12日、築地市場で食中毒を起こす可能性があるバラハタに似た魚が売られていることを都職員が発見。
バラハタであることを都職員が確認しているうちに販売されてしまい、東京都中央区の中華料理店で提供されていることがわかりました。
バラハタは、シガテラ毒という毒を含んでいることがあり、死亡することは希なものの、食べた場合、食後1時間から8時間の間に、頭痛や下痢などが起こることが一般的といわれています。また、手足の感覚異常が一年程度続くこともあり、食用にするのを控えるように、厚生労働省や保健所は指導しています。
ところで、今回、誤ってバラハタが販売されたものの、食中毒の症状は起きませんでした。シガテラ毒による事故が起こることを厚生労働省は注意喚起しているのですが、なぜ食中毒事故が起きなかったのでしょうか。
シガテラ毒とは、もともと熱帯の海洋に住むプランクトンが作り出すものです。小魚がプランクトンを食べ、その小魚を大型魚が食べることで濃縮されていくことによって、食中毒が起こる原因となります。
今回、料理に供されたバラハタは、運良くシガテラ毒を含んだ小魚などを食べて体内にシガテラ毒を蓄積していなかったため、食中毒が起きなかったということでしょう。
ちなみに、シガ毒(シガトキシン)は、熱でも変質しないため、加熱調理しても食中毒を引き起こします。また、無味のため、食べた時に毒の存在に気づくことはありません。また、シガテラ毒で食中毒症状を起こすのは70nグラム(1nグラムは10億分の1グラム)程度といわれています。
地方によっては、経験的にこれらの魚を調理して食べる場合があります。釣りなどで入手した場合は、食用にはせず、そのまま海に帰すのが無難だといえます。
写真は厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル シガテラ毒より http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_02.html