2016年ゴールデンウィーク。筆者は1週間沖縄に居た。
初めて訪れた沖縄の地でかなりぶっ飛んだ居酒屋と出会ってしまったんで、ここで紹介しようと思う。
筆者は年間600軒近い酒場をハシゴ酒してるので、これまで色んな居酒屋に足を運んだが、今日紹介する居酒屋は正直今まで訪れた居酒屋で5本の指に入る衝撃度だったであろう。
その店は意外にも沖縄一の繁華街那覇市の国際通り外れにあった!
国際通り外れにここ何年か前に出来た【屋台村】という、20店舗くらいの居酒屋で出来た飲み屋街がある。その屋台村のすぐ傍に負けじと存在感バッチリに佇む怪しげな一軒家のお店があった。
新鮮で美味しい山羊料理を提供してくれる【山羊料理 さかえ】という居酒屋。
草木で覆われてる外観は一見さんからすると、かなりハードルが高いと思われる。・・・というかほぼ常連さん、もしくは予約の方でしか入れないみたいで、そもそもフラッと寄れるお店ではないのだ。
山羊料理のイメージと言えば・・・とにかく山羊独特の獣臭がきつくて、クセの強い肉というイメージがある。
しかし教えてもらった情報では、その山羊独特の臭みはほとんどなく生の刺身で頂けるというのだ。
とにかくワクワクしながら、混雑時を避けてお店へ向かった。
さっそく【山羊料理 さかえ】の洗礼を浴びる・・・。
写真を見て、お解り頂けたであろうか。
扉に貼られた張り紙には「満席です 予約の方だけ声をかけてくださいね さかえ」とのメッセージが。
さすが人気店・・・しかもゴールデンウィークとだけあって予約なしの飛び込みは無理な話だったのだ。
せめてもの店内の雰囲気だけでも、味わいたいと思って扉を開けると・・・テンション高めの女性店員が一人で大きな声で叫びながら(お客さんと会話しながら)店を回してたのだ。笑
こちらが女性店員さんの写真なのだが、あまりにも動きが俊敏すぎてブレブレになってしまった。
筆者に気づかず他のお客さんに言われて、やっと気づいた女性店員さんは大きな声で一言。
「いらっしゃい!!」
その後の女性店員と筆者の会話はこんな感じである。
店員「にいちゃん、予約の人?」
筆者「いや・・・予約してないんですけど、いけますかね?」
店員「ごめんね〜今日は予約で満席なの〜」
筆者「そうですよね〜また来ます。」
店内は思ってたより広く、席は何席か空いてのだが・・・諦めて店を出ようとした、その時!!
店員「あ!!にいちゃん一人?一人ならいけるよ!」
筆者「じゅ、じゅんになぁ〜!?!?(ほ、本当に!?)」
奇跡が起きたのだ。
思わず、沖縄弁が出てしまうほどだった。
沖縄の風は完全に筆者の為に吹いている。そう感じたのだ。
いかにも沖縄!って感じの店内の雰囲気
外は明るいのに、店内は薄暗くて多少不気味な感じな店内の様子。いろんなものでゴチャゴチャしていて、如何にもDEEPな酒場って感じがするが・・・筆者が求めてたのはこういうお店だったのだ。
注文をしたいが、女性店員さん1人で10名ほどのお客さんと相手してるものだから、向こうのペースで進むのが規則みたいで、忙しい女性店員さんに変わってカウンターのお客さんが他のお客さんに料理や飲みものを運ぶ光景がよく見られた。中には店の電話に出て、電話越しのお客さんに断りを入れてるお客さんも居た。笑
一瞬でこの店の一体感が感じ取れた。
店内の会話はほとんどが女性店員さん中心で、それに笑うお客さん、ツッコむお客さんなどでみんな笑顔で楽しそうであり、なにせ女性店員さんの喋りを良く聞いてると本当に面白くてワンマントークライブに来てる気分になった。
さすが沖縄のDEEP酒場!!
ちなみにこの女性店員さんの名前は「ねぇね」さんと呼ぶらしく、次からはそう呼ぶように指示され、「お母さん」なんて呼び方をしたものなら物凄く怒られるのだ。
ここで2度目の風が吹く!!!
オリオンビールを飲みながら、ねぇねさんのトークライブを堪能していると、綺麗めの女性2人組が入ってきたのだ。
筆者と同様予約なしでの飛び込みのお客さんだったみたいで、今の店の状況からすると、勿論のごとく断られるのであろうと店内のお客さんが全員そう思ったその時!
ねぇねの口からは予想だにしない言葉が発されたのだ・・・。
「(筆者の方を指さし)兄ちゃんと相席でよかったら、お二人さんどうぞ〜!」
予約なしでたまたま運良く入れて、しかも美女2人と一緒に呑める展開になるなんて・・・誰が予想したか。
お通し?何も言われず1品目が運ばれる。
美女2人とオリオンビール呑んでると、お通し的なものが運ばれてきた。
山羊肉と大根と人参を煮たモノであろうか・・・普通に美味しい!!
