子供の間で「妖怪ウオッチ」が流行っていますが、大人が妖怪と聞いて思い出すのが「ゲゲゲの鬼太郎」。Yahoo!モバゲーで行われたYahoo!Mobage Award2014ユーザーが選ぶベストタイトル賞に「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」が選ばれました。
「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」は鬼太郎とその仲間たちが運営するお店の商品を購入した妖怪が仲間になり、敵妖怪と戦ってくれるという単純なゲームです。仲間になった妖怪がぞろぞろと連なって敵妖怪を攻撃するところがコミカルで面白く感じたので、やはりキャラクターが優れているのでしょう。
妖怪を題材としたゲームはナムコの「妖怪道中記」が思い出されますが、西洋の神話などを題材にしたゲームが数多くあるのに対し、妖怪を扱ったゲームは非常に少なくなっています。話題なのはスマホアプリで「妖怪百姫たん!」が事前登録をやっている程度でしょうか。
ドラマでは10月に「地獄先生ぬ~べ~」が始まります。週刊少年ジャンプ黄金期を支えたマンガで、スピンオフ作品の「霊媒師いずな」とともに妖怪を題材としています。ジャンプ黄金期には「幽☆遊☆白書」もあり、マンガにおける妖怪はメジャーな存在と言えるでしょう。
消費者がほぼ同じであるはずのゲームとマンガで大きな差が出来ているのは何故でしょうか。
週刊漫画ゴラク「どろろとえん魔くん」で復活した手塚治虫の「どろろ」が手がかりになりそうです。「どろろ」はWikiには、全身に欠損を持つある種の障害者と盗賊の孤児が主人公ということで障碍者差別など微妙な問題が多いとあります。妖怪を扱うと差別問題と向き合わなければならなくなることがあるようです。信長の野望オンラインというゲームがありますが、戦国時代の武将だけでなく日本の神話や妖怪も扱っています。妖怪の中で「足まがり」という名前の敵がいたのですが、現在は変更されています。「ゲゲゲの鬼太郎」でもこの妖怪の話は慎重に扱われています。修正が可能ならまだしも、修正できないゲームであれば回収しなければならない可能性もあり、なかなか手を出せないのではないでしょうか。
マンガにおける差別問題は手塚作品を文庫で読むと最後のページにある「読者の皆様へ」が手がかりになります。「読者の皆様へ」では、人種差別に繋がる外国人の描写を変更するより、作品の根底に流れる人間愛・生命の尊さを訴えたいと記されています。ストーリーが中心となるマンガなら多少人種差別表現が存在しても問題が少なく、ストーリーが添え物になりやすいゲームは問題が大きいことになります。
ヘイトスピーチが政治問題にもなりそうな現在、人種差別問題を孕む妖怪ブームを広げることで、人種差別問題に対する新しいアプローチを探っていければ良いのではないでしょうか。