Mobileyeを買収することで、自動運転車分野において、Googleの利益になる技術が得られることは、あまりないだろう。 2015年12月28日
By Business Quant
Googleは、現在、完全な自動運転技術における、リーダかも知れないが、この分野でも競争は劇化している
Teslaや他の何社かの大手自動車メーカに、高度運転支援システム(ADAS)を提供している、Googleの競合ベンダ、Mobileyeは、Googleが、同社が約3年後にライセンス提供することのできる技術と、同様の技術を持っていると主張した。
Mobileyeの主張は、競争力を維持するために、Googleが、将来、Mobileyeを買収するのではないかという、投機的な議論を生んだ。
Mobileyeは、Googleにとって、価値のある買収相手になるのだろうか?
Mobileyeは、現在、半自動運転車の高度運転支援システム(ADAS)の、代表的なサプライヤであり、ADAS分野の売上で、65%のシェアを獲得している。
Mobileyeによると、同社は、20社以上の自動車メーカと、パートナーを組んでおり、同社のADASは、2016年には、237台の半自動運転車に装備されることが、スケジュールされているという。
Mobileyeは、2007年から、ADASソリューションを開発しており、この分野における、パイオニアである。
Mobileyeを買収することで、Googleは、MobileyeのADASソリューションで、同社の自動運転車技術を強化し、安全性を向上させることができるのではないだろうか?
しかし、Googleにとって、Mobileyeを買収することは、あまり単純ではない。
Mobileyeは、完全な自動運転車技術では、リーダではない。
また、Googleは、完全な自動運転車技術を商用化させることを目標にしており、半自動運転車には、あまり興味を持っていないようだ。
筆者が、自動運転車分野における、GoogleとMobileyeの、米国における、知的所有権(IP)のポートフォリオを検証した所、Mobileyeは、この分野で、約100の特許を所有しており、Googleは、320以上の特許所有していた。
図)自動運転車の、衝突回避、天候の検出、歩行者の警告、障害物のモニタ、自動運転などに関する、MobileyeとGoogleとの、米国での特許数を比較したグラフ
特許の数が、必ずしも、技術の質を示すものではないが、Googleが、Mobileyeの特許を詳しく調査していることは確かだろう。
両社は、衝突回避、障害物のモニタ、走行レーン検出、信号のモニタ、天候の検出、および、歩行者のモニタといった技術に関連した、特許を所有している。
これらは、今日の半自動運転車のADASソリューションに、基本的に要求されている技術に関する特許である。
しかし、Googleは、Mobileyeが、まだ、開発していない、完全な自動運転車に関連する分野の、多くの特許を所有している。
Googleは、Mobileyeが、3年から5年後に所有するであろう、IPポートフォリオを、既に所有している。
この大きな矛盾は、両者のビジョンが異なっているために存在する。
Googleは、完全な自動運転車の戦略を商用化させることを、常に信じているが、Mobileyeは、半自動運転車のADASソリューションを商用化させることに、より焦点を合わせている。
Googleが、Mobileyeを買収することは、戦略上も、財政上も、思わしくない結果をもたらすだろうというのが、筆者の個人的な考えである。
(続く)