結局のところ水素水ってなんだ?記者が3か月間使用してみた!

  by 古川 智規  Tags :  

暖かくなるとおいしい水が恋しくなる。
様々な催し物会場ではいわゆる「水素水」ののぼりを立てたブースが並ぶ。
近年よく聞く言葉だが、果たしてその正体とはいったい何なのだろうか。
記者はメーカーに取材して一定期間使ってみた。

・トップ画像は茶葉がセットできる市販のタンブラーに水素水を入れて持ち歩いている様子

参考記事
気温34度だからこそ大切さがわかる?『Water Day FESTIVAL』~幕張新都心・千葉~
http://getnews.jp/archives/1070211

参考記事にある昨年のWater Day FESTIVALで取材した会社に改めて取材を申し込んだ。

インタビューしたのは日本トリムの浅尾まいさん。

--そもそも水素水って何ですか?

「いろいろな製法がありますが、パックされたものは工場で普通の水に水素をバブリングしたものです。つまり、水の中で水素をぶくぶくさせて溶け込ませたものです。他には、ボトルに薬品をその場で投入して化学反応で水素を発生させる方式もあります。当社の整水器は理科の実験でやったのと同じ方式で水を電気分解します。陰極(マイナス)に水素が発生しますがそれを溶け込ませたものです。この水はアルカリ性になります。反対側の陽極(プラス)には酸素が発生しますが、こちらは酸性となるので飲用には適しません。この2つの性質の水ができるのが他の2つとの違いです。メーカーによっては電解水とか、還元水とか言ったりもしますが電気分解する方式では基本的には同じです。あとは機械の細かい工夫で差別化を図っているわけです」

--それぞれの特徴を教えてください

「バブリングしたものや化学反応で生成したものは気軽に購入できて購入価格は安いのですが、トータルの単価は高くつきます。電気分解の方式では機器代は高くつきますが、原材料は水道水であらゆるものに使えますので長く使うとトータルでは安くなります。まさかミネラルウォーターで顔を洗ったり野菜を洗うわけにはいきませんからね(笑)一番の利点は医療機器の認定を受けていますので安心安全ということではないでしょうか」

--なるほど。でも、機器を設置して工事するのは面倒ではないですか?それに酸性水は捨ててしまうのはもったいないですよね

「機器の設置はそんなに難しいことはありませんよ。それに酸性水も利用価値があるんですよ。記者さん、ご自身で使ってみてくださいよ。お貸ししますので」

ということになったのが、昨年の12月。
今年の正月明けに件の機械が届いた。

設置工事を手配しましょうか?と浅尾さんが言ってくれたが、記者はそれを丁重に断りウォーターポンププライヤーを手に自分で工事をする気でいた。
大きさの比較のためにタバコを1本置いてみたが、そんなに大きいものではない。

中に入っているものは、本体と蛇口の部分とアタッチメントと数本のホースだけ。

まずは自宅の蛇口に適合するアタッチメントを通して準備完了。

あとは、蛇口の部分を手で絞めて指定のホースをつないで、蛇口側は終了。
ウォーターポンププライヤーの出番はない。

機器側は、水道水が入るホースと、水素水が蛇口に戻るホース、それに酸性水が出るドレンホースの3本をこれまた手で絞めるだけ。
結局、ウォーターポンププライヤーはおろか、ドライバーすら不要だった。すべて人力で完結する。

さて、この機械は医療機器なので、市販の薬と同様に添付文書が付いている。
この添付文書に書いてあることは、薬事法令上は効果効能を言っても良い。

胃腸症状の改善
・胃もたれや胃の不快感をやわらげます。
・胃腸の働きを助け、お通じを良好にします。
医療機器製造販売認証番号:226AGBZX00012000

効果効能はこれまで。
以降の記事は記者の試用レビューなので効果効能ではなく、記者個人の感想としてお読みいただきたい。

ダイヤルを整水にすると、蛇口から水素水が出てくると同時にドレンホースから酸性水が出る。
ほとんどの使用では酸性水は捨ててしまう方が多いそうだが、実は酸性水の方が記者の使用事例では機会が多かったので、それは後ほど紹介する。

シャワーモードにすると水道水がシャワーとなって出てくる。

原水モードにすると、水道水が出てくる。

水素水モードにすると、本体でおおよその水素含有濃度がデジタル表示される。
カートリッジの取り換え時期も表示される。

ターボモードにするとさらに高濃度になる。
単位はparts per billionで、一般的なppmの1000倍の値ということになる。
写真の460ppbとは、1リットル中に0.46ミリグラム含有するという意味だ。

pH指示薬も付属しているので、さっそく計測してみる。

水素水はpH9-10程度になった。同様のアルカリ性を示すものには重曹の水溶液がわかりやすいか。

酸性水はpH4以下を示した。グレープフルーツジュースや炭酸はこの程度だろう。

見た目にはわからないので、誤飲してしまうのではないかと思われるだろうが、記者は一応酸性水をなめてみた(真似しないように)。
酸性水は口に含んだらすぐにわかる違和感のある味だ。
麦茶にもしてみたが、同様に違和感があるので、誤飲はないと断言できる。

さて、水素水は飲用の他にも油脂分を溶かしやすい性質があるので、3か月間使用した記者の感想は以下の通りとなった。

・確かにお通じは良くなった
・アルカリ性なので飲酒や食べ過ぎの後に一杯飲んで寝ると多少中和されるのか胃酸過多での逆流がなくなった
・外出後に水素水で顔を洗うと石けんも何も使用していないのに下水処理場のように油脂分や汚れがシンクに白い泡となってたまった
・素直に水が美味しい(冬はコーヒーで、春は冷水として飲んだ)

石けんがアルカリ性なので油脂溶解性は理解できるが、ここまで目に見えてわかるものかと驚いた。

酸性水の方は2リットルのペットボトルにためておいて使用するか、外出の際にはボトルに入れて持ち歩いた。
記者の使用感は以下の通りであった。

・水素水での洗顔の後で酸性水で顔を洗うと引き締まってさっぱりする
・肌荒れの気になる部分に酸性水をつけて寝ると翌朝にはつるつるになっていた
・洗髪の後に頭から酸性水をかぶるとコンディショナー要らずになった
・ためた酸性水は洗濯に使える
・お風呂に入れこともできる
・アトマイザーに入れて持ち歩くと顔用の簡易シャワーになりさっぱりする

意外と酸性水の用途が多いのにびっくりしたが、酸性水が足らなくなるほどで困ったのは内緒の話。

毎日口に入れる水を自宅からペットボトルにでも入れて持ち歩けば、カフェ1回分、缶コーヒーやミネラルウォーター1回分は助かることになる。経済的な計算だけで評価するのは適当ではないかもしれないが、1日当たり300円程度をカフェやペットボトルドリンクに使用するならば、年間で10万円を軽く超える。
自前で新鮮な飲み水を生成するだけではなく、あらゆるところに使用できる酸性水も副次的に生成できるとなれば、決して高い買い物ではないと思うのは記者だけだろうか。
気分的にも人間の体が7割が水なので、たかが水、されど水。一考の価値はありそうだ。

※写真はすべて記者撮影
 (医療機器添付文書に記載の効果・効能以外はすべて記者の個人的な使用感)

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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