和歌山にニートの村を作る 〜山奥ニートが語る未来〜

  by むかきん  Tags :  

先日、大阪は狭山市で開かれた「ここにしかなかった僕らの居場所〜山奥ニートとして過ごす〜」という講演に参加してきました。
この記事は、その講演会のレポートになります。お付き合いいただければ幸いです。

山奥ニートとは

和歌山県田辺市の山奥深くにある住人が8人しかいない限界集落で共同生活しているニートの集団。
現在、日本中からニートの移住を受け入れており、廃校になった施設で10数名の男性が月2〜3万円程の生活費で暮らしている。
『ザ・ドキュメント』『好きか嫌いか言う時間』『ゆうがたLIVEワンダー』などのテレビ番組でも特集を組まれており、彼らのライフスタイルには徐々に注目が集まっている。

集団の中心的存在である葉梨はじめ氏は、ニコニコ生放送やブログなどで山奥ニート生活を実況しているので、興味のある方はそちらを参照してください。

山奥ニートの日記( http://banashi1.hatenablog.com/ )

遊びに来る人へ ( http://banashi1.hatenablog.com/entry/2016/02/16/132113 )

会場の様子

イベントは、50人程の参加者で和気あいあいとした雰囲気で始まりました。
前半は、山奥ニートの普段の生活を撮影した映像を上映し、後半から山奥ニートとして生活しているメンバーの中から「葉梨はじめ氏」「ピエール氏」「ジョー氏」の3人が登壇して、司会者が参加者の質問を代読する質疑応答という形でイベントは進みました。

山奥ニートのはじまり

山奥ニートが住む施設を運営しているNPO法人『共生舎』は、障がい者を支援するNPOを運営してきた山本利昭氏が、ニートやひきこもりといった社会に適応できない若者を集めて、山奥の過疎地域を活性化させようと始めたものです。
ただ、当初は施設はあっても人が全く定着しない状態だったそうなのですが、3年前にジョー氏が共生舎を見つけて、仲間を誘って定住してから状況は変わり、葉梨はじめ氏が定期的に流しているニコ生などから共生舎を知ったニート達が移住していって現在は13人程が生活しているそうです。

そんな共生舎を作り出した山本氏ですが、ジョー氏達が入居した3日後に亡くなられ、現在は山本氏の奥様が共生舎を運営していますが、年に数回訪問するだけで、ほとんど山奥ニート達の自主運営に任せている状態とのことです。

質疑応答


葉梨はじめ氏

親はどう思っているか?

葉梨はじめ氏:
「僕の親はどうでしょうね、引きこもっていたから、そこから脱出してくれたからありがたいって感じですね」

ピエール氏:
「私の親は反対しました。〜(中略)〜仕事をやめて山奥に行きたいと言ったら、お前何考えてんねんと言われて、説得するのにすごい、初めて位に逆らって、すごい覚悟を持って来ています。」

山奥で不便はないのか?

葉梨はじめ氏:
「インターネットさえあれば、どこにいても一緒なんですよ。あれだけ、むちゃくちゃ山奥なんですけどAmazonで頼んだら2日で届くんです。だからちょっと不便とは思わない。ちょっとAmazonで運んでくる人には申し訳ないですけど(笑)」

葉梨はじめ氏:
「ネットでもう買えるんだったら、都会でいる利点というのはこういうイベントに参加するくらいだよね、直接人と会うこと以外ならなんでもできるんですよ、家にいれば顔を合わせる人がたくさんいるので、そこでもう完結してるんですね、遠くの人とはネットで会話できますし」

葉梨はじめ氏:
「住んだ当初はネットの付き合いさえあれば大丈夫だと思ったんですよ、だがやっぱり違いますね、面と向かうと違いますね」

山奥ニートをして価値観は変わったか?

ピエール氏:
「世界が広がりました。すごい狭い、親元で生きてきて、親元で働いていて、親しか知らないから、共生舎来たら共生舎だけじゃなくて色んな人来てるじゃないですか」

ジョー氏:
「実家住まいで暮らしてたら、絶対に会えなかった人たちと、共生舎という場で巡り合って・・・」

お医者さんがないのはネックじゃないですか?

ピエール氏:
「僕、その為に常備薬いっぱい持ってきています」

葉梨はじめ氏:
「持病があって、薬とかを定期的に貰わなきゃいけないとかだったら、ちょっと難しいかもしれない」

男子ばかりですが、女子が入ってきたらどうでしょう?

ジョー氏:
「やっぱり別の校舎というか、女子寮的な・・・」

葉梨はじめ氏:
「あんまり綺麗じゃないですからね、まず。普通の女の子らしい女の子じゃ多分合わないですね」

今が楽しむニートが幸せなのか、将来の為に働く人が幸せなのか?

葉梨はじめ氏:
「僕は、今を楽しんだほうがいいと思ってしまっているので、それが正解なのか間違っているのかは、まあそのうちわかることで、でも今の僕は毎日すっごい楽しいんですよ、山奥にいる間はもう、めちゃくちゃ楽しくて、あのテレビの取材は半年前なんですけど、半年前が遠いことのように思えるんですよね、毎日いろんなことがあって、13人いると毎日誰かが何かをやろうとしたり、木の枝で弓を作ったり、ベンチ作ったりとか、本当にみんないろいろやってるんで、こんだけ幸せなのに、間違ってるってことはないと思いますね。」

ジョー氏:
「自分はのんびり過ごせれば・・・」

アルバイトしているのにニートと呼べますか?

葉梨はじめ氏:
「まあ難しいところで、定期的に週幾つでアルバイトがあるわけじゃないんですよ、たまに仕事が入ったときに、頼まれたときに働くくらいで、365日のうち働いてないときのほうが多いくらいで、フリーターではないかなと思いますね」

最終目標を教えてください

ピエール氏:
「まあ、村ですか?」

葉梨はじめ氏:
「本当に今、村の人で住んでいるお年寄りが8人なんですよ、僕らは今13人いて、今20人の村なんですよ。その20人の村が駅から1時間半の山奥にあるんですよ、そしたらもう日本がどんどん貧乏になっていったら、インフラとかもだんだん整備されなくなっていくじゃないですか。ちょっと20人じゃまだ少ないなと思っていて、50人・・・100人くらいいたら、行政もほっとけないようになるのかなっていう風には思いますね(笑)」

葉梨はじめ氏:
「地域創生とかで人を呼び込んでいって、で、結局田舎には仕事はないってなるんですけど。やっぱ田舎で月20万、月30万稼ぐなんて無理なんですね。そんな仕事はないんですよ。で、僕ら働きたくないんですよ、だからウインウインなんですよね。仕事のない田舎と働きたくない若者ってのはすごい相性良くて、生活費、ほんと2万円あれば生活できるんで、2万円ぐらいだったら割りとなんとでもなるんですね。それこそインターネットでなんとかして、ちょっと頑張ればなんとでもなるんで、まあ将来どうなるかわかんないですけど・・・」

まとめ

イベントは終始、和やかな雰囲気で進んでいきました。
葉梨はじめ氏達は山奥での生活を本当に楽しそうに語っていて、幸せそうに見えます。
もちろん、今後どうなっていくかはわかりませんが、もし今、孤独な中でひきこもりやニートをしているなら、一度、和歌山に遊びに行ってみるのはいかがでしょうか?

写真・文:むかきん(葉梨氏の写真は本人にブログ掲載の許可を得たものです)

サムネイル写真:https://www.pakutaso.com/20121203352pc-a1.html

むかきん

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