「君の名は」、塾講師による感想文
あの映像はアニメと言えない。絵が上手というものではなく、光と影の映像。電車の動き。さりげない町並みや看板。すべてが実際の映像を絵に置き換えたものかもしれない。いかなる手法が用いられたのだろう。
ドラマの中で使われていた方言。私の母の実家は岐阜県の美濃だ。あそこで話されていた方言は、実になつかしい響きがあった。また、夏祭りの屋台、露店は小さい頃に見たもの、そのもの。
彗星が地球にぶつかるというのは、子どもの頃は、あり得ないと思っていた。しかし、恐竜の絶滅やビッグバンの話など科学者の語る話を聞いた後では、必ずしも荒唐無稽と思えなくなっている。
時間のズレに関しても、同じことで、勉強すればするほどこの世の不思議は増すばかり。どうも、人の感覚では捉えきれない世界が目の前に広がっているようなのだ。
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しかし、何より驚くのは、ストーリーの構成だ。大の大人が、少年と少女のストーリーが何故書けるのか。。ここは鈴鹿山脈の麓のド田舎だ。私も中学校の頃は、
「絶対に、この町から脱出!」
と考えていた。
私は、ラッキーで高校は三重県最大の都市、四日市高校に脱出できた。大学は、中京地区で最大の年、名古屋大学に脱出できた。三葉が新宿の街を歩いていた気持ちがよく分かった。
先輩に魅かれた瀧は、三歳年上の彼女とつきあっていた大学時代を思い起こさせるものだった。誰にもありがちな物語だろう。
しかし、私はとうの昔に失った女性に対する信頼や憧れは、眩しいものだった。遠い昔の自分で再会したような思いだった。みなさんはどうだったろうか。
甘い映画を作る人が、甘い人だと考えるほど若くない。私なら、町民を見捨てて家族だけで逃げ出すだろう。女性ばかりか、人を愛していないからだ。
人間は醜いし、裏切りと嫌がらせだけの人生だ。他人のことなど構っている余裕はない。人生の甘い側面ばかり見せられてもシラけるばかり。
でも、それでも、美しいものは美しい。もろくて、この世に存在しなくても夢見る人がこの世を変えるのかもしれない。
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映像だけではない。声優かと思ったら、俳優さん、それも人気俳優が声優をしている。それが良いことなのかは分からない。ただ、他のアニメと「違う」ことだけは確かだ。
大ヒットする作品というのは、差別化がうまく出来ている。見習いたい。
ただ、私くらいの年齢になると
「あぁして、運命の出会いとおもって結婚しても、数年後には衝突して離婚だよ」
としか思えない人も多いはずだ。純粋に、
「いいなぁ」
などと思えるほど若くない。
ところで、私の授業の8割は「高校数学」だ。数Ⅲである場合が多い。2割は英語だ。数学は、京大二次で7割、英語は8割正解だ。
なぜ、50代で京大を受ける気になったかというと、
「英検1級に合格したのだから、京大の英語も楽勝だろう」
と思えたから。
では、英語学科でもなかった自分が英検をめざしたかというと
「四日市高校で上位だったから、合格できないはずがない」
と思えたから。
では、四日市高校で頑張れたわけは
「北勢中学校で、トップクラスだったから負けられない」
と思えたから。
では、なぜ北勢中学校でトップクラスになれたからと思い出すと
「鉄腕アトムとかエイトマンの科学者にあこがれた」
からだと思われる。
だから、「君の名は」などという子ども向けの映画を見ると過去の自分の琴線に触れる何かが語りかけてくるのだろう。
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