『環球網』がThe Christian Science Monitorが掲載した記事”The skinny on the ‘naked’ phenomenon in China”を翻訳して載せており「美媒:“裸”象为中国带来崭新风气」、大変おもしろく読ませていただいたので、これについて少し。
1 The Christian Science Monitorの記事
英語、中国語どちらを読んでいただいても基本的に同じ内容ですが、もし読まれるのなら写真もあって綺麗に整理されているし、過去の記事のリンクもあるので英語の方がお勧めです。何と言っても最初のつかみがおもしろく以下のように始まっております。
最近私は中国に関する2つの「裸」“naked”の社会現象について記事を書いた。
1つが「裸婚」“naked marriage”で、もう1つが「裸辞」“naked resignationである。この記事の標題は多くの読者を引きつけたようだが、記事を読んだ時に服を脱ぐことと関係がないことを知って、読書が失望しないことを望む。
2 「裸婚」「裸辞」とは
「裸婚」「裸辞」の説明が続くわけですが、「裸婚」とは中国の伝統とは異なり、新郎の方で新居も車も何の準備をせずに結婚する社会現象を指し、「裸辞」とは次の仕事が見つかっていない状態で突然辞職することを指すと説明しています。
以前こうしたことは少なかったが、最近では珍しいことではなくなっており、他にも学生の間では試験の前に何も勉強しない「裸考」や、将来のキャリアなど何も考えずに留学生が帰国する「裸帰」、高官が天下りや何とか顧問などの肩書きを得ることなく、本当に引退してしまう「裸退」などの用語があるそうです。
記事によるとこうした「裸○」は5年ほど前からネット上で流行しだしており、自由で独立精神を求める若者たちにふさわしい言葉であり、物質的満足や名誉を求めるのではなく、心のままに生きる若者を現しており、伝統を重んじる中国社会に変化が出てきていることの象徴だとしております。
3 中国の変化
記事は確かにキリスト教的解釈の面(掲載されていたのはChristian Scienceという媒体)もなきにしもあらずですが、変化が出てきたという考え方には私も同意します。しかし、思うにこうした変化は中国の経済発展の結果で、物質的に豊かになったが故に、積極的に物質的満足を追究しなくても、将来設計などを本気で考えなくても良くなっただけではないかと考えます。
つまり、以前は貧しかったが故に良い成績をとって、良いところに就職して、退職後のいろいろ収入の道を考えなくてはやっていけませんでした。ところが豊かになれば、食べていくだけなら何とかなります。そうなると、無理をして頑張らなくても良いのではないかと考えるものが出てきても何の不思議もありません。
人は生きていくために他に選択肢がなければその通りに生きますが、他の選択肢があるのであれば、当然いろいろな生き方をしていきます。ただ単に中国もそうなってきたに過ぎないだけかと思います。
4 個人的感想
中国ではここのところ値下がりしてきたとは言え、不動産価格はバブルでメチャクチャな値段で、若い夫婦に買える値段ではありませんでしたし(中国における婚姻費用)、勉強も朝から晩まで休みなしにさせられたらイヤだという者が出てきても何の不思議もありません。
ただ、役人天国の中国で退職後に何の栄誉もなしに本当に辞める者がどれだけいるは気になるところです。ま、在任期間中にいろいろやって、既に一生暮らして行くのに苦労しないだけの金を貯めておいたのなら、下手に煩わしいことに関わらずに生きていきたいという者がいても不思議ではないかもしれません。
画像引用元:flickr form YAHOO