24日、静岡地裁で総額2561万円にものぼる損害賠償訴訟が起こされました。事の起こりは、昨年夏に静岡県の安倍川で行われた花火大会に訪れた500人の方が、食中毒に罹患したというもの。食中毒というからには、相当不衛生なものを配布したのではないかと思ってしまいますが、なんと「ひやしたキュウリ」が原因というから驚きです。
訴訟を起こしたのは24人ですが、そのうち7人は溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすほどの重症。
溶血性尿毒症症候群とは、志賀毒素とよばれる毒素を出す食中毒菌によって引き起こされるもので、(代表的なものにO-157など)溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全などを起こす怖い病気です。
それにしても、「きゅうり」で食中毒というと、ピンとこないと思います。実際のところ、食中毒の菌が繁殖していても臭いがするとは限りません。また、病原体によっては、数十個程度の食中毒菌で食中毒に罹患することも珍しくありません。
野菜自体、たしかに食中毒を起こすことは全体として少ないですが、臭いがしない食中毒菌が繁殖すると、一見新鮮に見えても死亡するような事故になりかねません。
ひやしきゅうりが原因で起きた、この集団食中毒が良い例ですが、新鮮な野菜だからといって、衛生的な扱いをしていなければ生食するのは危険だといえます。
このことからもわかるように、最近流行している「ジャーサラダ」も、衛生処理をきちんと行わなければ、きわめて危険です。
調理する際は、「ジャーを熱湯消毒した後、消毒用エタノールで消毒すること」「トングや調理用の菜箸などもエタノールで消毒」「ジャーに詰めたら、冷蔵保存し、その日のうちに食べてしまうこと」「持ち歩きはしない。もし持ち歩く場合は、保冷剤を入れること」
こういったことを意識するのがとても大事です。
一番無難な方法は、盛りつけ用として、ジャーに入れるようにし、持ち歩きはしないことでしょう。楽しい食事にするためにも、安全を心がけたいですよね。
※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2010/08/20-340037.php より