オトナが真剣に“バカ”をやると面白い。『非公認戦隊アキバレンジャー』の魅力はまさにそこではないだろうか。
2012年4月6日*1 から始まった『非公認戦隊アキバレンジャー』は、BS朝日とTOKYO MXで放送されている東映制作の特撮ドラマ。これまでに数多くのスーパー戦隊シリーズを生み出してきた東映が、さまざまなスーパー戦隊ネタを盛り込んだセルフパロディ作品とくれば面白くないわけがない。
*1:TOKYO MXでは4月9日から放送スタート。
スタッフも豪華だ。プロデューサーはスーパー戦隊シリーズではおなじみ、近年では 『天装戦隊ゴセイジャー』のチーフプロデューサーを担当した日笠淳氏。脚本はこちらもスーパー戦隊シリーズではおなじみ、近年では『海賊戦隊ゴーカイジャー』を担当した荒川稔久、香村純子の両氏。メイン監督の田崎竜太氏はスーパー戦隊はもちろん仮面ライダーシリーズなども多く手がけた特撮の名手。撮影監督も『百獣戦隊ガオレンジャー』から『爆竜戦隊アバレンジャー』までに携わった菊池亘氏、クリーチャーデザインにやはり『ガオレンジャー』などを担当しているさとうけいいち氏を起用するなど、とにかく東映の本気っぷりがハンパないのである。
さて本編のアキバレンジャーだが、本家スーパー戦隊シリーズに数えられない“非公認”戦隊という物悲しい響きすら笑いを誘う彼らは秋葉原を舞台に戦うスーパー戦隊。ただしその戦闘はすべて妄想力が強い彼らの“妄想”である。ドラマ中でアニメオタクに人気の『にじよめ学園ズキューーン葵』のフィギュアに見せかけた変身アイテムで“非公認戦隊アキバレンジャー”に変身し、いつか公認になれる日を夢見て妄想と戦っている、という設定はアホらしくも何故かほのかな物悲しさを感じさせ、ついつい熱を入れて彼らを応援したくなってしまう。
特撮オタクを喜ばせる要素はスタッフのほかにも盛りだくさんだ。今のところ過去のスーパー戦隊との絡ませ方は、ある意味35番目のスーパー戦隊として歴代戦隊と共演してきた『ゴーカイジャー』に勝るとも劣らない豪華っぷりである。第二話では『特捜戦隊デカレンジャー』のデカレッドこと赤座伴番役の載寧龍二氏がなんと本人役で登場、第三話では『轟轟戦隊ボウケンジャー』のチーフ(ボウケンレッド)の声を、ボウケンレッドを演じた高橋光臣氏があてている。
アキバレンジャーの生みの親 葉加瀬博世が店長を務める“戦隊カフェひみつきち”の壁には『電磁戦隊メガレンジャー』に出てくる“デジタル研究会(デジ研)”のポスターが貼られていたり、戦隊カフェひみつきちの店員が歴代戦隊のヒロインのコスプレをしているなど(服を着るだけでなく髪型まで真似るなど芸が細かい)、いたるところにネタがあふれているのもオイシイ。
先週の第四話では、女性キャストたちが主人公 赤木信夫の妄想のなかで歴代戦隊の女性幹部などに扮する場面もあり、個人的に害水大臣ケガレシア様のファンである私は思わず歓声を上げてしまった。
また、アキバレンジャーは過去のスーパー戦隊を見ていない人でも充分楽しめる。敵の集団名が“邪団法人ステマ乙”というあたりでまず苦笑、その週に倒される怪人に相当するのが“係長”、「ノルマ!」などと叫びながら飛び掛ってくるいわゆるヒラ戦闘員が“シャチーク”。彼らをまとめあげるお色気幹部が“マルシーナ”。
何となくこのネーミングから敵方を応援したくなる人もいるのではないだろうか。
子どもたちの夢を壊さないよう「良い子は見ちゃダメだぞっ!」というコピーがつけられているのを逆手にとってか、アキバブルーが白熊プリントのパンツを見られたり胸を触られたりと、セクハラネタも本家より多めになっている。
さらにアキバイエローであるコスプレイヤー萌黄ゆめりあが腐女子ということもあってBL(ボーイズラブ)ネタまでやってしまうなんでもアリ感。ちなみにゆめりあの腐女子本性が丸出しとなった第三話の“係長”の声は、緑川光氏であった……実にツボをつくキャスティングである。
そんな愉快で切ないアキバレンジャーはBS朝日なら毎週金曜日25時30分から、TOKYO MXなら月曜日25時から放送中。
最近スキャンダルで話題のハリケンレッドさんも、そのうち出てくれないかなぁ……。
以上、アキバレンジャーなら青柳美月ちゃん推し! ニコラシカでした。
非公認戦隊アキバレンジャー 公式サイト
http://www.akibaranger.jp/