処暑を過ぎましたが、連日寝苦しい日が続きますね。冷房をつけっぱなしだと冷えるし、タイマーが切れると暑い。この微妙な温度差をうまく調節できる布団があれば寝不足が解消できるのに…。年間通じて使える理想的な掛け布団というのはあるのでしょうか?IDC大塚家具のアドバイザー、新庄彩子さんに快適な掛け布団選びについて伺いました。
「布団」が暑く感じる理由
――(筆者)私は冷房対策で夏でも羽毛布団を使っていますが、通気・吸湿・保温性があるという割には、羽毛布団って蒸れやすくて暑苦しいです。
新庄さん(以下:新):「日本では羽毛布団から”遊び毛”が出るのを嫌がる方が多いんです。そのため、遊び毛がでないようにコーティングしてしまうんですね。なので、調湿性(湿度のコントロール性)が失われやすいんです。加工してある羽毛布団は振るとカサカサっと音がしますよ。」
――そうだったんですね…。でも、コーティングしていないとなると、ダニなどのアレルギーの心配はありませんか?
新:「ダニは高温・高湿度を好みます。ダニの好む環境になりやすい布団は当然ムレやすく、暑く感じますから、見分けが必要です。」
よい掛け布団の選び方
――そこで、羽毛布団の見分け方についてポイントを挙げていただきました。
新:「掛け布団選びのポイントとしては
1.暖かく湿度が調節できる
2.軽くて体にフィットする
3.安全性が高く、長く使える
の3つがポイントになります」
新:「最近の低価格の羽毛布団には、中国産ダックダウンが使用されていますが、かさが低く、保温性がいまいちです。オススメは、ポーランドやハンガリー、ドイツなど寒い地方のグース(ガチョウ)ダウン。寒い冬を越すため、保温性・調湿性(湿度のコントロール)に優れたダウンとなります。子供を育てる”マザーグース”のダウンが特に高品質です。
飼育方法も重要で、食用として育てられたアヒルやガチョウの羽毛はニオイが気になることがあります。一方、ダウンを採る目的で飼育されている場合は、飼料や飼育方法も規定されているため、ニオイの心配がほとんどないです。
ダウン(胸毛)とフェザー(羽毛)だと、ダウンの割合が品質の決め手になります。できればダウン90%以上の羽毛布団をおすすめします。」
――寒い地域に住むガチョウの、お母さんの胸のフワフワの毛が一番暖かいんですね。続いて軽さとフィット性について教えて下さい。
新:「例えば、綿毛布って重いですよね。布団が重いと体の血行を阻害することもあるので、かえって冷えやコリの原因になることもあるんですよ」
――なるほど。私も寝てる間にかえって体が凝ることがあったのですが、あれって綿毛布のせいだったのかも。
新:「重いとそれだけでずり落ちたり、引っぱってかけるのも大変なので、軽くて暖かい布団であれば寝ている間も調節しやすいですよ。」
安すぎる羽毛布団は「リサイクル品」かも…
――3の安全性についてですが、購入したあとでは羽毛布団の中身を見ることができないので、なかなかわかりづらいです。
新:「日本では羽毛の”リサイクル”がされていることも多いので、あまりに低価格の羽毛布団には要注意です。中古の品質の悪い羽毛布団を打ちなおして販売している悪質なケースもあります。」
――「羽毛のリサイクル」って気持ち悪いですね!
新:「日本では50%以上羽毛が使用されていれば全て「羽毛布団」なんです。また、ウォッシャブル加工などの機能性が重視される傾向があるため、羽毛そのものの品質にはあまり注目されない傾向があります。
海外では羽毛についても規格があり、「採取した羽毛のみを使用」「NOMITE(ダニなし)」といった品質ラベルもついています。有名なのがドイツの『Traumpass』の保証書です。海外製の羽毛布団を購入される場合は、タグにも注目してみてください」
鳥インフルの影響で「ダウン」が高騰?
――長く使える羽毛布団の買いどきっていうのはありますか?
新:「鳥インフルエンザの影響で、中国産ダックの価格が高騰しており、今後ダウン全体の価格の上昇が予想されます(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130507-00000018-xinhua-cn)。よい羽毛布団であれば、打ち直しをしながら10年、20年とお使いいただけますので、高品質の羽毛布団をお求めであれば、今が買い時だと思います」
――ありがとうございます。それで…本題に戻るのですが、この高品質の羽毛布団なら、夏でも冬でも年中これだけで大丈夫なんですよね?
新:「iDC大塚家具では『ダウナ』という高品質羽毛布団をご提供させていただいています。ポーランド産のポメラニアン・マザーグースダウンで作られたドイツ製の羽毛布団ですので、軽くてほどよい温かさを一年中感じていただけますよ」
私もこの『ダウナ』にくるまらせて頂きましたが、寝袋に入っているようなとろとろっとした密着感と、軽さがとても魅力的でした。重さや暑苦しさがないのに冷えないところも嬉しいです。
お手入れ次第では人の寿命より長持ちする羽毛。良い羽毛布団なら一年中それだけでよく、しかもずーっと使っていけるんですね。ついつい布団を蹴飛ばしがちな人も、よい羽毛布団と末永くお付き合いすると、睡眠不足が解消できるかもしれません。
(画像はIDC大塚家具より引用
家具・インテリアの総合企業 IDC大塚家具 公式サイト
http://www.idc-otsuka.jp/
鳥インフルエンザで原料用ダウン価格が急騰、今後も上昇の見通し―中国報道 (XINHUA.JP) – Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130507-00000018-xinhua-cn