのは救急病院でした。
「一瞬、何が起こったか訳が分かりませんでした。主人に聞いたところ、急に唸り声を上げて、呼吸が浅くなり意識を失くしたそうです」
田中さんは、ご主人が呼んだ救急車で救急搬送されたそうです。幸い何事もなく意識が戻ったので、そのまま家に帰りました。
しかし、救急病院から主治医に宛てた手紙によると、オーバードーズ(規定量以上の服用)を疑われる内容が書かれていたそうです。田中さんはオーバードーズはしていませんし、服薬時は田中さんのご主人も確認しているので、ありえないそうです。しかし、主治医は田中さんの言う事を信じてくれなかったそうです。
そこで、田中さんは自分の身体に何が起きているのか心配になり、睡眠薬の成分を調べました。そこで分かったのが『ベンゾジアゼピン系』の薬であることを知るのです。『ベンゾジアゼピン』と言えば、基本的に鎮静系の薬で、抗不安作用(不安の軽減)、睡眠作用(睡眠の促進)、筋弛緩作用(筋緊張の緩和)、抗痙攣作用(ひきつけ、痙攣発作の抑制)、健忘作用(外科手術前の鎮静)に使われる薬で、何十年も前から使われている薬で、安全性が比較的低い薬であることを知りました。しかし、近年になって、長期間の使用には重大な危険性を伴う事も知るのです。
田中さんは既に、2年程睡眠薬を服用していたので、このままでは身体を壊してしまうと思い、睡眠薬を服用するのを止めました。
ベンゾジアピン離脱症状で生活に支障をきたすようになる
田中さんは、ベンゾジアゼピン系の薬を服用しなくなって、身体に異変が起きたと言います。
「まずは、眠れない事もそうですが、身体の右半身が激痛に襲われました。当初、脳梗塞も疑われましたがCTなど撮っても異常なし。しかし、痛いのは収まらず、幻覚や幻聴が見えたり聞こえたりする様になって、普通に生活できなくなりました。結局、入院してベンゾジアゼピン系の薬を点滴したりして、それを2回繰り返しました」
すでにインターネット上では、ベンゾジアピン注意喚起されていたのを知っていたと田中さんは言います。主治医に、ベンゾジアゼピン系じゃない薬を希望するも、拒否され転院を決意したそうです。
しかし、転院先でも結局『ベンゾジアゼピン』の薬を処方されたそうです。田中さんは、「結局この薬を服用しなければ、一生身体の不調は治らない」と思うようになっていたそうです。主治医も「規定量なら安全だ」と言われたし、そう思ったそうです。
厚生労働省の発表を見てから、署名活動に至るまで
「『ベンゾジアピン』系の薬を服用し、既に5年経っていました。3月21日の厚生労働省の発表、睡眠薬や抗不安薬44種類「規定量で薬物依存の恐れ」を見た時、まさか44種類の中に自分が服用してる薬が含まれているとは思いませんでした。調べてみると、私が服用している薬が全て含まれていました。減薬は、主治医と相談してと書かれていたので、早速主治医に相談した・・・しかし主治医は「あれは、ネットで転売する人が居るからそれを防止するための発表なんだよ」とチンプンカンプンな事をいわれました。」
田中さんは、主治医を不信に思い、インターネットで調べて、少しずつ減薬すると離脱症状にならない事を知りました。そこで、また主治医に指導の減薬をしたいと申し出たのですが返ってきた答えが「あなたは、この薬を一生服用しなければいけません。糖尿病の人や高血圧の人が一生薬を服用するのと同じことです」と言われ、減薬拒否されました。このままでは、リスクの高い薬を一生服薬しなければいけない・・・と思い、転院を決意したそうです。幸い転院先の医師は減薬に理解があり、現在医師の指導の下、漢方薬と一緒に減薬中との事でした。
「私は再びインターネットで調べた所、やはり私と同じで、主治医の理解を得られなく、減薬をしてベンゾジアゼピン離脱症状に苦しみ孤独に戦う人々が沢山いることを知ったのです。私一人、減薬に成功しても意味がないことを悟りました。精神医療そのものを変えなければベンゾジアゼピン離脱症状は無くならない・・・
私はそう思い、今回”ベンゾジアゼピン離脱症状の薬害救済をお願いします!”署名活動を始めました。」
現在、田中さんは署名活動に賛同してくれた『精神医療を変えて行く会』の後援を受けて、インターネットで署名活動をしています。『ベンゾジアゼピン』を規制するのではなく、処方コンプライアンスを確立し、 関係医療機関への周知を徹底させることなどを盛り込んだ内容になっています。集まった署名は7月11日”ベンゾジアゼピン注意喚起の日″に厚生労働省へ『精神医療を変えて行く会』の協力で直接届けられるそうです。
田中さんが作ったホームページには、ベンゾジアゼピン離脱症状に苦しんでいる人たちの声が紹介されています。
最後に田中さんは「いつの日か、ベンゾジアピンは安全だ!と言い切る医師がいなくなることを願います。そして、離脱症状に苦しんでいる人に一日も早く、救済の対応を願いたいです」とおっしゃっていました。
「ベンゾジアゼピン離脱症状の薬害救済に協力お願いします!」署名実行委員会
https://benzodiazepine.jimdo.com/(リンク)
(画像/写真AC:https://www.photo-ac.com/main/detail/160882?title=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E7%BE%8E%E5%B0%91%E5%A5%B3189)
(文/Renka)