キリンビールは会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」を今春より本格展開するとのこと。報道関係者向けに行われた特別試飲会を取材したのでレポートする。
生活様式の変化で外で飲む機会が少なくなったこともあり、同社では工場で作りたてのビールを飲んでもらいたいとの思いから「キリン ホームタップ」をリリースしたものと承知している。当然ながら企業としては外食が減ってビールの消費が減った分を家庭で飲んでもらいたいという思惑もあろうが、それならば缶ビールで事足りるわけで、わざわざクラフトビールを持ち出す必要はない。わざわざ家に専用サーバーを設置することに、どんなプレミアムが隠れているのかを含めて探ってみたい。
「瓶ビールは底が一番おいしい」というのはオヤジたちの間では居酒屋でよく出てくる定番フレーズである。この真偽は別としても、醸造工場でのタンクにおいては本当のことらしい。実際に品質チェック用にタンクの底部にはコックがあり、そこからビールを出して飲むことができ最もうまいビールが出てくるそうだ。底だからうまいわけではないだろうが、ともかくそういう出来たてのビールを届けるのが本品の趣旨である。届けられるのは専用サーバーと1リットルペットボトル入りのビールと炭酸ガスボンベカートリッジだ。4リットルコースの場合に1回に届けられるのは2本、つまり2リットルで月に2回宅配される。わざわざ宅配を2回に分けたのは、それこそ新鮮なビールを届けるために他ならない。
それにしてもペットボトルとはちょっと安っぽくないのかとも思ったのだが、ビール劣化の原因となる酸素の透過率が低くなるコーティングが施されたハイテクペットボトルなのである。
サーバーは電源に接続すると保冷してくれるので、冷蔵庫から出したペットボトルをセットするだけで飲むことができる。レバーの操作方法はお店のものと同じで手前に引いてビール、奥に倒して泡という構造だ。
さて記者が試飲したのは、市販品でおなじみの一番搾りの最高峰である「一番搾り プレミアム」「ブルックリンラガー」「グランドキリンIPA」「グランドキリン WHITE ALE」の4種である。
ビールは個人好みなので、絶対的な評価はできないものの記者の好みでは「一番搾り プレミアム」が常用したいビールに、ハレの日に飲みたいビールは「ブルックリンラガー」だった。
ところで、本品は会員制のためにそれなりの費用が掛かる。月4リットルコースの場合、基本料金とビール代金で8250円(税別)からである。これだけを見ると高額に思えるのだが、お店でクラフトビールを飲もうと思えばハーフサイズのグラス(200ml)あるいは9 fl oz(米液量オンス・約266ml)タンブラーで600円から1000円はする。安い方をとっても4リットルで12000円はかかる計算なので、本品は決して高いとは言えないだろう。
常時クラフトビールを飲むわけにもいかないが、在宅時間が長くなる新生活様式の中では、たまのビールに高級品を飲んでも罰は当たらないだろう。息苦しい生活の一服の清涼剤として出来たてのクラフトビールを自分で注いでみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影