不安や悩みを持つ方にとっては深刻な問題である発毛や育毛。
記者は幸いにも現状ではそのような悩みや不安はない。しかし先々のことはわからないし、そこで働いている方たちはどのようにして来る人たちの悩みや不安に寄り添っているのだろうという感情をあり、無料体験を受けながら取材した。
やってきたのはバイオテック上野サロン。同社では全店で無料体験を実施しており、男女を問わず頭髪についての悩みや不安を抱える人たちが訪れる。場所は上野というよりも御徒町に近い。今年2月にオープンしたばかりの新店である。対応してくれたのは写真の同店店長である小出しおりさん。
取材で写真撮影をする以外はほぼ無料体験と同様のメニューで行ってもらうことにした。
なお、前編ではスタッフがすべて女性であることに鑑み、女性の働き方にも着目してインタビュー動画を交えてレポートする。今回記者にかかわった二人の女性スタッフはいずれも新卒で就職したということなので、そのあたりの話もインタビューで聞いてみた。
カウンセリングルームのような個室に案内され、詳細なアンケート用紙に気になる症状や部位、生活環境や親族で気になる人がいるかどうかまでを記入する。
そして、いきなり頭髪のスコープ写真を撮られて、現状を説明してくれる。まずは、頭のサイドの部分。この部位は本来持っているその人の頭皮が如実に表れるという。
小出さんが「非常にきれいで穴も開いていて透明に近くいい状態です」と説明してくれた。それはそうだろう。生まれてこの方、頭髪の悩みを抱いたことはないし、現状で不満はない。
この間に、頭髪の生えかわりや根本的な毛髪の仕組みついての一般論を説明してくれる。
続いて、頭頂付近をスコープで見る。鏡を渡されて実際にどの部分を見ているのか確認しながら画面を見る。もちろん、リアルタイムなので画面だけを見ても事実がストレートに伝わってくる。
若干色がくすんで見えるし、サイドほど本数も多くない。小出さんはあくまでも目視の状態での所見を淡々と述べていく。「歯に衣着せぬ」とはこのことかと思うくらいに冷静沈着に伝えられる。反論する必要もないが、スコープ映像を見ながらの説明で若い女性から直接伝えられるのは若干へこむ。しかしながら、この姿勢をもってつらいことを伝えていくことができるのはプロフェッショナルのなせる技だろう。それだけの知識と経験と悩みや不安に寄り添う心が伝わってくる。
ところで、記者の場合は少なくとも今すぐにどうというわけではないようだが、将来的に現状維持以上を望むためにはどうすればよいのかという意見を伝えられる。ただし、後述するが回収した抜け毛を分析したわけではないので、あくまでも一般論としての所見だ。来店する人の中には、現状で何の問題もなさそうに見えるのにもかかわらず、両親や祖父母からの遺伝で将来を憂う人も少なからずいるという。なにも今だけの問題ではないということであろう。
続いて、毛穴のもみ出し等の「技」を受けるために別室へ移動する。ここで小出さんから何をするのかの説明を受けて、実際に技を駆使してくれる永井エリカさんにバトンタッチする。
炭酸水のシャワーでもみ出しを受ける。マッサージという感覚ではなく、非常にソフトなタッチで押されている感覚だ。
続いて毛穴からもみ出した汚れや皮脂等をきれいにするためにシャンプーに移る。
シャンプーも非常にソフトで、自分でするシャンプーや理容店とでは時間の掛け方が根本的に異なることに気が付く。
シャンプーが終われば、今度は頭皮用のローションを塗り込んでもらう。
帰るときに、無料で約1週間分のシャンプーやコンディショナー、このときに使用したローションがもらえるので、その使い方も併せて教えてもらう。来ればいいというわけではなく、自分でもケアしなければならないことを痛感する。
こうして無料体験は終了となるが、実はこれで終わりではない。本稿を「前編」としたのは、続きがあるからである。一連の工程で得られた抜け毛はすべて段階ごとに回収されており、研究所で分析して報告書が作成される。それをもとに、最終的なアドバイスをしてもらうことではじめて無料体験が終了する。
それでは、二人を交えたインタビュー動画をご覧いただこう。
■バイオテック 上野サロン スタッフインタビュー
https://youtu.be/FfQB3-jDfQQ
インタビューでも小出さんが語っていたように「隠しても仕方がない」という言葉は印象的だった。不安や悩みを持っているからこそ、同店の門をたたくのであり、それに寄り添うことは気休めや安易な安心を与えることでは決してないことだけはよく理解できたし、はっきりと現状を伝えて解決に向けて努力しようとする姿勢そのものが、悩みや不安に寄り添う彼女なりのポリシーであるのだろうと感じた。
また、同社ではスタッフの完全週休二日制を実施しているのも接客サービス業としては珍しいと思われる。1か月のうち数日は日曜日を休業にしてスタッフの日曜日休み実現も実施してる。広報の話によると、若い女性がスタッフに多いため、友人との休日を合わせる日も必要だという判断だとのこと。むろん日曜日が休みの週があれば、その分だけお客さんには不便をかけることになるが、それは理解していただきたいと話してくれた。
これが帰るときにもらえる体験キット。約1週間をかけて自分でケアしていくことになる。
次回(後編の予定)は記者の回収された抜け毛を分析した報告書とそれに基づいたケア等についてレポートする予定だ。
※写真および動画はすべて記者撮影・収録