「湯を沸かすほどの熱い愛」、塾講師の感想文
私は、こんなベタなタイトルは好きではない。安っぽいお涙ちょうだいは、勘弁。でも、さすがに、この映画はそんな映画ではなかった。
一番心に残ったのは、宮沢りえさんの
「死にたくない」
という、つぶやき。それに、末期がんのための痛みにもがき苦しむうめき声。そうだよね。楽にカッコ良く死ぬなんて、現実にはないだろう。おそらく、誰でも最期はもがきながら死んでいく。
私が最初にこの手の映画を見たのは、大学時代の「生きる」だったように思う。死ぬと分かると人間は必死に心残りのことをやり切ろうとする。その必死さは、滑稽であっても笑わない人が多い。
この娘さんが、学校でイジメに会った時も、私ならボコボコにぶっ飛ばすけれど、この子は必死に抵抗するだけ。もどかしいが、それも必死に生きている母親を見て育ったからできたのだろう。
ここに出てくる人たちはデキの悪い人たち。子どもを捨てたり、会いに行っても知らんぷりしたり、八つ当たりにガラス割ったり、泣いたり、怒ったり。でも、とても人間くさい。
人間なんて、みんな不完全。そう考えれば、人に優しくできる。この映画の出演者は、みんな優しい。