「スター・トレック」 塾講師による感想文
私にとっては、「宇宙大作戦」というタイトルの方がピンとくる。小学校の頃だったと思う。ストーリーはあまり覚えていないが、あの音楽が流れてくると、胸が高鳴ったものだ。
何と言っても、ミスター・スポックが衝撃的だった。感情を持たないバルカン星人。あの論理だけで生きている人間のあり方は、その後ながい間(たぶん、今も)自分の理想的な人物像だった。
「自分も、あのような人間になりたい」
「宇宙大作戦」は、見終わったあとで、いつも余韻があった。宇宙や、生き物や、生き方や、そのようなものに思いが至った。あるエピソードに、身体が壊れた脳だけ生きている話があった。
その脳に刺激を与えるだけで、人生を経験していた。つまり、この私たちが生きている経験は「脳の電気信号」にすぎないことを知って呆然とした。その後に学んだ生物や化学も、味気ないものでなかったのは、宇宙大作戦のお陰かもしれない。
今なやんでいること。それが、実は脳に与えられた電気信号にしかすぎない。こう考えると悩みも和らぐのではないだろうか。今経験していることは、実はどこかに脳があり、それに与えられているパルスにしか過ぎない可能性さえある。
画期的なものの見方で、驚かされた。
ところで、今回の beyond だが、映像がすばらしかった。100年後に実現しているか怪しいものだが、とてもリアルな映像だった。小学生の頃に、胸をときめかせたオープニングの音楽とナレーションがなつかしかったし、登場人物の名前もそれぞれ懐かしい響きがあった。
白人、黒人、アジア人、スパニッシュと、クルーがバラバラなのもよかった。小さい頃、
「そうか。近い将来は、こんな風になるんだ」
と思わせてくれた。現実は、全然そうなっていないが。
戦いは、装備や勇気も必要だけれど、最終的には頭脳船であると改めて再確認させられた。
あれから、日本は繁栄した。今、私の目の前には鈴鹿山脈のパノラマが広がり、美味しいオムレツに、コカコーラ。子どもの頃には考えられなかったような、豪華なモールだが、三重県のこんな田舎に進出してくるなんて予想できるはずもなかった。