コロナ騒動が収まる気配がない中で、焼き肉店だけは比較的人気を保っているという。理由は換気にあるようで、あの煙を強制排出する強力な換気装置ははかずともコロナの中での人気の理由の一つになっているようだ。
とはいえ、いくら焼き肉が人気だからと言っても美味しくなければ誰も行かない。
そこで焼肉坂井ホールディングスが運営する国産牛焼肉食べ放題ブランドの「肉匠坂井」に行って人気の秘密を探った。
愛知県の会社なので東京都内の店舗は東海地区に比べて多いわけではないが、記者が個人的に行きやすいと感じた京王線沿いの「肉匠坂井 八王子堀之内店」を訪ねた。
場所は京王堀之内駅から徒歩で5分くらい。
基本的なメニュー構成は食べ放題なので、「しょせん食べ放題…」という先入観はある。ただし棚に陳列された食材を自分で取って席で焼くスタイルではなく、座席オーダー制なので店内を歩き回る必要も他人と必要以上に接近する必要もないのは現在の世情にマッチする。
記者が選択したコースは最もポピュラーなスタンダードコース(3278円税込み・以下同じ)で、120分で127品が食べ放題だ。なおラストオーダーは90分。
出てきた肉を見ただけで「しょせんは食べ放題…」の先入観が消えてしまうほど「立派」な肉であり、この状態でもう美味しそうだ。それもそのはずで同社の肉職人により細かなスジや余分な脂を取り除く「手切り」で提供されているのだ。
「国産牛焼きすきカルビ」は薄いすき焼きで食べることができる肉を卵とともに提供している。焼き時間はすぐで、待つことはない。
焼きあがったカルビ肉を溶き卵につけて食べると、「香ばしいすき焼き」を食べている感覚なのが不思議だ。これならばいくらでも食べることができるが、とりあえずほかのメニューも試したい。ないせ127品あるのだから。
「花咲ロース」は分厚いロース肉に切れ込みが入れてあり、焼くとまるで花が咲いたように見えることからこの名がついたという。炭火なのでやはり焼き上がりまでの時間は短く、ハサミで一口大に切って食べる。ジューシーなロースなので岩塩で食べると肉質の高さがわかる。
「熟成厚切りみすじ」は、肩でもないロースでもない牛の「うで肉」でまぁまぁの希少部位。ステーキになるほどの肉なのでこちらも焼いてハサミで切って食べる。
肉寿司はおなじみ肉の握りずし。メニューとしては蒸し鶏やローストビーフや生ハムもある。食べ放題なのでお好みでいくらでもお好きなだけ。
ここまでくると何を食べても美味しいので、遠慮せず食べたいものをどんどん注文する。ちなみに1つ下のセレクトコースでは注文できず、スタンダードコースだけで注文できるものには星印がついている親切さだ。
若い人には赤身や脂身の多い部位ばかり注文できるが、年を重ねるとそうもいかずホルモン系に傾きがちだ。ホルモンも各種あり、ファミリー層でも年齢に応じて好みの部位を注文できるのはありがたい。
石焼ビビンバを注文した。これに前述した焼きすきカルビと「だし香る国産牛の肉吸い」を追加で注文。まずは焼きすきカルビを焼き、その間にテーブルに置いてあるコチュジャンを入れてビビンバをよく混ぜる。
焼きあがった焼きすきカルビに卵を浸してビビンバに入れ、さらによくかき混ぜる。焼かれた石釜に押し付けてご飯を焦がしながら、たまに肉吸を入れて味を調える。
これでちょっと本格的なビビンバの出来上がりだ。
最後にスイーツとドリンクについて記しておく。ドリンクは単品もあるが、アルコール系を含む全ドリンク飲み放題と、ソフトドリンク飲み放題がある。ソフトドリンク飲み放題はなんと(550円)だ。その中にはタピオカミルクティーまでも含まれ、これがまた美味しい。女性や子供にも大人気だろう。そしてスイーツはコースの中に含まれており、5種類の中から1つだけ選ぶことができる。記者は「八女抹茶モンブラン」にした。八女茶は福岡県のお茶の産地で、八女茶の発祥は15世紀と伝えられる。その気候から天然の玉露がとれる産地であり、栽培面積は全国6位であるもののお茶の単価は日本一高いとされ昔から高級茶の産地でもある。この高級茶の産地の八女茶を使用したモンブランなので不味いはずはなく、濃厚で甘みのある茶とケーキの組み合わせは最高級の名にふさわしい。
このように2時間食べただけで大満足なのだが、これだけ食べていったいいくらかかるのかと我に返った。しかし食べ放題なので料理としては当たり前だが3278円なので安心するやら感心するやらの肉匠坂井だった。換気のものすごさで人気の焼き肉店だが、同店はコスパが高くどんな年齢層でも、シチュエーションでも対応できるメニュー構成に分があるのだろう感じた。
※写真はすべて記者撮影