拡張現実(AR)は、Google Glassといった、新たな技術により例示され、コンピュータと対話する方法を変えるだろう。 2016年3月14日
By Christopher Mims、WSJ
2015年6月に、EpsonのMoverio Pro BT-2000、ビジネス向けのスマート・ヘッドセットが、ロボット組立てラインで使用されている事例が紹介された。
(続き)
Goldman Sachsによると、VR技術は、当初、PC向けに開発されており、AR技術は、スマート・ヘッドセット向けに開発されていたという。
VR技術は、ユーザが、世界の名所や旧跡、美術館や博物館、月面、水中、大空、宇宙、あるいは、物語の空想の世界を、仮想的に、インタラクティブに体験できるようにする。
AR技術は、ユーザが、実世界で、例えば、車か機械などの修理工が、ハンズフリーで、マニュアルを見たり、コンピュータやインターネットで、必要な情報を検索したり、遠隔地にいる、上司や同僚に相談したりできるようにする。
自動運転車や運転支援技術も、AR技術の応用例ということができ、AR技術には、大量のコンピューティング・パワーや、位置、方向、加速度、カメラなど、さまざまなセンサーが必要とされている。
例えば、画像を処理して、隠し絵を描いたり、有名な画家の作風を真似た絵にしたりする技術も、現実を拡張する、AR技術の応用例ということもできるだろう。
他の初期のAR技術の例には、さまざまな情報を参考にして、最寄りのレストラン、給油スタンド、名所といった、目的地を検索し、渋滞状況などを考慮して、道案内してくれる、カーナビや、自分の好みのデザイン、色、柄、サイズ、今の流行や評価などを参考にして、洋服を選び、仮想的に試着できるようにする、試着アプリなどがある。
現在では、スマートフォンのコンピューティング・パワーが強力になり、スマートフォンに、高度な各種センサーが搭載されるようになっており、カーナビのような、ARアプリを実行できるようになってきた。
既に、アプリ開発者は、現場の作業者が、遠隔地にいる技術者に相談したり、指示を仰いだりしながら、作業を遂行できるようにする、EpsonのMoverioヘッドセット用のARアプリを提供している。
また、看護師が、患者の腕の静脈の位置を、鮮明に見えるようにするような、ARアプリもある。
AR技術を実用化させるには、ARヘッドセットやARメガネを小型化、軽量化して、機能にみやった手頃な価格をすることも必要である。
ちなみに、EpsonのBT-300の重さは、約60グラムである。
DaqriのARヘッドセットは、1万ドルもするが、MicrosoftのHoloLensは、約3000ドルだという。
これに対し、MetaとEpsonのARヘッドセットは、1000ドル未満に設定されるようだ。
現在のARヘッドセットは、どちらかというと、業務用であり、娯楽や教育用の典型的なVRヘッドセットの販売価格、約100ドルと比べれば、遥かに高価である。
AR技術の最大のハードルは、人間になるかもしれない。
人間は、作業用のARヘッドセットを身に着けると、本能的に、常に監督されているような感覚になり、作業をしなければならないとき以外に、ARヘッドセットを身に着けたいとは思わないだろう。
AR技術は、スマートフォンとは異なり、私たちに、こっそりと忍び寄っている。
ARシステムの最初の顧客やアプリは、ビジネス用だろう。
ARシステムを体験したことのある消費者は、あまりいないだろうが、体験した、筆者は、常に監督されている気分になったことを強く感じている。
AR技術は、作業者や運転手などが、コンピュータやインターネットや遠隔地に居る人と対話するための、有力な手段になるだろう。
ARヘッドセットには、音声コマンドや自然言語で、ハンズフリーで簡単に操作でき、容易に、コンピュータやインターネットや人と対話でき、必要な情報を検索でき、見やすく表示されることも必要だろう。