「パソコンを作る」と言っても、規格化されたマザーボードやらメモリやらのPCパーツを買ってきて、ケーブルやスロットなんかを突き刺したりネジ止めやらで簡単に組み上がる、いわゆる「組み立てるだけ」の”自作パソコン”の話ではありません。本当に、はんだごて片手に抵抗やらダイオードをはんだ付けしてパソコンを”作っちゃう”話です。
なんだか、難しそう?
いえいえそんなことはありません。プログラミングの学習用として話題の、こどもパソコン『IchigoJam』に、ちょっとした電子工作感覚で組み立てることができるキットが存在しているのです。
今年の夏休みの自由研究には「パソコンを作ってプログラミングをする」っていうのも面白いかも。
(はんだは高温になりますので、やけどには十分に注意してください。子供の方は大人と一緒に作りましょう)
世界的に見ても珍しい(?)現行販売されている組み立てパソコンキットです。
■イチゴジャム?
『IchigoJam』というのは、「すべてのこどもにプログラミングのきっかけを提供するべく、1,500円で買えるプログラミング専用こどもパソコン」というコンセプトの元に作られたBASICプログラムパソコンです。開発者の福野泰介さんのブログによると当初は15ドルという価格を目指したので「イチ ゴー」というネーミングとのこと。
『IchigoJam』のターゲットは「なんとなく小学3年生ぐらいから」らしいです。とは言ってもプログラムや電子工作に興味のある中学生や、子供の頃、雑誌に掲載されているBASICプログラムを見ながら、こつこつパソコンに打ち込んでいたお父さん世代にもはまっていたりするんだとか。
※組み立て済みの完成品やユニバーサル規格に対応したタイプなど様々なバージョンがあり、それぞれ販売価格は異なっています。
■何が出来るの?
BASICというプログラミング言語が扱えます。白黒の2色表示です。インターネットにもつながりませんし動画も見れません。一昔前のスマホに比べても、ずいぶんとヘッポコです。でも電源を入れるとすぐに起動してプログラムを作る事が出来ます。また画面表示だけでは無くて、制御に使える出入力もありますから、やろうと思えばプログラムを使った簡単なロボット制御なんかもできちゃうかも。
正直なところ、WindowsやらMacOSあるいはLinuxなんかでイメージする「パソコン」とは、かなり違います。どちらかというと今から30年以上前にあった初期の『8ビットパソコン』というのが感覚的には近いかも。しかし『こどもパソコン』だって立派な『パソコン』です。
■部品はこんな感じ
『IchigoJam』は組み立てが完成している製品や、CPU周りが組み立てられているハーフキットなど様々なバージョンがあります。
今回は”はんだこで片手に自作出来るパソコン”っていうのをテーマにしていますから、旧版の1,500円のプリント基板キットを選択。(同じプリント基板キットでも、現在ではバージョンがアップしているUタイプの方が入手しやすくなっています)
たったこれだけの部品を組み立てることで、低性能とはいえまかりなりにも『パソコン』が、組み上がってしまうというのは正直驚きです。
■組み立ての道具
組み立てには「はんだ」と「はんだごて」を使います。それと余った部品の足を切る「ニッパー」と部品を曲げたりする「ペンチ」を用意しましょう。ホームセンターやダイソーとかでも、こうした道具を販売していたりしますよ。(はんだごては20wや15wの小型のモノの方が使いやすいと思います)
あると便利なのが、はんだ吸い取り用の道具です。吸い取り用の道具には色々な種類があるのですが、写真に写っている変な形のは「はんだ吸い取り線」というタイプのモノです。間違って部品をはんだでくっつけちゃった時には、こうしたものではんだを取り除いて、くっけなおす事が出来ます。少々失敗してもなんとかなりますよ!
(実は私も途中で抵抗を間違っているのに気がついて、はんだを吸い取り直しましたよ)
■説明書なんかを見ながら組み立てる。
よくある電子工作のキットについて来る感じの説明書なんですが、実体図が無いので電子工作が初めての人は戸惑うかもしれません。説明書を見ながら、基板にプリントされた文字を探して部品を配置していく形です。
とはいっても、部品数が少なく小学生でも組み立てられるように設計されているので大丈夫です。写真を参考にしながら部品の確認を行うと良いでしょう。
『IchigoJam』の公式ホームサイトには、子供にもわかりやすいようにはんだ付けのコツなんかをまとめたPDFが用意されていますので一度目を通しておくのと良いですよ。
難関はmicroUSB部分の製作かも。
はんだをつけすぎないように注意して作るのがコツです。
※少し値段が高いですが『IchigoJam』には組み立てが完成している製品もあります。工作が苦手な方はそちらを利用しても良いかも。工作の手間や道具をそろえる事を考えると、そちらの方がお得だという価値観もアリですよ。
■完成
慣れた人であれば1時間もからないうちに完成してしまうかもしれません。まぁ別に大量生産をしているわけでは無いので、早いほうがエライってわけではありませんから落ち着いて作りましょう。
完成した『IchigoJam』に、PS/2キーボードとビデオケーブル、そして電源供給のmicroUSBを突き刺して電源投入。黒い画面に「IchigoJam BASIC 1.0.0 by jig.jp」という白い文字が表示されました。よかった。
とりあえず一行プログラム「Hello World」を打ち込んで実行。
※「とりあえず最初にやってみる」世界で最も有名なプログラムです。
キーボードからの入力も大丈夫みたいですね。
とりあえず、これにて完成です。
成功すれば、あなたも立派な「はんだごて片手にパソコンを作った人」ですよ。
■拡張しよう!
2015年10月に、この『IchigoJam』を拡張する”こどもサウンドグラボ”の『PanCake』のプリント基板キットが登場しています。
次回は『PanCake』の組み立てと接続をやってみましょう。
画像
トップ 公式フリー素材を加工
http://ichigojam.net/material.html
中 自家撮影