日本での発売なるか?黒角砂糖試用レポート『A.M.P SugarCube』

  by 古川 智規  Tags :  

先日、都内で開かれた米Antec社のPCケース新作発表会(拙稿 http://getnews.jp/archives/997845 参照)で、あくまでも付属的ではあるが同社のモバイルオーディオブランド「A.M.P」(Antec Mobile Products)についての案内があった。
まだ日本では発売していないのだが、その中で気になるモバイルスピーカーが存在したので、一足先に試用してみた。

海外ではすでに発売しているこのスピーカーは、「SugarCube」という愛称で大きさは、わずかに1辺が5センチメートルの立方体だ。
日本語に意訳すると、さしずめ「角砂糖」ということになろうか。
再生機器との接続は基本的にBluetooth3.0で行うが、ケーブルでの外部入力にも対応している。
電源は400mAhのバッテリーを内蔵し、充電はUSBで行うのでPCでもモバイルバッテリーでも、スマホ用充電器でも可能だ。

公称スペックは出力3W、Bluetooth通信距離約10m、スピーカーサイズ40mm、バッテリー容量400mAh、充電時間約3-4時間、動作時間約6時間となっている。

かわいらしいケースを開けると、本体の下に充電用USBケーブルと、外部入力用3.5mmオーディオケーブルが入っている。
ケースごと持ち運べば、困ることはない、オールインワンだ。

まずは本体を充電しないと始まらない。
USBケーブルに接続すると、コネクターまわりがほんのり赤く光る。コネクター内部にLEDが仕込まれているようなので、パイロットランプはない。

置いた感じだが、本体底部に滑り止め処理が施されているので、簡単には動かないようになっている。
次に、再生機器とのペアリング作業だが、電源スイッチを投入後、再生機器にペアリング表示が出るので、確認操作をすればおしまい。

ペアリングが完了して通信が始まると、USBコネクターまわりが今度は青く光りだす。
ペアリングは複数機器と行える。記者はWindows7デスクトップPC、Windows8.1ノートPC、Androidスマホとペアリングを行ったが、どれも問題なく完了した。
本体にアンプ内蔵のようだが、音量調整は再生機器側で行う。
音量は必要十分。屋外でも十分に聞こえる音量で、スマホやMP3プレーヤーの外部スピーカーとして十分に使用に耐える。
さて、音質の方は聴いた人の主観でしか評価ができないので、好み次第といったところだろうか。
記者はオーディオマニアでもなければ、音楽専門家でもないので、普通に音楽を聴いている分には満足としか言いようがない。

そこで、客観的に評価するために、なんらかの測定をすればいいのではないだろうかと考え、簡易的な測定を行ってみた。
初めにお断りしておきたいのは、この評価は絶対評価ではなく、相対評価でしかないということである。
本来であれば、無音室でノイズや電気的な影響を排除したうえで、高性能マイクを用いリスニングポイントにおいて測定すべきである。
しかし、そんな環境は持ち合わせていないし、装置もない。
したがって、手持ちの別のスピーカーとの比較測定を行って、その違いを視覚的に観察する目的だということを認識していただきたい。

使用した比較スピーカーは旧製品だがBOSEのPC用スピーカーのコンパニオン2。
10W出力のデスクトップ用小型スピーカーで、BOSEにしては比較的安価で人気のあったスピーカーだが、記者はこれを5年以上使用している。
測定に使用したマイクは100均でSkype用に購入したイヤホンマイクを使用した。要はただの安価なコンデンサーマイクだ。

測定用音源は、20Hzから40kHzまでのスイーブ正弦波をPCで作り、それぞれのスピーカーで鳴らし、コンデンサーマイクで拾ってPCのソフトで測定する。
まず最初にオーディオボードの特性を知るために、作成した測定用音源そのものをPC内部で測定した。
オンボードのどこにでもあるチップなので、所々の周波数でノイズや落ち込みが入りまくっているが、全周波数域で同程度のレベルで概ね理想的な波形が出た。縦軸がレベル、横軸が周波数で、赤い線が測定したピークグラフなのでこれを観察する。

では、BOSEから測定してみる。
ピークが180Hzくらい、3kHzあたりから少し落ち込み、23kHzあたりが再生限界のようだ。
概ね人の声の低い方がピークといったところだろうか。どちらかというと、人が聞きやすい周波数帯はよく再現できるので万人が好む音を出せる特性という感じがする。そこはさすがBOSEといったところ。

次に、BOSEと比較するのは酷なようだが、SugarCubeを測定してみる。
こちらは3kHzあたりがピークで、その後すぐに落ち始め、18kHzあたりが高域のエッジとなった。
公称は90Hz-20kHzとなっているので、若干狭いようにも感じるが絶対評価ではないので、気にする必要はない。
高域に振った特性なので、かなり大雑把にいうとジャズ向きではなくポップス向きといったところか。
あくまでも相対評価なので、数値は無視して構わないが、特性はだいたい合っているのではないかと思われる。

使用環境の可能性を考えてみた。
一番簡単なのがスマホの外部スピーカーだが、音楽もいいがワンセグの音声出力に使うと、なかなかの迫力で内蔵スピーカーとは違った感じが出てお勧めだ。
MP3プレーヤー等のBluetooth通信ができない機器の場合は、付属のオーディオケーブルを用いて接続すれば良い。アウトドア時に最適か。充電はスマホの外部バッテリーを使えば特に別途用意する必要はない。
もちろん、通常のPCスピーカーとしても使用できるが、最も可能性を感じたのは、以前紹介した超小型PCのLIVA(拙稿 http://getnews.jp/archives/976675 参照)にBluetooth接続しておくと、PC本体は見えないところに転がせておいても、ワイヤレスでスピーカーは手元に置いておくことができる。

今回試用したのは「黒角砂糖」だが海外では現在のところ全7色、1つ44.95米ドルでメーカーサイトから直販されている。日本側総代理店の株式会社リンクスインターナショナルに直接確認したところ、将来的な取り扱いの可能性を示唆した。
時期も価格も未定ではあるがユーザーのアイデア次第で、いかようにも使える面白いスピーカーなので、楽しみに待ってみてもいいのではないだろうか。

※写真はすべて記者撮影
取材協力 株式会社リンクスインターナショナル

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