カナダ『ナショナル・ポスト』によると、両腕のない運転手が「シートベルトの着用を怠った」として交通違反キップを切られ、警察に対して処分の取り消しと謝罪を求めています。
カナダ中部のサスカトゥーン在住のスティーブン・シモナル(Steven Simonar)さんは、両腕を失っているため、特殊なハンドルと鐙(あぶみ)を使用した車を運転しています。先月末、交通取り締まり中の警官に事情を説明し、マウンティ(カナダの警官の愛称)に免許証と車検証を提示しました。
しかし、シモナルさんによると、その警官が確認するだけで済ませようとしたにも関わらず、上司は違反キップを出すように指示を出したそうです。さらに「シートベルトを着用できないのなら、運転すべきでない」と暴言を吐かれ、気分を害したと振り返っています。
現在55歳のシモナルさんは、28年前の感電事故で両腕を失いました。それでも車の運転は諦めず、車に特殊な装置を取り付けて、左足のみで運転できるように改造を施しました。
シモナルさんは「キップを切られるなんて思わなかった。何度も警察のパトロールに鉢合わせてきたが、交通違反と言われたことは一度もなかったからね」と語っています。なお、警察はシモナルさんに175カナダドル(約17,000円)の反則金を科しています。
ちなみに、日本の自動車メーカーのHondaは、両上肢が不自由な方向けの補助装置・フランツシステムを提供しています。フランツシステムでは左足のペダルでハンドルをコントロールでき、シフトレバーも足で操作可能です。ウインカーやライトなどのスイッチ類は右足元に集中しています。また、自動的に着用可能なシートベルトも装備しており、シモナルさんに起きたようなトラブルは回避できることでしょう。
画像: 『ナショナル・ポスト』のページのキャプチャー
http://news.nationalpost.com/2013/04/30/armless-driver-vows-to-fight-ticket-for-not-wearing-a-seatbelt/