お通しでその店の料理のレベルが決まると言っても過言ではないと、筆者は考える。
よって・・・「この店出来るっ!」そう確信したのだ。
続いて期待の山羊刺しの登場!!!
ねぇねが大きな声で叫んだ。
「山羊刺し食べる人〜?」
なるほど・・・そういうことか。自分から注文するのではなく、ねぇねが今から作るモノを食べるか食べないかのYES.NOのみの注文方法なのか。
勿論迷わずYESで山羊刺しを注文!
山羊肉は臭みが強い事で有名であるが、ここの山羊刺しは本当に全く臭みがない!そしてお世辞なくで美味しい!!
正直沖縄の社会見学がてらにこの店を訪れたので、料理には全く期待などしてなかったのだが・・・本当に美味しのだ。
刺しの次は焼きで!
ねぇねが「山羊炒め食べる人〜?」とこれまた先ほどと同じ注文方法で誘ってきたものだから、勿論山羊炒めも注文。
焼きは焼きでまた刺しとは違った楽しみ方が出来る。刺しと同様マストで注文すべき料理であろう。
ここでなんと事件勃発!!!
毎回のように来客によって店の扉が開くのだが・・・今回の来客はなんだか様子がおかしい!
なんとそこには1人の老婆が・・・。どうやらお客さんのようではない。
何も言わずに筆者の横を通りすぎていくのだ。
もしや!!と思ったその時、常連のお客さんが「お母さん、おかえり。」と言ったのである。
やはり予感は的中したのだ。この老婆の方はねぇねの実の母で、大女将なのだ。
何も言葉も発さずに店の奥に消えて行った・・・。「いや、働けよっ!!」と突っ込みたくなったが、その貫禄に言葉が出なかった。
楽しい一時は一瞬で終わる・・・。
一通り山羊料理、泡盛を堪能出来たので、筆者は次の目的地へ向かう為にお会計をお願いした。
本当はもっと居たかった!出来ることならここで酔い潰れるまで居たかった!
しかし酒場放浪記を背負ってる立場として、一軒の酒場での長時間滞在はこの世界ではタブーなのである。
本当は名物山羊汁も食べたかったのだが、この日はもうすでに売り切れだった。。
拾い画ではあるが、こんな感じである。
「次の沖縄の宿題に取っておこう!!」そう心に強く思ったのだ。
まだまだサプライズは終わらない。笑
お会計をねぇねにお願いしたのだが・・・
ねぇねが頭を抱えながらボソっとこう言ったのだ。
「兄ちゃん、何注文したんだっけ。」
伝票にチェックしていなかったらしく、結果自己申告制で自分が食べ飲みしたものを正直に言ってお会計するシステムになったのだ。笑
実は忙しい時なんかは結構あるあるな事らしく、お客さんとの信頼が厚いからこそ出来る事なんでしょう。
最後の最後まで笑かしてくれるねぇねに拍手!
お客さんが店を出る時は忙しいのに、わざわざ店の外まで出てきてくれて、「また来てね!」と優しく出送ってくれるである。
言葉使いは汚いが、実は優しいねぇね。
そして店の奥で何をしているんだ、大女将。
沖縄に感謝。山羊に感謝。そしてさかえに感謝。
実は予定では、この日の昼に成田発の便で帰るつもりだったのが、沖縄でやり残してる事を猛烈に感じた筆者は航空会社へ連絡し、フライト日を3日もズラしたのだ。
しかも一緒に来てた相方をそっちのけで下した判断なので、この3日間は完全に1人行動だったのである。
正直・・・楽しさの反面、初めての沖縄という地で1人で楽しめるのか?という不安が多いにあったのだが、そんな不安を【山羊料理 さかえ】が一瞬で吹っ飛ばしてくれたのだ!!!
もし予定通りの飛行機で帰ってたのなら、この【山羊料理 さかえ】には行けなかったのだ。
時には思い切った判断も大事なのだなと改めて感じた。
沖縄という場所は一瞬で人の心を摑む。【山羊料理 さかえ】に首ったけになった、まだ日も随分と明るい沖縄の夕方の出来事でした。
詳細情報
店名:山羊料理 さかえ
電話:098-866-6401
場所:沖縄県那覇市牧志3-12-20
営業時間:15:00〜23:00
定休日:日曜日
店舗情報:http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47000334/
沖縄残留を決定した時の筆者(国際通りにて)。
自身が運営するサイト【酒場ナビ】にて随時執筆してるんでこちらも是非ともお気に入り追加お願いします!!
あなただけに酔い酒場教えます!!