シリーズ初のオンラインゲームとして8月2日に発売された『ドラゴンクエスト10 目覚めし五つの種族 オンライン』が、発売から4日間で42万本の売り上げを記録(エンターブレイン調べ)したことが明らかになった。
この数字をどう見るかについて、「ドラクエの割に少なすぎる」「壮絶な大爆死!」「オンラインゲームの初動としては上出来」など、ネット上ではさまざまな意見が飛び交い、いわゆる“ゲハ論争”が繰り広げられている。たしかに、日本ゲーム市場における最高級ブランドである『ドラクエ』の名を冠したナンバリング最新作であり、前作『ドラゴンクエスト9 星空の守り人』が発売から2日間で234万本の売り上げを記録していることを考えれば、42万本という数字は少なすぎるようにも見える。
でもちょっと待っていただきたい。この『ドラクエ10』はタイトルにもある通りオンラインゲームなのだ。売り切り型のパッケージソフトと月額課金が前提のオンラインゲームとでは、ユーザー数もビジネスモデルも違ってくる点を考慮しなければならないはずだ。
『ドラクエ10』の購入を見送っているゲーマーの声をネット上で探してみると、「Wii U版を待つ」「(追加コンテンツが)全部入りのパッケージが出るまで待つ」といった購入を前提とした前向きな意見のほか、「廃人になるのが怖いからオンラインゲームは遊びたくない」「子どもにオンラインゲームは遊ばせたくない」「月1000円は高すぎる」というような、オンラインゲーム自体に対する抵抗感を示す人が多いことがわかる。長く遊ぼうとすると意外と高くつく月額課金制ともなればなおさらだ。どんなに知名度の高い人気シリーズであっても、オンライン化した時点でユーザー数の減少は避けられないのだ。
このことは、『ドラクエ』と並び称される和製RPGの最高級ブランド『ファイナルファンタジー』をオンライン化した『ファイナルファンタジーXI』のケースを振り返ってみても明らかだ。直前の『ファイナルファンタジーX』が235万本あまりを売り上げていたのに対し、『XI』の初動はわずか6万本。しかし、そこから数々の大規模アップデートや海外版の展開などによって着実にユーザー数を増やし、「利益面では歴代シリーズ中でもトップ」(今年6月に行われたファン感謝イベントにおけるスクウェア・エニックス和田社長の談)となるほどまでに成長し、今でもサービスが続けられている。オンラインゲームは、ユーザー数こそパッケージ販売の人気タイトルに及ばなくとも、細く長く続けていくことができるものなのだ。
そう考えると、42万本という数字も特に悪くはないように思えてくる。ましてや最強ブランドの『ドラクエ』のことだ。本作で初めてオンラインゲームに触れるユーザーも多いことだろう。彼らが“人が人を呼ぶ”理想の循環を巻き起こしたとき、『ドラクエ10』はオンラインゲームにおいても最強の地位を確立することだろう。
MMORPG経験者からすると、初動で42万という数字がいかに大きいかわかるはず。スクエニは発売直後にサーバー数を倍に増強。それでも夜のピークタイムには「こんでる」サーバーが多くなる。プレイヤー人口が少なくなってしまった“過疎ゲー”をいまだに遊んでいる記者にとってはなんともうらやましい状況だ。
画像:公式サイトのプロモーションムービーとライブカメラより