児童の学力は教室の環境次第で伸びる可能性があることが、英国ソルフォード大学と建築家グループが共同で実施した予備研究で分かった。大学の公式ホームページで紹介されている。
今回の予備研究は、イングランド北西部・ブラックプールの小学校7校にて、1年間のスパンで実施された。児童の学力向上と勉強する教室環境の因果関係を調べるのが目的だ。使用する34教室はデザイン、自然光が入ってくる量、騒音、温度、空気の質などに違いがある。サンプルとなる751人の児童からは年齢、性別、算数の成績、読み、書きといったデータを集めた。
結果は、教室環境が児童の学力アップに影響を与えているというものだった。73%の児童の学力の変化(年度始めと年度末の成績を比較)は教室の環境で説明できるとし、平均的な学力の児童をもっとも勉強に適さない教室で過ごさせた場合、学力の向上は平均レベルに留まった。
今回の予備研究を担当したピーター・バレット教授は「建築環境が人間に与える影響はこれまでも議論されてきたが、学校内での大規模な実験は初めてで、しかも想像以上の結果が出た」としている。既存の学校の改修、新設の学習設備への投資などに役立つと見込まれる一連の研究。今後はイギリスの別地域でも実験を行う予定だ。
画像: ソルフォード大学のホームページのキャプチャー
http://www.salford.ac.uk/home-page/news/2012/study-proves-classroom-design-really-does-matter