天皇賞春で4着に敗れたキズナが故障していたことが判明しました。
昨年アベノミクス3本の矢の成長戦略を象徴する馬として指名していただけに不吉な感じがすると思っていたら株価が下落というニュースまで飛び込んできました。有馬記念は世相を反映すると言われていることから、競馬界と世相がリンクしている可能性があるとの視点で書いています。マイナス面は反映して欲しくないのですが、悪いことを想定して対策を立てておくのは良いことだと思いますので最近の競馬界の動きから予想してみます。
まずは三歳世代。桜花賞皐月賞ともに1番人気・2番人気のワンツーで決着し、上位の安定感が伺われます。その分下位が一発狙いをするのが難しくなります。大企業の採用人数が増えたことで上位学生は安定しますが、その分海外や資格試験に流れていた層が戻ってくることにもなりますので、一発狙いは難しくなりそうです。
次に古馬世代。ダートのフェブラリーS・かしわ記念、短距離の高松宮記念は全て同一個人馬主が勝つという、クラブ馬主全盛時代としては珍しい現象になりました。馬主の職業から風水を持ち出す記事を見かけますが、主流でなくても中心的なレースでなければ活躍できるようになったと感じます。大企業がリストラなどで人員を減らした結果、大企業の影響力が全体に及ばなくなっているのか、葬式産業のように支配的な企業がない分野が成長するのかどちらかは分かりませんが、エリート街道から外れた人でも活躍できる状況ではありそうです。
ここまでのG1競争は旧八大競争がクラブ馬主、それ以外は個人馬主が勝利していますが、キズナが敗れた天皇賞春は経済界を象徴するようなレースになりました。昨年オークス・秋華賞・エリザベス女王杯とG1を3勝したメイショウマンボが回避し、ゴールドシップが大きく出遅れる中で始まった天皇賞春。3強は直線にかける競馬になりましたが、中団から抜け出した昨年覇者フェノーメノが優勝。ゴールドシップは7着に敗れた後騎手が下馬。5着と健闘したタニノエポレットは故障。外国から参戦した昨年3着馬レッドカドーは14着に終わりました。
昨年のジャパンカップでハナ差2着となったデニムアンドルビーに3回のG1で全て勝利しているメイショウマンボが天皇賞春に出走すら出来ないのは競争の激しい労働市場で女性を活躍させようという政策には無理があるという象徴になっていますが、一方でドバイシーマクラシックを制したのはジェンティルドンナだったように、適性を活かせば世界トップクラスでも通用するということになります。若いうちは色々な職場で適性をはかり、出産育児を経て適性にあった仕事をやっていくというシステムを作る方が、配偶者控除の議論をするより効果的なのではないでしょうか。
レッドカドーが惨敗したのは外国人労働者を活用することが非常に厳しいことを示唆しています。初来日のジャパンカップで8着と破れ、2度目の来日となった天皇賞春で3着、3度目は14着と、一定の成果を収めた外国人労働者の活用が、今後大きく失敗するように感じられます。ジャパンカップ8着は日本社会の特異性が外国人労働者参入障壁となっていた頃にリンクすると思われます。漫画・アニメに代表される日本文化が広まることで参入障壁が崩れ、留学生や研修生を活用することで一定の成果が上がってきたのが天皇賞春3着の段階。消費税増税に物価上昇が加わっているにもかかわらず、社会保障費を抑制しなければならない財政事情があるので、核家族内で財政が完結する従来の生活方式から親族を含めた家族で財政を運営しなければならない古い生活方式に戻らざるを得ないということに、円安によって日本で稼いでも海外で大きな価値があるケースが減っていることも加えれば、日本に来ることのメリットが小さい割にリスクが大きいことが分かります。また最高裁が外国人の生活保護受給に対し従来どおり生存権は所属する国に補償されるべきとすれば外国人労働者のリスクが高まるし、憲法で認められた権利だとすれば生活保護目的の入国が増えて諸外国のように移民排斥運動が起こる可能性があり、これも外国人労働者にはリスクとなります。グレーゾーンを上手く利用することで外国人労働者を活用してきたのですが、法制化で利点が減少しリスクばかりが目立ってしまうということになりそうです。
高齢者活用はどうなのでしょうか。今年始めに紹介したトウカイトリックが死亡したとJRAが発表しました。引退後僅かな期間での死亡だけに、70歳まで勤務してその後すぐに亡くなる人が増えるというような事象が増えないことを祈ります。
ディープインパクトの同期で天皇賞春8年連続出走記録を持つトウカイトリックが死亡し、ディープインパクトの子供で天皇賞春1番人気に推されたキズナが戦線離脱という結果は、「きずな」が切れていくイメージがします。景気回復も消費税増税で切れた感が否めないし、「笑っていいとも」の終焉でマスコミが主導してきた戦後の日本社会も終焉を迎えた感じがします。
キズナの父ディープインパクトは有馬記念でハーツクライに敗れて連勝が切れました。その後凱旋門賞で失格となり、連対記録も切れました。しかし、ジャパンカップ・有馬記念と連勝し、今では子供たちがファンを魅了しています。キズナは順調に行けば有馬記念に復帰できるそうです。父ディープインパクトのように有馬記念を制覇して「きずな」を深めて貰いたいものです。