今さら聞けない、筋膜リリース

  by 池浦 誠  Tags :  

 最近、肩こりや腰痛などの不調に効くとテレビでも評判の「筋膜リリース」。身体の中にある筋膜に働きかける治療です。
 とはいえ、普通の人にとっては聞き慣れない言葉。「筋膜って何?」という方のために、筋膜リリースを解説します。

■身体を支える「筋膜」

 私達の身体は、骨格、筋肉、内臓など、さまざまな部分からなっています。その中で、地味に大きな仕事をしているのは、各種の「膜」です。
 筋肉を包む「筋膜」、内臓を入れる「腹膜」、全身を包む「皮下組織の膜」など、何種類もの膜が各部をつなぎ、正しい位置に保ちます。また、その張力によって身体構造を支えています。(以下、多くの膜をまとめて”筋膜”と表記します)

 健康な状態では、筋膜は身体を正しい形に保ち、動きに合わせて適度に伸縮します。

■筋膜が異常を起こすとき
 ところが、炎症が起きたり、動きが少なくて体液が滞留したりすると、筋膜を構成する繊維が不規則にからんで固くなったり、膜どうしがくっついてしまうことがあります。

 伸縮できない筋膜は正しく機能することができません。一部が伸びない風船のようなもので、偏った張力で身体を歪め、動きを妨げます。これが、痛みやコリの原因になるのです。

 筋膜リリースは、筋膜の異常を治療する技術です。
 膜を構成する繊維タンパク質は、時間をかけて引き伸ばしたり、繰り返し力をかけることで、柔軟性を取り戻すことができます。治療院では狙った個所に持続的に力をかけることで、縮んだ筋膜を伸ばしています。

■自分でできる筋膜治療
 実は、筋膜リリースは自分でも行うことができます。治療院で行う場合と同様、時間をかけてストレッチすることで筋膜を引き伸ばし、治療することができるのです。

 とはいえ、どこを伸ばすかを見極めるのは容易ではありません。また深い部分にある筋膜を伸ばすのは、プロでも難しいもの。
 そんな方には、身体を大きく動かす方法がおすすめです。

 肩こりなら、ラジオ体操のように腕を大きく回す運動と、首を大きく回す運動を行うと、筋膜が整って楽になります。
 腰の場合は、腕を左右に振って、身体をねじる運動を繰り返すことで、筋膜を伸ばすことができます。

・タイトル写真 足成 http://www.ashinari.com/
・文中写真   筆者撮影

全国でも珍しい「治らなければ治療費を頂きません」と、宣言している鍼灸マッサージ師。 筋膜・関節の癒着をとる「TAM手技療法」で、治療と指導を行っています。

ウェブサイト: 八起堂治療院 http://www.hakkidou.jp/