年末は第二のシーズン?アイドルユニットの“卒業”を考える

  by プレヤード  Tags :  

日本で卒業といえば3月が定番だが、実は12月も密かな“卒業シーズン”なのである。といっても、学校ではなく、アイドルユニットの話。
当然、所属事務所との契約や、年明けからの番組改編など“大人の事情”はあるにせよ、ファンの立場からすれば、一年の終わりとともにメンバーとも別れるという感慨深い年の瀬を迎えることになるわけだ。

この年末も例外ではなく、比較的メジャーなところでは、フジテレビ発のユニット『アイドリング!!!』で共に一期生の谷澤恵里香さんとフォンチーさんが12月23日のライブを持って卒業。昨年5月のメジャーデビューシングルがオリコン1位を獲得して話題となった『ぱすぽ☆』は、佐久間夏帆さんが12月30日のライブで卒業。過激なPVやパフォーマンスで話題となった『BiS』からは、特攻隊長の異名をとるナカヤマユキコさんが12月31日のライブをもって卒業するなどの動きが見られた。

卒業の理由は様々だ。佐久間さんは昨年の夏に腰を痛めたことにより、激しいダンスができなくなったため。また、ナカヤマさんは、ユニットとしての活動方針と自分のやりたいことが違っていったからだという。
アイドリング!!!の2人については、個人での活動が増えていき、“次のステップに進むため”の卒業とのこと。3組の中では一番“卒業らしい卒業”といえるかもしれない。

アイドルユニットからメンバーが抜けることを“卒業”と言うようになったのは、1980年代のおニャン子クラブあたりからと思われるが、“脱退”に比べ前向きな印象を持たれるせいか、今では多くの場合にこちらが使われている。

では、実際ユニットを“卒業する”とはどういうことだろうか?
先述の『アイドリング!!!』卒業ライブは、フジテレビ内のスタジオで行われ、2,000人以上の応募者の中から抽選で800名が無料で招待された。私も運よくその800名に入れたので、レポを兼ねて考察してみたい。

『アイドリング!!!』は、2006年10月に結成、今回卒業する二人を含む“一期生”9名が、フジテレビのCS放送で番組を開始した。翌2007年1月からは地上波の深夜枠でも番組が始まるが、すぐに大きな話題になるようなことはなく、しばらくは“深夜番組に出ている女の子の集団”でしかなかった。

彼女らの活動が大きく舵を切るのは、2008年4月。二期生8名が加わった17名体制となったときだ。二期生には、おはガールとして活動していた長野せりなさんや、ホリプロ大阪のユニットであるHOPCLUBメンバーの森田涼花さんなどがいたこともあり、個人としての活動も増えていった。
また、7月には木村カエラさんが作詞を手掛けたシングル『告白』を発売、オリコンウィークリーチャートで9位を記録する。

その後、幾人かの卒業と、3期生、4期生の加入を経て、今回の卒業前には20人の体制となっていた。
アイドリング!!!のライブでは、全員で歌う曲の他に、数名のユニットで歌う曲があるのだが、それぞれのキャラクターやメンバーの中でのポジションが活かすような割り振りがされている。
今回のライブでは、いくつかの曲で、自分が卒業した後の後継者を指名するシーンが見られた。
それを見ていて思った。アイドルユニットを“卒業”するということは、これまで自分が作り上げてきたものを、残るメンバーに託すことなのだ。
アイドルユニットというのは、作り手側と参加するメンバー、そしてファンたちによって作られるものだと思う。
もちろん、最初に書いたようにキレイ事だけで動いている世界でないことは十分承知している。しかし、グループを卒業し、一人のタレントとして旅立っていく女の子が、今まで周囲の人たちと築いてきたものを残る世代に託す姿はやはり美しかった。

もう2ヵ月もすれば、本当の卒業シーズン。この時期に卒業するアイドルもいることだろう。その時、彼女たちがどんな思いを抱き、そして残るメンバーに何を託していくのか。しっかりと見届けたいと思う。

※画像は2名が卒業し18名体制となった『アイドリング!!!』 (ポニーキャニオン公式ページより) http://idoling.info/

アイドル&美少女系ライター。 アイドルファン歴ももう30年。新旧問わずアイドルの魅力や素晴らしさを伝えていければと思っています。 モットーは「生涯一アイドルヲタ」「人生で大切なことはアイドルから学んだ」。 夢は、世の中の「アイドル」と呼ばれる人たち全てが幸せになることです。

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