銀座のど真ん中、GINZA PLACEの9階に『SPA CEYLON』(スパセイロン)というラグジュアリーコスメを扱う店舗がある。日本にはここ銀座店と日本橋店が存在する。
「セイロンって紅茶?」という声が聞こえてきそうだが、そのセイロンであることには違いない。国で言うと現在のスリランカである。
ちょっと、スリランカのおさらいをしておこう。スリランカの文化はおよそ2500年前にさかのぼる。実に紀元前5世紀頃の話である。年表を並べてみると、仏教開祖の釈迦(しゃか)や論語を著した孔子の生きた時代、日本では弥生時代である。そんな時代にセイロン島では王朝が存在した。
時代は一気に下り、ヨーロッパの帝国主義に支配され、ポルトガル領、オランダ領、英領となり、戦後に英連邦の一員セイロンとして独立する。
余談だが、サンフランシスコ講和会議において当時のセイロン代表が対日賠償請求を放棄する演説を行って日本の国際社会への復帰を後押ししたのは有名は話である。この際に引用されたのが「憎悪は憎悪によって止むことはなく憎悪を捨てることによって止む」というブッダの言葉であった。
若い人にとってスリランカといえば長い首都名を覚えるのに苦労した国かも知れないが、記者の時代はスリランカの首都はコロンボだった。現在はスリジャワワルダナルラコッテ。セイロンは紅茶のブランドのみならず、島の固有名称として現在も残る。
そのセイロンに栄えた王室に伝わるレシピにもとづいて製造されるスパセイロンというコスメはアーユルヴェーダと呼ばれ、日本語にすると生命科学となるが、そのアロマはそばに寄っただけでラグジュアリーな気持ちになるから不思議だ。実際に記者が取材した際にGINZA PLACEの9階に降り立った途端にエキゾチックな香り漂う不思議な空間に来たのかと思ったくらいだ。
そのスパセイロンの数ある製品の中からいくつかを試してみた。どちらかと言うと女性向けの商品なのだろうが、男性が使用してもかまわない。男性が使えるようなものを選んでみた。
まずは石けん。4種類の香りを楽しむことのできる50グラムの小さいソープを詰め合わせた限定品で、おためし使用にぴったりだ。ラグジュアリーソープコレクションは4個入り税別2000円で3月1日から発売している。(限定品なので記事公開日現在では販売が終了している可能性があります)
記者がこのレビューで使用したのはフランキンセンスの香りシリーズ。ソープではブルーのものがそうだ。男が使うので少々もったいないが、体だけではなくて髪からつま先まで洗ってみた。さすがに石けんで髪を洗うとパサパサになった感じがしたが、乾いてみると非常にさっぱりしていることに気がついた。さほどつっぱらない。女性にはもったいないのでオススメしないが、使用できないことはないということである。何よりも香りが素晴らしくて、自分の髪がいい香りというのは男性が言うと「変」なのかもしれないが、事実なので記しておく。ちなみにこのソープで洗った後の自分の髪を120倍顕微鏡で観察したところ、皮脂の一つも残っていなかった。ゆえに静電気が帯電し易くなったのはご愛嬌(あいきょう)。それほど洗い上がりがさっぱりしているということである。
次はインテンシブハンドクリーム。30ミリリットル入り各税別1800円。これもフランキンセンスを中心としたブレンドで、記者は普段ハンドクリームは使わないがあまりの香りの良さとしっとりさに、しばらく手のひらを鼻の前においていたほどだ。香りについての詳細は後述する。
次に試したのは、ソープに似ているがデストレスリラックスボディクレンザー。250ミリリットル入り税別3500円。シャワージェルなので使用した感じとしてはソープよりもマイルド。それもそのはずで、ハチミツやオリーブオオイルが配合されている。こちらも髪に使用してみたが問題ないというよりも、もったいないという思いのほうが先に出てしまった。
次は純粋な香り系のものだ。デストレスパランシングエッセンスミストは100ミリリットル入り税別4500円。霧吹き状に吹き出すミストだが、いわゆる香水とは若干異なり、体でも服でも部屋でもどこに使用しても基本的に構わない。
フランキンセンスというのは、ボスウェリア属の樹木から分泌される樹脂のことで、ゴムのように樹木に傷をつけて出てくる樹脂を固めたものが乳香。いわゆるエッセンシャルオイル(精油)は水蒸気蒸留法によって乳香から得る。
フランキンセンスは中世の古いフランス語で「真正なる香り」という意味で、香りの原点とも言えるものなのだろう。その証拠に乳香は聖書に登場する。その昔は純金と同等の価値があったとされる。よって、非常に純粋なオリエンタルな香りがするのもうなずける。
最後は、上記のロールオンタイプのもので、デストレスバランシングバームロールオン。10ミリリットル入り税抜き2900円。ロールオンタイプの小型のもので、気軽に持ち運びができる。これら2種は、まわりに香りを主張するというよりも、自分でつけて自分で楽しむリラックス目的のほうが合っていると思われる。もちろん、まわりの人にもラグジュアリーな気分を提供することができるが、体臭をどうにかする西洋の香水とは根本的に目的が異なると思った。その意味では西洋人と比較してそれほど体臭を気にする必要のない日本人には自分をより高めるために選択することができるのではないかという考えに至った。
記者が使用したフランキンセンス以外にも例えば日本人が大好きなレモンバームの香り等がそろい、また女性が主に使用するであろうローションやバーム、オイル等、種類が豊富すぎて一人では選ぶことが困難なほどラインアップは幅広い。ラグジュアリーでオリエンタルな空間が広がるので、店舗に立ち寄って体験してみていかがだろうか。
※写真は全て記者撮影