株式会社フェリックスが牛、馬、豚、鶏、魚と5種類の素材から取った5スープが特徴のラーメン店「ラーメン5」の2店舗目である博多駅前店を12月1日にオープンさせるというので取材した。
ただの豚骨ラーメンではなさそうなので、福岡出身者としては若干懐疑的な気持ちで店を訪ねた。
九州料理居酒屋「とめ手羽」を全国展開する同社が出したラーメン店ということだった。博多バスターミナル前の脇道を大博通り沿いに5分ほど歩いたところにある同店は2号店で、1号店はすでに中州で開業している。
同店で提供されるラーメンは、牛骨、馬骨、豚骨、鶏ガラ、アゴだしと5種類の素材を配合させた新感覚ラーメンということらしい。居酒屋ならでは発想から生まれた“5スープ”は一体どういう味なのだろうか。
出てきたラーメンは一見して豚骨ラーメンのそれと変わらない。しかし白濁した豚骨のようなスープにもかかわらず独特なにおいはない。人によっては豚骨のあのにおいが嫌な方もあると思うが、それはまったく大丈夫そうだ。
食べてみると、豚骨ラーメンをあっさり仕上げて、甘みがある感じ。豚骨に慣れた舌には不思議な感覚だが、美味しい骨髄ラーメンだ。
麺は細麺で博多の伝統的なラーメンと同じ。しかし、種類によっては細麺のちぢれ麺と使い分けているという。
ギョウザは西日本のそれ標準の小ぶりなタイプ。ラーメン5では豚肉を使用し、居酒屋とめ手羽では鶏肉を使用するという。こちらもタレを付けなくても野菜の甘味でそのまま食べることができるほど美味しい。例えるならば「台湾で食べたジューシーな小籠包の中身をギョウザに詰め替えたような味」。
若い女性客が入れ代わり立ち代わり入店しているのが印象的だった同店では、300円から500円のおつまみメニューもそろえ、ちょい飲みの需要にもこたえる。
さて、その元となった居酒屋とめ手羽を確認しないと、コンテンツ不足というもの。
そこで、ラーメン店から博多駅を挟んで反対側、筑紫口にある居酒屋とめ手羽を訪ねた。
博多明太子の天ぷらは、見たままだが酒のさかなにはもったいないくらいで、ご飯3杯はいけるかも。
馬刺しメニューが豊富なのも特徴。様々な部位を少量ずつ提供してくれるのでいろいろな味が楽しめる。
そして、店名にもなっている「とめ手羽」は、これで10本。
記者もそうだが、手羽先が美味しいのは知っているが、食べにくいという印象もあってなかなか手が出ない。ただ面倒なだけなのだが、第6回からあげグランプリ「手羽先部門」で名古屋のそうそうたる手羽先をおさえて最高金賞を受賞したとあっては食べないわけにはいかない。
そこで食べ方が面倒でわからないという人には、「手羽先マスター」が懇切丁寧に教えてくれる。
お店標準の食べ方もいいが、それをマスターすれば上級編にチャレンジしてみよう。記者は上級編の方が豪快に食べることができたので、男性には上級編をお勧めする。
いろいろ食べた中で記者イチオシのサカナはこれ。山芋の九州醤油(しょうゆ)焼き。はっきり言って美味い。香ばしいし、みずみずしいし、分厚い。
こちらは生レバ。ただし、規制がかかっている牛でも鳥でもない。馬のレバだ。馬の生レバと聞いて引いたが、とにかく食べてみなければわからない。
牛よりも癖がなく、血なまぐささもない。むしろ食感は牛よりも歯ごたえがあって、食べ応えがある。生レバファンにはたまらない代替品だろうが、もはや別のレバ刺しといった方がいいかもしれない。
取材のためとはいえ、多く注文したので、店員さんに声を掛けて別におにぎりを注文して包んでもらうと、お弁当の出来上がり。
これは便利だ。
ラーメン5は現在福岡市にしかないが、居酒屋とめ手羽は全国主要都市にある。そして、両店共通のメニューもあるということなので、とめ手羽で味を確認して、博多に行った際にはラーメン5に足を運ぶというのが良さそうな気がする。
馬刺しを仕入れる際に「ところで馬の骨ってどうするの?」とう疑問から始まった5種類の骨や魚からスープを取ったラーメン。そしてその元となった居酒屋とめ手羽、どちらも九州の熱い心と美味いもん(物)がそろうので、試しに寄って間違いはないだろう。
※写真はすべて記者撮影