鬼怒川水害後の感染症拡大予防 国立感染症研究所などが指示

9月10日の鬼怒川の堤防決壊によって、茨城県常総市などは、依然として浸水被害から復旧しない地域が残っています。

シルバーウイークに入り、全国から集まった民間ボランティアなどが、泥の除去作業などを急いでいます。

復旧には、ボランティアの手助けが欠かせません。しかしながら、ボランティアの安全確保と感染症拡大の対策も講じなければなりません。そのため、国立感染症研究所は、ボランティアに参加される方に、マスクの着用や消毒を徹底するよう、呼び掛けています。

国立感染症研究所によれば、河川から流れこんだ泥を除去する際に、乾燥した泥と一緒にレジオネラ菌を吸い込む可能性を指摘しています。

24時間風呂などでもレジオネラ菌に感染した例がありますが、レジオネラ菌に感染した場合、抗生物質などを使った治療を早急に開始しないと重篤な肺炎を起こすケースがあります。

今回、国立感染症研究所が注意喚起を示した感染症は以下の通りです。

・様々なウイルスによる急性呼吸器感染症(発熱、喉の痛み、下痢、咳などの様々な症状を引き起こす)
・急性胃腸炎、急性下痢(発熱、嘔吐や下痢などの症状が見られ、排泄物や吐しゃ物から二次感染が起こる可能性がある)
・レジオネラ症(レジオネラ菌により、肺炎を起こす可能性がある)
・レプトスピラ症(発熱、悪寒、下痢などの症状を引き起こし、治療が遅れると重篤な状態になる可能性がある)
・破傷風(けがの傷口から破傷風菌が感染し、早急に治療しない場合、激しいけいれんを起こして、呼吸が困難になる致死性の疾患)

中でも破傷風は、治療が遅れると死亡する可能性がある感染症ですので注意が必要です。
汚泥を素手で触ったりせず、傷ができた場合はきちんと消毒を行うことを徹底する必要があります。また、傷を消毒した後に、倦怠感や、体の一部がこわばったり、痙攣するといった症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

また、レプトスピラ症は、最大で2週間の潜伏期間がある上に、初期は風邪に似たような症状のため、見逃されやすい可能性がある疾患です。頭痛や発熱が主な症状ですが、重篤なケースに陥ることもあるため、症状に気づいたら早めに医療機関を受診することが極めて重要です。

自治体が消毒薬の配布を行っているので、ボランティアに参加する場合は、必ず利用する

もっとも、茨城県常総市は、これらのリスクを回避するため、すでに消毒薬を2万本準備し、配布を行っています。

ボランティアに参加する場合は、上記のリスクをよく理解し、自治体の指示に従って作業の前後に、消毒をきちんと行うこと。
また、体調を崩した場合はすぐに申告して、無理にボランティア活動を続けないこと。(万が一感染していた場合、早急な治療が重要ですし、そのままボランティア活動を続けると、周囲のボランティアの方や住民に感染を拡大させる可能性があるためです)

衛生知識を蓄えてボランティアに参加すれば、さらに多くの方に役立つはずです。感染症だけでなく、怪我や事故にも留意して、ボランティア活動に励んでくださいね。

※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2009/09/30-029194.php

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長