フリッパーズ・ギターの『Camera Talk(カメラ・トーク)』が発売されてから今年で25年たつ。四半世紀だ。
その当時、フリッパーズ・ギターは、“渋谷系”と呼ばれるJポップの中の曖昧なカテゴリーの中で圧倒的な存在だった。。
渋谷系といえばこんなニュースもある。
「HMV渋谷に復活 今秋にも旗艦店 閉店以来5年ぶり、「エンタメ複合施設」に」
渋谷系、再燃か…
そもそも、「渋谷系は、こういう音楽だ」と説明することは不可能に近い。
言えるのは、感覚的に「おしゃれー!」と思える音であり、渋谷系にカテゴライズされるミュージシャンとは、おもにフリッパーズ・ギター(小沢健二、小山田圭吾)、ピチカート・ファイブ(小西康陽、野宮真貴に加え旧メンバー 田島貴男)彼らの流れを汲む人たちが中心となっている。
渋谷系の音楽は多種多様で、おもにハウス、ボサノバ、ネオアコ、エレクトロポップ、ヒップホップをいろいろなスパイスを加え料理し、おしゃれに仕上げたものである。
音楽以外のファッションやライフスタイルでみれば、「頑張る」「努力する」とかの類いの言葉はダサいと軽く受け流される感じ。
渋谷109系や裏渋谷系と呼ばれるファッションに身を包み身体をゆらゆら揺らして踊るというイメージが浮かんでくる。
渋谷系にカテゴライズされるであろうおもなミュージシャン
サニーデイ・サービス 『青春狂走曲』(1996)
ピチカート・ファイブ 『CDJ 東京は夜の7時 スイート・ソウル・レヴュー』
フリッパーズ・ギター 『 camera!camera!camera! 』(1990)
フリッパーズ・ギター 『 The Quizmaster (奈落のクイズマスター) 』(1991)
オリジナル・ラブ 『月の裏で会いましょう』(1991)
スチャダラパー featuring 小沢健二 『今夜はブギー・バック』(1994)
Spiral Life 『Why Don’t You Come with ME?』(1996)
というわけで、筆者がお気に入りの“渋谷系”の音を紹介してみた…フリッパーズだけ2曲というのもご愛嬌で。
フリッパーズ・ギターは、あまりテレビなどのメディアに出ないことで有名だが、なぜか福島という田舎の地方局(すみません、筆者の地元です)の番組に出演してくれたことがあり、見ていてヒヤヒヤしていた記憶が遺っている。
小沢サンなどは特に発言がなんというか上から目線でアレなのに、ソロになって ♪ラブリー♪ とかきゅんとした曲とか歌ってる、そのギャップが…衝撃だった。
ここで、渋谷系が存在した1990年代に生まれたこどもたちの話題に半ば強引に方向転換してみる
渋谷系の音楽を聴きながら、109のファッションをまとって華やいでいた1990年代。
その時代にこの日本に生を受けた子どもたちも現在は16歳~25歳になっているということだ。
強引に話題を変えたのも、筆者が今更ながら今夢中になっているコミック『ニーチェ先生』(KADOKAWAメディアファクトリー)の話がしたいがためだ。
『ニーチェ先生』の話に入るまえに、『さとり世代』についてざっくり説明しておこう。
『ゆとり世代』とはゆとり教育を受けた世代…1987年~2004年生まれの人たちのことであることはご承知のことと思う。
『ゆとり世代』の後に、生まれた子どもたち(先に述べたように渋谷系の若者が街を闊歩していた時代に生まれた)を一般的に『さとり世代』と呼ぶようになり、2013年 流行語大賞にもノミネートされている。
『さとり世代』と呼ばれる若者たちの特徴
悟りきっているかのような冷めたクールな目線、結果を期待せず、高望みせず、ひたすら現実的。
無駄なことは好まず、維持費などがかかる車に乗らず、ブランドの服などには興味がない。
さらに酒やたばこを嗜好せず、恋愛も淡白であるという、まるで修行僧のようなライフスタイル。
これが、メディアなど一般に言われている『さとり世代』のイメージである。
ある程度の人生経験なくして、悟りに達することはあり得ないだろうが、何ごとにも冷静で感情に流されないという独自のスタイルは筆者からみれば羨ましい限りだ。
思うに、すでその頃には、インターネットが世間に広まっていて検索すれば何でも知ることが可能な環境で育ってきたことや『バブル世代』とか『新人類』と呼ばれた世代の親の性質から受け継がれたのかもしれない。
さとり世代の英雄を描いた『ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~』について
『ニーチェ先生』とは、『さとり世代』の若者の気質を短くシンプルなストーリーで表現、「あ~、確かにこんな子がいるかもね…」と納得させられてしまう内容で、遅ればせながら筆者が今一番ハマっているのだ。
原作者 松駒さんが実際ツイッターでつぶやいた夜勤のコンビニ店員たちの痛快かつシニカルな会話のコミック化なのだ。
コンビニエンスストア(スリーセブン寺院通り店 架空)を舞台に、先輩アルバイトの松駒が「さとり世代」のアルバイト店員 仁井智慧(にい ともはる)= ニーチェ先生やお客に対し、心のなかでツッコミを入れたりしながらの日々の人間模様が描かれている。
いまどきのコンビニでの“あるある”のようなものだろう。
ここで筆者お気に入りのストーリーを紹介しておこう
「お客様は神様だろぅ!?」とお怒りになったお客さんに対して、淡々と「神は死んだ」と返した期待の大型新人が夜勤にやってきました。ゆとり世代ならぬさとり世代である彼の今後の活躍に期待したいところです。
(2012-04-16 19:15:14 のツイートから)
職場の懇親会に誘われたニーチェ先生(大型新人)が「所用の腹痛がありまして」と一蹴。オーナーを始めとした皆が「そっかー仕方ないねー」みたいな雰囲気になって丸く収まり凄いと感じたし、私もその言い分を積極的に使っていきたい。
(2012-04-29 21:30:43 のツイートから)
ニーチェ先生(大型新人)が率いるバンドの演奏を聴きに行ったら、ツインボーカルならぬツイン木魚で般若心経を奏でて観客を魅了していたので、もし彼らのバンドがCDを出したらコンビニに陳列したい次第。
(2012-07-12 20:27:27 のツイートから)
休憩室で好きな曲について盛り上がったので、ニーチェ先生の嗜好を探ろうと尋ねたところ「4分33秒という曲をよく聞いてます」と返され、どんなのかな?と軽い気持ちで動画サイトを開いたら4分33秒間の無音がイヤホンから響いてきたのでこれ、人間には聞き取れない周波数の音楽なのかもしれない。
(2013-07-09 15:56:36 のツイートから)
文字だけでも笑えるが、絵になると一層そのパワーは増強されるのだ。
なんと、“次にくる漫画大賞”で4位だそうな、是非ご一読あれ!
文章が長いわりに内容が、希薄であることをご了承ください。
画像元
尼僧の画像:http://www.ashinari.com/
それ以外は、筆者が撮影した画像を使用しております。