顔面神経痛 ガンマ線を使った治療で9割近く改善

  by 松沢直樹  Tags :  

顔面に刺すような痛みが生じる顔面神経痛。正確には、三叉神経という神経が刺激されて起こるため、「三叉神経痛」と呼びます。
顔面の感覚を司っている三叉神経が、脳の動脈や静脈に圧迫されることによって起こる事が多く、50代以上の女性に多く見られることが分かっています。

開頭手術を行って、血管と神経の接触を離したりするのが基本的な治療法です。
とはいえ、高齢の方は全身麻酔などの負担が大きく、手術ができないことも珍しくありません。ガンマナイフとは、放射線の一種であるガンマ線を使って、MRI(核磁気画像共鳴画像診断装置)などで病巣の位置を正確に計った上で、神経と血管の癒着をはがしたり、神経組織を圧迫している腫瘍を焼き切ってしまうことで、治療を行う方法です。

従来は、三叉神経痛が起きている原因となっている箇所を、MRIなどの画像診断装置で正確に把握することが難しく、また、ガンマ線を照射する装置が、狙った病巣に正確に照射することが難しいという場合がありました。

現在は改良が進み、画像診断装置の情報をもとに0.1ミリの精度で病巣を狙ってガンマ線を照射する装置が開発され、治療成績が飛躍的に向上しました。全国的な統計は出ていませんが、ガンマナイフによる三叉神経痛の治療を行っている大阪府の病院では8~9割の患者さんが、症状が改善したとしています。

以前は、開頭手術で取り除けない脳の底部に腫瘍がある場合などに、保険適用が認められていましたが、三叉神経痛も保険医療の対象となっています。
まだまだ、普及している装置ではないそうですが、もし三叉神経痛でお悩みで治療が受けられる機会があったら、医師に相談してみるといいかもしれませんね。

※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2011/07/23-348580.php

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長