公益財団法人塩事業センターが発売している食塩や食卓塩はおなじみの塩。同センターは日本専売公社から民営化した日本たばこ産業が起源の公益財団法人である。いわば塩の老舗中の老舗と言えるか。
三公社五現業といっても若い人はご存じないかもしれないが、三公社すなわち専売公社、電電公社、国鉄は政府所管の公企業で、たばこと塩は政府専売制であった。昔は三公社五現業を中学校の公民で習ったものだった。
歴史はこれくらいにして、世の中には減塩という食品は多く出回っているが、食塩の量を少なくして減塩してることが多い。ところが、同センターでは「減塩タイプ」という塩を販売してる。塩そのものが減塩って何だと思われるかもしれないが、食塩というのは塩化ナトリウムのこと。これを少なくしてしまったら重量が減るだけなのだが、塩味というのは塩化ナトリウムだけではないので、それに塩化カリウムや塩化マグネシウム(にがり)、炭酸マグネシウム等を配合して塩味はそのままに50%減塩に成功した製品である。
食塩と食卓塩とでは若干成分が違うが、テーブルに置かれている赤いキャップでおなじみの食卓塩は調味料の成分が加えられている。減塩タイプでは緑のキャップになっている。
理科はこれくらいにして、実際に食べてみた。とはいえ食塩をそのまま口に入れるほどの勇気はないので、料理に使ってみた。
焼き芋
焼き芋に振りかけてみた。
ちょっとかけすぎかと思われるかもしれないが、食塩はこの半分と思えばそれほどでもない。味の方は食卓塩と変わらず美味しく食べることができた。
ジャガイモ
ジャガイモも同様に減塩タイプの食卓塩とバターを付けていただいてみた。もちろんバターは無塩タイプだ。
こちらも美味しく食べることができた。
豚肉の塩漬け
イモだけでは芸がないので、ちょっと手の込んだことをしてみた。
市販のステーキ用豚肉に減塩タイプの食塩を漬け込んでみた。
味付けにコショウも振って、内部の水分が出るたびにそれを捨て、キッチンペーパーで包んでその紙も変えながら面倒を見る。
5か月後には水分が抜けてこの状態に。
切ってみると生ハムのような感じになっていた。このまま食べることもできるがさすがに塩辛くて無理なので、塊は水に浸して塩抜きをする。水分が完全に抜けているので腐敗はない。
薄くスライスしたものは塩抜きをせずに電子レンジ用のパスタゆで器にパスタと一緒に多めの水に放り込んでパスタと一緒にゆでる。
塩抜きした塊はフライパンでグリルすればステーキになるが、それをゆで終わったスープパスタの上に乗せると、塩ラーメン風スープパスタの出来上がり。
何の調味料も加えずに、減塩タイプの塩と豚肉からの味のみで美味しい塩ラーメンに仕上がった。お好みで野菜を一緒にゆでてもいいだろうし、パスタではなく中華めんで作ればそのまま塩ラーメンになる。
ガツンとくる塩味だったが、実際には50%の減塩なので減塩塩ラーメンとでも言おうか。
健康のことを考えて減塩にするケースが多いが、塩は味付けの基本中の基本でもあることから味を損なわずに減塩できることはうれしい。
なお、本品にはカリウムが含まれているので腎臓病その他の治療食を摂取されている方は医師との相談が無難なようだ。
※写真はすべて記者撮影