「ジェイソン・ボーン」、塾講師の感想文
いやぁ、よかった。私は、007「ジェームス・ボンド」の世代なので、この「ジェイソン・ボーン」はアナログからデジタルに変わった隔世の感がある。あんな装備と、それを支える予算、また優秀なスタッフがついていたら追尾を逃れるのはほとんど不可能だ。
そんな集団が、人殺しも厭わずに活動している現実は恐ろしい。
暗殺者やヤクザ、マフィアに相当する組織は、どの国にも、いつの時代にもいる。もちろん、必要だからだろう。今も戦争をするくらいなら、1人の独裁者を暗殺した方がマシだと考える人がいる。大っぴらに放送もされている。
もちろん、できるだけ避けるべきなので平和な時代には「パンとサーカス」のようなガス抜きをする。
先日、日本弁護士界が「死刑制度の廃止」を宣言したら、大反発をくらった。わけても、寂聴という僧侶まがいの方が死刑制度を支持する日本国民の8割に向かって
「人を殺したがるバカものども」
と発言して大問題になっている。招待した日本弁護士会が謝罪してまわっている。
日本弁護士会や、作家くずれの僧侶など、あまりに世間からかけ離れた人たちは自分が何をしているのか、何を言っているのか分からないのだろう。自分の子供を殺された遺族の気持ちなど、全く無視できるのは底の浅い思想に洗脳されているから。
私の働いている塾、予備校業界でも東大や京大卒の講師はあまり人気がない。あまりにトントン拍子で、連戦連勝だと問題が解けずに悩んでいる生徒の気持ちが分からない。
私のように英語の資格をとるのに、39通の「不合格」「合格」通知を受け取って、屈辱にまみれてきた人間の方が生徒に支持される。私のように、京大を7回受けて研究してきた人間の方が、一発で理Ⅲに合格した人より支持される。
一流のアスリートは、何度もライバルと試合をして勝ったり負けたりしながら成長していく。負けた気持ちが分かると、人にも優しくできる。
ところが、教師の団体の日教組は社会主義のために競争を排除しようとする。それで、この地区では自分の学力順位も
「競争をあおるので、お知らせできない」
と言われてしまう。
それで、生徒たちは塾の模試を受けて自分の順位を確認しながら志望校を受ける。
賢い子はそれでいいけれど、アホな子は、教師の言う
「この世は助け合い。愛と絆が一番たいせつ」
などという言葉を真に受けてしまう。こういう子は、社会にでたらヤクザや暴力団の良いカモになるだろう。
「死刑制度反対」
は、願望であって、そういう人は一定数存在するのは仕方ない。しかし、全ての人に適用する法律にすべきではない。そんなことをしたら、8割が反対なのだから間違いなく「必殺!仕事人」のような人がはびこる。
つまり、ジェイソン・ボーンのような職業的暗殺者が大量にビジネスを開始するだろう。底の浅い人間の主張は、いつも事態を悪化させる。先日も、東大卒の電通社員が自殺した。
競争から遮断した温室育ちを作ったら、社会にでたら潰される。社会主義の先生は、責任がとれるのだろうか。
これが体罰ですか? アスリートが気合を入れようとして自分で自分の頬っぺたを叩くことがよくありますよね。それを監督にしてもらっただけのことじゃないですか。
私も試合中、あがって頭が真っ白になっている子に、「勝負してこんかい!」と頬を張ったこともあります。1発のビンタが試合を変えることもある。
がんばれば負けたっていいなんて、教育でも何でもないですから。僕は試合に負けたら練習試合でも怒りまくってましたよ。ずいぶん前ですけど、試合に負けると、センターからホームまで、手だけで這わせた。下半身はぶらんとさせてるから匍匐前進よりしんどい。腕力が弱い選手はたどり着けない。見ていてかわいそうになるんだけど、負ける惨めさを覚え込ませるためにも心を鬼にしてやらせた。
うちの選手は、負けたら俺に殺されるんじゃないかぐらいに思っていましたよ。
今の子どもたちは、簡単に自分で自分を見切っちゃう。俺は無理だって。でも、これだけ追い込んでやれば甲子園に出られるんだというのを示せば、しんどくてもついてきますよ。
【PROFILE】野々村直通(ののむら・なおみち)/1951年、島根県生まれ。広島大学教育学部卒。島根県の開星高校野球部を監督として9回、甲子園に導く。美術教師を務めていたことから「山陰のピカソ」の異名を持つ。2012年に定年退職。著書に『やくざ監督と呼ばれて』など。
私は、こんな監督にはついていかない。でも、甲子園やオリンピックで上位にくる選手の多くがこんな感じだという現実は認識している。