シリーズ・細かすぎる刑務所の話:「刑務所作業」って一体どんなものがあるの?

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

今では、様々な刑務所生活の内幕を綴った書籍などが本屋やAmazonで購入することができますが、細かな部分まで切り込んでいるというものは、なかなかありません。刑務所での体験談の多くが、受刑者生活の流れや食事、刑務官と受刑者の関係についてなのです。

そこで《シリーズ・細かすぎる刑務所の話》では、「ムショの細かい仕組みやルール」を解説していきたいと思います。

<※写真はすべてイメージです>

シリーズ・細かすぎる刑務所の話 記事一覧
第1回 https://getnews.jp/archives/2568172
第2回 https://getnews.jp/archives/2570149
第3回 https://getnews.jp/archives/2592497
第4回 https://getnews.jp/archives/2592520

第5回目となる今回は、刑務作業の職種についてです。

配役審査会で受刑者の職業が決まる

収監される刑務所が決定した受刑者は、刑務作業を行うためにまず受刑者配役審査会にかけられます。

出席しているのは、刑務所の所長や副所長、処遇部長、統括など8~10名。

配役される受刑者は前に座って、自分が起こした事件のことや今までやってきた仕事などいろいろな質問がされます。しっかりと答えないと、怒鳴られたり、かなり絞られるそう。

そこでどの配役が適切かを判断され、各工場へ配役になります。

新人受刑者は「特洗担当」

精神障がいを持った受刑者がいる刑務所もあります。また、高齢者が多い刑務所もあるでしょう。

そういった刑務所に収監された新人受刑者は、他の受刑者が汚物などで汚してしまった洗濯物や布団を洗う仕事を任されるのです。それが「特洗」。

「特洗」は、洗濯工場の表にあるプール大の流し台の中で、長靴を履き、足踏みして洗うというもの。

次の新人受刑者が入ってくるまで続くこの仕事ですが、受刑者としてちゃんと自覚を持つようにという意味もあるようです。

経理工場あれこれ

経理工場とは、主に刑務所内をしっかりと維持するための仕事を指します。その種類は、多岐に渡ります。

炊場工場・官炊工場

受刑者の毎日の食事をつくるのが、炊場工場になります。早番や遅番、非番を順番に回して勤務する交代制。まだ陽が昇っていないうちに仕込みに入ったり、冬場は極寒地獄だったりと、相当厳しい工場です。

そんな辛い刑務作業ですが、待遇が非常に魅力的。入浴回数が多かったり、作業報奨金が高額だったり、仮釈放が早まったりと、なにかといい処遇を受けられるわけです。

官炊工場というのは、主に刑務官のランチタイムを支える仕事です。ぜひNHK『サラメシ』に取り上げてもらいたいものですが、恐らくムリですよね。

こちらは、まじめに務める受刑者や調理経験のある者が選出されます。

内装工場・営繕工場

内装工場の仕事は、刑務所内の清掃を行うことです。グラウンド整備や舎房通路のワックスがけ、受刑者が入浴する風呂の掃除、草むしり、花壇の管理などごりごりの肉体労働なんですね。

営繕工場の仕事は、刑務所設備の修繕や所内で使う家具などを製作するのがメインになります。

洗濯工場

受刑者というのは、自分で洗濯することはできません。洗濯工場に受刑者の洗濯物(舎房着、工場着、パンツ、股引、靴下など)を集め、一気に大型洗濯機で丸洗いしてしまいます。

もちろん、乾燥機で一気に乾かすので、冬はぬくぬく。

刑務所から支給される官物の修繕や布団の打ち直しなどミシンを使用して行います。

図書工場

官本(刑務所内の図書室にある本)の貸し出しや返却作業など本の管理をする工場になります。

さらに、受刑者がプライベートで購入した書籍や雑誌、新聞配布、購入願箋処理なども行うという経理工と同じく、事務職のようなコツコツ仕事に従事できるので人気といわれていますね。

経理工場

計算工と呼ばれるシャバでは銀行員をやっていたりというエリート受刑者が、作業報奨金や刑務所で製造する商品の売り上げや生産量などを計算していくのが、この工場です。

一般工場の種類

シャバに販売できる完成度の物をつくる製造工場のことです。一般企業の下請け的に委託されたものを製造します。

木工工場

刑務所といえば、この工場のイメージが一番強いのではないでしょうか? 

その名の通り、販売するための家具や民芸品などを製造する工場になります。

紙折工場

知能検査が低い受刑者が務める紙風船や薬袋などの紙折作業を行う工場です。外部と接触させてもらえない単独房の受刑者の刑務作業にも。

通称は、モタモタ作業をしている人間ばかりがいるので「モタ工」。

印刷工場

依頼のあった印刷物を刷っていく工場です。シャバに出て印刷会社へ就職する元受刑者も多いです。

金属工場

電化製品などに用いられる金属部品を加工、溶接・組み立てる技術が得られます。

これら以外にもいろんな工場や仕事が地方によってはあります。次回もあまり知ることのない“刑務所の真実”を伝えてみたいと思います。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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