非常に高い作品性で様々なアワードを受賞し、ついに興収20億円を突破したアニメ映画『この世界の片隅に』の片渕須直(かたぶち・すなお)監督と、TVアニメ『機動戦士ガンダム』の富野由悠季(とみの・よしゆき)監督。両監督によるまさに”夢の対談”が実現しました！
この対談は2月20日にリニューアルプレオープンした文化放送の動画配信サービス『AG-ON Premium』内番組『和田昌之と長久友紀のWADAX Radio』の特別編として期間限定にて無料公開されています。
では早速その模様を見てみましょう！(動画URLはページ最下部にあります)
「悔しいけど出来のいい映画。腹立った」
今回の対談は『この世界の片隅に』を見て感動した富野監督の希望で実現したもの。富野監督からは、
「最初に見た時、映画館で立ち見しかないと言われて、この年だし2時間以上立ち見はなあ……と思ったけど、見てみたら2時間立って見ているという苦痛を感じなかった」
「悔しいけど出来のいい映画。原作が素晴らしいから自分でもやりたかった作品だったので、悔しくて腹立った」
「当たり前の作り方してるじゃない？ 当たり前なことをアニメはこういう風にやったか、というのがとってもうれしかったです」
という富野流の大絶賛。
横で不安そうに聞いていた片渕監督も「手厳しい中にも自分たちがやったことはこれでよかったなと思えるご指摘でほっとした、よかった」と表情をほころばせていました。
一方「最初にプロデューサーにこの原作をやりたいと言った時、(この原作には)他でいっぱい企画に手がついちゃってると思うよ、と言われた。けど、そこで(富野監督含めて)他人にやらせたくないという思いがあって、ここまで来れた」と、意志の強い一面も見せられました。
アニメーションと戦争「これ(焼夷弾)を普通の家に使ったのか」
トーク中盤ではアニメーションの作り方における両監督の方向性の違いについて話題が盛り上がりました。
「着物の柄さ、あれ全部デジタル(にすべき)だと思ったんだけど」と富野監督が聞くと「デジタルに回すお金がなかった(笑)技術的な経験を積んでる時間もなかったので、自分たちがもってるものでやりました」と答える場面も。
また、富野監督が印象に残ったシーンとして、焼夷弾の描写の正確さを「ひょっとすると『火垂るの墓』よりも上手かもしれない」と指摘。
片渕監督は焼夷弾のメカニズムについて「屋根瓦を突き破って、そこでゼリー状にしたガソリンを火が付いたまま天井裏にぶちまけるんですよ。粘ってるからそれが張り付いて取れない。そうして屋根から家が燃えちゃう」「知れば知るほど、これを普通の家に使ったのか、という気がしてくる」とコメントし、映画の中で描かれる戦争の恐ろしさについて触れました。
「バカだから」「本当アホよ？」富野監督お元気そうで何よりです
『この世界の片隅に』を中心に、アニメーションの技術論や戦争論、世代論にも触れる密度の高いトークの中、富野監督からは熱の入った(ほぼ暴言に近い)コメントが飛び出す場面も。
「バカだから！」
「見りゃわかる」
「あのさあ、今の話、本当アホよ？」
なんとも平常運転で、富野監督ファンにはたまりません。
監督がどのタイミングで誰にどういう意図で言ったのか？ ぜひ動画でご確認ください！
一方、弱ったときはすずさん風の表情になる、かわいい片渕監督でした。
まだまだ続く富野監督×片渕監督のトークセッション！
富野監督と片渕監督の対談はこの後も続きます。
情報サイト「ダ・ヴィンチニュース」にて3月10日に対談記事を掲載予定。また同日発売の月刊アニメージュ4月号にもトークが掲載されます。
さらに、富野監督が月刊アニメージュに連載中のコーナーを書籍化した「富野に訊け！！篇」も3月18日に発売。ここにも片渕監督との新規の対談が収録されるそうです。
まだまだ続く両監督の高濃度のトークセッション、目が離せません！
□番組情報「和田昌之と長久友紀のWADAX Radio 特別編」
https://agonp.jp/episodes/view/31
※8月20日23:59までの期間限定公開
□サイト情報「AG-ON Premium(エジオン プレミアム)β版」
https://agonp.jp/
※画像は記者による AG-ON Premium および映画パンフレットからのキャプチャ画像です。
(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
