「◯の中にH」でホテル、「X」で交番、「卍」で寺院――小学校で習ったはずの地図記号、ちゃんと覚えていますか? 今見ると「◯の中にH」はヘリポートにしか見えないし、「X」で交番というのもどうしてなのか、意味がわかりません。日本人でもわかりにくいなら、外国人にとってはなおのこと。2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え外国人観光客が増加しているのに、これはマズい。
というわけで、国土地理院が「外国人にわかりやすい地図表現」の検討結果をまとめ、新たな記号の素案を作りました。旅行者や留学生ら約1000人を対象としたアンケート結果を参考に、外国人の利用者も多い駅、コンビニや交番、寺院、病院などの記号を発表しています。
おお、記号というよりもむしろピクトグラム(絵文字)にしてしまったわけですね。これなら外国人にもひと目でわかるはず。ネットでも新図案は概ね好評のようです。いくつか意見を拾ってみましょう。
・説明されなくても絵でわかるのがいい
・全部外国人向けの方がわかりやすい
・直感的にわかりにくいから地図記号がテスト問題になってたんだよな
・日本人用と外国人用に分けずに統一した方がいい
・いいと思う。記号は分かりやすくあるべきだし、旧来にこだわる必要はない
・なぜか桑畑の記号を覚えているけど実用性は皆無だった
・桑畑は養蚕が盛んだった明治の名残
・由緒ある卍まで変えてしまうのは外国人に気を使いすぎ
・卍についてはこれを機に仏教文化として説明するべき
現代の日本人にとって従来の地図記号がわかりにくいのは、成立時期が古すぎるためと言えそうです。国土地理院のサイトにある説明を見ると、郵便局は逓信省の「テ」を、交番の「X」は「警棒(六尺棒)を交差させた形」を図案化したものだそうです。この他にも「そろばんの珠」で税務署だったり、「さすまた」で消防署だったり「高札」で裁判所だったりと、今となっては馴染みの薄いものを由来とする記号が多くみられます。印刷が粗かったためにピクトグラムのような細かな図案は不向きだったせいもあるでしょう。
日本の学校でテスト問題にもならないほど直感的に理解できるピクトグラムは、きっと外国人観光客にもわかりやすく、喜ばれるのではないでしょうか。
画像とソース:国土地理院公式サイトより引用
http://www.gsi.go.jp/common/000111876.pdf[リンク]