琵琶湖固有種のニゴロブナに、塩やごはんをつめて発酵させた滋賀県の伝統食「鮒(ふな)ずし」
高級品になると数千円から1万円程度のお値段がつくものも珍しくありません。しかしながら、発酵食品独特の匂いがあるせいか、敬遠される方も少なくないようです。
そのため、鮒ずしは、一部の食通の間や地元の方で食べられる発酵食品として製造・流通が続いてきました。
作家や茶人などの間では、鮒ずしのお茶漬けを、お酒の後のシメにするのが通と言われてきました。慣れれば奥深い味わいを感じる食品ですが、残念ながら、国内での消費は二極化が進んでいるのは否めません。
ところが、意外なことに、東南アジアで鮒ずしがブレイクしているとのこと。
滋賀県がバックアップした、マレーシア・クアラルンプールでの商談会では、「まろやかな酸味で食べやすく、お酒の肴によく合う」と激賞の嵐。タイ王国での商談会でも、同様に好評だったようです。
筆者の私見ですが、もともと東南アジアは淡水魚を食べる食文化が浸透しています。また、麹やごはんに漬け込んで魚を発酵させた「なれずし」は、東南アジアや中国にも存在します。そのため、鮒ずしが東南アジアでブレイクしたのではないでしょうか。
滋賀県は、年明けからマレーシアほかの東南アジアの旅行業者を招き、鮒ずしの製造工場の見学などを予定。また、チーズなどの発酵乳製品に親しみがあるEU諸国にも販路を拡大することを検討しているとのことです。
寿司も、当初は、海外では受け入れられなかった国も多かったですが、今や世界の食べ物となっています。
鮒ずし愛好家が、世界から来訪する日が来るのもそう遠くないかもしれませんね。
写真は (C)ペイレスイメージズ より