1 最も学ばれている外国語
『環球網』に「日媒:汉语已成为日本最受欢迎外语」(日本マスコミ:中国語が既に日本で最も学ばれる外国語に)という記事http://china.huanqiu.com/eyes_on_china/culture-entertainment/2011-11/2154334.htmlが掲載されており、興味深かったのでこれについて少し。
これはもともと『日本経済新聞』に掲載されていた「英語の次は新興国語」という記事http://www.dila.co.jp/news/nikkei20111107.pdfを翻訳したものです。なんでも55ヶ国語の研修に対応している大学書林国際語学アカデミー(DILA)の調査に基づいたものだそうです。
この『環球網』の記事を読むと、DILAにおける外国語の受注時間でとうとう中国語が英語を抜いたということに焦点があたられた書き方となっており、中国との経済関係を重んじる『日本経済新聞』が中国よいしょの記事でも書いたのかとおもったのですが、元記事を見ると全く違っておりました。
元記事によると、標題が「新興国語」とあるように、中国語(1位)と英語(2位)が重要視されるのは既に当たり前で、それ以外にBRIKsの言語、ポルトガル語(3位)とかロシア語(4位)を学ぼうという者が増えているという記事でした。
確かに統計では、中国語が1位となっているのは間違いなく、『環球網』の記事もうそというわけではないのですが、このかなりはでに意訳してあるなというのが私の感想です。
2 外国語を学ぶ目的
それともう1つ感想を述べさせてもらうと何のために語学をやるかによって、こうした統計の結果は全く異なってくるということです。DILAは企業の研修を重視しているようで、ビジネス目的の語学研修がメインのようです。
そうであれば確かにこうした新興国との貿易が増えてきている現在、新興国の言語を学ぶ者が増えるという当たり前のことにすぎません。それが例えば何か高度な専門的なことを学びたいとなれば、当然先進国の研究を参照する必要があり、学ぶ言葉も英語、ドイツ語、フランス語といったものが重要視されるかと思います。
実際、何か本気で調べようと思ったら、中国国内の事(特に社会科学の分野)を調べるにあたっても中国語の文献は当てにならず(政治的バイアスがかかっているため)、外国語の文献を参照しなくてはならないのは周知のことかと思います。
それに外国語を学ぶときは専門があり、専門分野の文献は読めても、そうでないものは何が書いてあるのかチンプンカンプンということがよくあります。又、文献は読めても会話は全然だめという人もめずらしくありません(特に男性に多いようですが)。
そのため、目的が違えば取得方法、取得内容も当然異なるわけで、単なる1学校の調査だけで、外国語の人気がわかるものではありません(『日本経済新聞』はこれらを踏まえた、単なる感想的な記事にとどめております)。
ところが、『環球網』はどうも読んだ中国人を誤解させる(プライドを満足させる)書き方となっており、この点からも如何なものかと思った次第です。
画像引用元:DILA 大学書院国際語学アカデミーHP